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静かで穏やかな生活は努力なしに成り立たない

これまでの記事でも書きましたが、私の最大の幸福は静かで穏やかな生活です。日々の生活が平穏で静謐であることは、派手で贅沢な生活や人の注目や称賛なんかよりよっぽど重要です。

「静かで穏やかな生活最高!」みたいなことを書くと、私がセミリタイアでもして普段ストレス悩みや苦しみから全て解放されているような印象があるかもしれません。

はい、残念ながら全くそんなことないです。

ストレスや悩みは不可避


シンプルな生活を実践し、倹約に励み、ストア哲学を学んでいるのも、もともと普段の生活が悩みやストレスだらけだからです。本当に一切ストレスがなかったら、多分こんな記事書いてないと思います。

私はごく普通の一般的な30代のサラリーマンで、妻も子供も友人も上司も部下も取引先もお客様もいます。家庭や仕事や通勤などのストレスや悩みは人並みにあります。

仕事や人間関係で上手く行かないことなんて日常茶飯事です。意味不明な指示を出してくる上司、部下のフォロー、取引先との折衝、クレーム対応、無理な割り込みをしてくる車、家庭内や友人関係での悩みなど、誰もが経験するストレスや悩みは当然のように私の日常に発生します。

これらはシンプルに生活し、ミニマリズムを徹底し、ストア哲学を自分のものにしたとしても絶対に避けられない問題です。人に嫌なことを言われたり人間関係の問題が生じれば、誰だってその刺激に対して「嫌だな」というモヤモヤとした感情は自ずと湧き上がってきます。

この自然な感情を根っこから止めることは私にはできません。地下を掘っていて突然吹き出した温泉みたいなものです。吹き出してくることそのものは止められません。私にできるのはそれにどう反応するか、どう対処するかだけです。

このような悩み、ストレスなどの情念パトスは、例え経済的に自由な人であっても必ず発生するはずです。

結局のところ悩みやストレスと完全に無縁でいられる人はいません。全ての悩みは対人関係にある、とアドラー心理学は説いていますが、無人島で一人きりで何不自由なく暮らせたとしても、それはそれで孤独というストレスが発生します。

静かで穏やかな生活は自ら勝ち得るもの


では私にとっての静かで穏やかな暮らしとは何なのかというと、

  1. 悩みやストレスの原因に近づかずに可能な限り避け

  2. それでも遭遇してしまった場合に備えて準備し

  3. 実際に遭遇した場合は自分の反応を選択し、冷静に対処すること

この3つを実践し、自分にできる範囲で問題やトラブル、悩みやストレスを排除した生活のことを指します。決してこれらが全く起こらない偶然の凪の状態のことを指しません。

つまり、「静かで穏やかな生活」は自分次第の努力によって勝ち得るものであって、たまたま手に入る受け身のものではありません。何に勝つのかというと、自分の情念パトスに対してです。何を使ってかというと、理性ロゴスによってです。

あらゆる問題に可能な限り備え、今を楽しむ


はたから見ると普段の私の生活はとてもじゃないですが「静かで穏やかな生活」とは言えないと思います。先述したように仕事でも家庭でもやることは山積み、トラブルも起こるし対人関係でのストレスも日々発生します。

ですが、浪費を避けて勤勉に働くことで貧困を遠ざけ、定期的な運動習慣と食の節制で健康上の問題を避け、危険や厄介事には近づかない賢明さであらゆる問題を減らす努力はしています。

これらの努力は「自分次第のこと」です。もちろん「自分次第でないこと」、例えば突然の大不況で私の会社が倒産する、または日頃の運動も節制も虚しく突発的なウイルス感染の劇症化で健康を喪失するということも確率は低くても起こり得ます。

それに対して私ができることは、これまでの備えを最大限活かし、自分の反応を選択し、冷静に対処すること、その覚悟をしておくことだけです。

「静かで穏やかな生活」は言葉のイメージからは一見優雅で何の苦もない理想郷のように見えるかもしれませんが、私にとっては日々不断の努力によって維持し、獲得するものです。

これらは考え方を変えることだけで手に入るものでもありません。特にさきほど挙げた「それでも遭遇してしまった場合に備えて準備し」の「準備」は努力の塊です。

これにはお金を貯めること、本を読んだり経験して知識を得ること、体を鍛えていざというときに備えること、人間関係に投資して何かあれば助けを求められる状態にしておくことなど、ありとあらゆる準備が含まれます。

悩みやストレスやトラブルは避ける努力はできても完全に避けることはできない。だから、可能な限り準備し、いざそれが起きたときには自分の意志でその事実と穏やかな心で向き合う努力をする。このような覚悟の上で、今を可能な限り楽しむ。

これが「私の静かで穏やかな生活」であり、その目的達成のために物を減らしてシンプルに暮らし、倹約し、体を鍛え、本を読み、ストア哲学を学び、noteを書いている理由です。

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