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Withコロナにおける情報開示@ストックウェザー情報交換会

(前回の交流会の様子はコチラから)

2020年7月16日(木)15時より1時間、ストックウェザーのイベントとしては初のセミナー形式で情報交換会を開催しました。

前回までは「withコロナ時代の決算説明会」というテーマで開催してきましたが、今回は「withコロナにおける情報開示」というテーマで開催しました。

今回は新型コロナウイルスに対応する情報を分かりやすくステークホルダーへ伝えるCOVID-19 レスポンスレポートを提供しているa2mediaの清水様にお話しいただきました内容を一部修正・削除の編集を行ったうえで掲載させていただきます。

はじめに

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まず、本日お伝えしたいことは「的確な情報発信で市場からの”信頼”と”期待”を形成しましょう」ということです。

当然ながら新型コロナウイルスによる社会的な影響が非常に大きいことは、皆様ご理解いただいているかと思いますが、このような特別な状況だからこそ、状況に応じた的確な情報発信が求められています。

しっかりとした現状の発信に加えて、未来、社会に向けたメッセージを発信することで期待を形成することが重要だと私は考えています。

3つのキーエレメント

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では、的確な情報発信とは何でしょうか。的確な情報発信は大きく3つのキーエレメントで構築されています。

まずは「視認性」です。「気付いてもらう」「読んでもらう」当たり前ですが情報発信に気づいてもらわないと意味がないからです。

次に「コンテンツ」です。何を伝えるべきかというところで「投資家のニーズ」や「伝えるべき内容」について説明します。

最後に「メッセージ」です。誰もが体験してきていない、分からない状況なので「強いメッセージ」や「リーダーシップ」が大事だということを話します。

視認性

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まずは視認性についてお話しします。事例として日立製作所様を取り上げます。

事例:日立製作所

日立製作所様の場合、新型コロナウイルスに関する特設ページを設けて網羅的に情報を掲載しています。

そして、日立製作所様のトップページには特設ページへのリンクが表示されていて、誰にでも気づいてもらえるように工夫されています。

実際に特設ページを閲覧すると、まずトップページに「新型コロナウイルスに対する取り組み」が出てきます。同時にすぐ下に「社長からのメッセージ」が掲載されています。

次に「新型コロナウイルスの感染拡大を受けた現在の日立の経営方針」へのリンクが表示されていて、経営方針について分かるようになっています。

そして、ニュースリリースについてもリンク先でまとめられています。

視認性のまとめ

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視認性のまとめとしては「読み手のことを考える」「気付いてもらう&読んでもらう」が第一だと思います。加えて「情報としてまとまっている」ことがさらに重要ではないでしょうか。

常に情報は埋もれることを考慮する必要があります。「ニュースリリースをアップしているので自社は大丈夫」と言われる方もいらっしゃいますが、ニュースリリースは新しい情報が出てくれば、古い情報は埋もれていきます。ですので、(新型コロナウイルスに関する)最新情報が一番分かりやすいところにあるのが重要です。

また、IRご担当者様だと視線が株主に行きがちですが、ステークホルダーは多様だということを意識する必要があります。株主に限らず、従業員や取引先、地域社会など幅広い関係者が影響を気にしていることを意識してください。

コンテンツ

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次にコンテンツについて話します。

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「アナリストはシャーロック・ホームズ」と書かせていただきました。これは、数年前に自動車業界のアナリストとして活躍された松島さんがインタビュー記事で発言されていた言葉で、とても印象に残っているので使わせていただきました。

アナリストは推測して、予測を構築することが仕事で、独自予想をしていくことが生命線だという意味ではないでしょうか。ですので、何か正解を出すというよりも、何かしらの情報を元にこれからどうなっていくのかを推理していくのが仕事といえます。

だからこそ、推測する為の情報を提供することが肝要であると考えられます。企業側もアナリスト側もコロナ禍の状況下において、市場の完全予見は不可能だということは承知のうえです。

企業が「取り組んでいるいること」「分かっていること」「どこに機会があるか」「どこにリスクがあるか」を情報提供することが大事です。

投資家の情報ニーズ

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投資家の情報ニーズとして大きく2つまとめています。

1つはボストンコンサルティンググループ様が、投資家が企業とのコミュニケーションにおいて注視するものとして3点まとめています。1点目は「透明性と嘘のない姿勢」。2点目は「投資家との接点、コミュニケーションの機会を増やすこと」。3点目は「より多くの開示資料、マトリクスやデータなどの分析資料を提出すること」。

もう1つ、マッキンゼービジネスレポートによると「長期的な戦略や視点も網羅した情報公開を求めている」としています。

また、日経ESGの投資家に聞くコロナ後のESGにも機関投資家からのコメントが載っているので興味がある方は確認してみてください。

事例:マネーフォワード

マネーフォワード様を事例にお話しします。マネーフォワード様ではビジネスドメイン別に今後想定しうる影響をまとめています。

2020年11月期 第1四半期決算説明資料 11ページ

そして、今後の対応策についてはこのように考えています、ということを開示されています。

2020年11月期 第2四半期決算説明資料 13ページ

次の2Qでも連続性のある情報開示として、当社事業への影響を記載し1Q時点での想定内に収まったと開示しています。

コンテンツのまとめ

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投資家が知りたい情報は「企業価値と実際の株価が正しいと言えるのか?」。今のコロナ禍で言えば、情報を出していないことがリスクだと認識されることが多いです。なので、しっかりと情報を出すことによって、投資家がこの株価が本当に正しいのか判断できてくるのではないでしょうか。

投資家としては「機会&リスクが織り込まれているのか?」という情報も知りたいところだと思います。

「事業環境の変化はどうなりそうか?」「戦略への影響」「ステークホルダーへの影響&対策は?」「バリューチェーンへの影響は?」「ガバナンスとリーダーシップは発揮されているか?」など出すことができる情報はきちんと出していくことが大事だと思います。

メッセージ

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事例:資生堂

資生堂様は抜本的な見直しをメッセージとして発信されています。

2020年 第1四半期決算説明資料21~23ページ

新型コロナウイルスが経済に与える影響と想定される経営環境シナリオとして、予想がつかないこともあり、”ニュートラルシナリオ”として2021年中に早期回復するものと”ワーストシナリオ”として本格回復は2023年と考えた時に、ワーストシナリオへの対応を機会としてとらえて、抜本的な構造改革を実行していきますというメッセージを発信しています。

また、長期的なビジョンを見失わない経営として「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニーへ」というビジョンは下げないということがメッセージとして伝わってきます。

メッセージのまとめ

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「危機に対して、何を大切にしているのか」ということをしっかりと表明することと、「どのように変化(対応)していくのか」が重要です。他にも「自社にとっての大切な価値観のメッセージ」「機会やリスクをどう認識していて、変化にどう対応していくのかを伝える」ことが重要だと思います。

Q&A

IR担当者様「当社は現在、業績予想など非開示としていますが、小出しにでも出していった方が良いのか、きちんと精査しまとめて出した方が良いのか社内で迷っています。アドバイスをいただけないでしょうか」

清水様「実際、各企業様によって違うとは思いますが、精査しているとしても、何時までに精査して発表するということが言えれば、今しっかりまとめていて何も策が無いのではないということが、投資家に対してお伝えできるのではないでしょうか」

参加者の感想

他社事例等教えていただき、参考になりました。
日本の事例が少なく感じた。また、セミナー前にプレゼン資料を共有していただけるとより理解が高まると感じた。

情報発信のご相談は

新型コロナウイルス関連の情報開示に限らず、効果的なホームページ作成などのサービスをa2media様はご提供されていますので、気になる方はお気軽にご相談をしてみてください。

また、ストックウェザーもIR情報交換会Web IRツールWeb決算説明会ツールの提供をしておりますので気になる方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

次回の情報交換会開催は?

次回の予定は決まっておりません。ぜひ、皆様が気になっていることや、課題としていることがありましたらテーマとして取り上げさせていただきますので、ご相談くださいませ。

開催情報は一番最初にPeatixから発信していきますのでフォローもお願いいたします。


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