【企業分析】AWS急成長、Amazonの収益構造を徹底分析
株価184.300(06/07 16:00)
①損益計算書分析
売上高と成長率
売上高: アマゾンの売上高は2007年から2023年までに大幅に増加しています。特に2010年以降の売上成長は著しく、2010年から2023年までの間に約17倍に増加しています。
成長率: 2007年から2023年にかけての平均成長率は約27%です。特に2020年のパンデミックの影響で、売上高が大幅に増加したことが見られます。
営業利益と利益率
営業利益: 営業利益は売上高と同様に長期的に増加していますが、利益率は変動が大きいです。2018年と2020年には特に高い利益率を記録しています。
利益率: 営業利益率は2014年から安定しており、特に2018年以降は5%以上を維持しています。2023年には6.4%に達しました。
税引前利益と当期利益
税引前利益と当期利益: 税引前利益と当期利益も長期的に増加していますが、特定の年(2012年、2014年、2022年)にはマイナスとなっており、不安定な要素が見られます。
利益率: 当期利益率は一貫して低いですが、2020年から2021年にかけて大幅に改善しています。
EPS(1株当たり利益)
EPSは一貫して増加しており、2023年には2.90USDに達しています。特に2018年以降の増加が顕著です。
ROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)
ROE: 2021年まで高い水準を維持していますが、2022年にはマイナスに転じています。その後2023年に17.5%まで回復しました。
ROA: ROAも同様の傾向を示し、2022年には低下しましたが、2023年には6.1%に回復しました。
設備投資と減価償却
設備投資: 設備投資は2014年から増加し続けており、2021年にはピークに達しました。その後も高水準を維持しています。
減価償却: 減価償却費も同様に増加していますが、設備投資に対する割合は安定しています。
総合評価
アマゾンは長期的に売上と利益を増加させており、特にパンデミックの影響で成長が加速しました。しかし、2012年、2014年、2022年のように不安定な年もあり、特に2022年には利益がマイナスに転じています。それでも2023年には再び成長を取り戻しており、全体的には高い成長性と収益性を持つ企業と言えます。
投資の観点からは、短期的な変動に注意を払う必要がありますが、長期的な成長を見込むことができる魅力的な企業であると評価できます。
②貸借対照表分析
資産の分析
総資産
増加傾向: 総資産は2014年の545億ドルから2023年の5,278億ドルに増加し、年間平均で約32%の成長を示しています。資産の急増は、事業拡大に伴う投資の増加を反映しています。
流動資産
成長: 流動資産は2014年の313億ドルから2023年の1,724億ドルに増加。特に現金および現金同等物、売掛債権、市場性のある有価証券の増加が目立ちます。
棚卸資産: 棚卸資産も安定的に増加しており、在庫管理が効率的に行われていることが示唆されます。
非流動資産
拡大: 非流動資産は同期間に231億ドルから3,555億ドルに増加。特に有形固定資産の増加が顕著で、物流センターやクラウドインフラへの投資を反映しています。
負債の分析
総負傡
増加傾向: 総負債は2014年の437億ドルから2023年の3,260億ドルに増加。流動負債、非流動負債の双方が増加していますが、流動負債の割合が大きく、短期的な財務負担が高まっています。
流動負債
増加: 流動負債は2014年の281億ドルから2023年の1,649億ドルに増加。特に買入債務とその他流動負債の増加が目立ち、供給チェーンや販売活動に関連する負債の増加が示唆されます。
非流動負債
拡大: 非流動負債は同期間に116億ドルから850億ドルに増加。これは主に長期借入金やリース負債の増加に起因します。
純資産の分析
純資産
増加傾向: 純資産は2014年の107億ドルから2023年の2,019億ドルに増加。特に2022年から2023年にかけて大幅に増加し、企業価値の向上が確認できます。
総合評価
強み
資産の急増: アマゾンは持続的な成長に伴い、資産が急増しており、特に現金および現金同等物の増加が顕著です。これは強力な流動性を示します。
投資の拡大: 有形固定資産の増加は、物流インフラやクラウドサービスの拡大に伴う投資を反映し、競争力の向上に寄与しています。
弱み
負債の増加: 総負債の増加はリスク要因であり、特に流動負債の増加は短期的な財務負担を増大させる可能性があります。
負債の高い割合: 流動負債が全負債の半分以上を占めており、短期的な資金繰りのプレッシャーが存在します。
改善点
負債管理: 負債比率の抑制と流動負債の適切な管理が必要です。特に、短期的な負債に対するリスクを減らす戦略が求められます。
資産の効率的活用: 急増する資産を効率的に活用し、長期的な成長を支えるための資本効率の改善が必要です。
アマゾンの財務状態は、強力な資産の成長と流動性を維持する一方で、負債の増加によるリスクを抱えています。財務管理と資産の効率的活用により、持続可能な成長を確保することが重要です。
③キャッシュフロー計算書分析
キャッシュフローの分析
営業キャッシュフロー(営業CF)
推移
営業CFは2007年の14億ドルから2023年の849億ドルに増加。年間平均成長率は約32%です。
特に2017年以降、急速に増加しており、企業の営業活動からの資金創出能力が向上していることが示されています。
注目点
営業CFは安定的にプラスであり、アマゾンの営業活動が一貫してキャッシュを生み出していることを示しています。
投資キャッシュフロー(投資CF)
推移
投資CFは全体的にマイナスで推移しており、これはアマゾンが積極的に設備投資やM&Aを行っていることを示唆しています。
特に2017年の-278億ドルと2020年の-596億ドルが顕著で、大規模な資本投資が行われていることがわかります。
注目点
投資CFの増減はアマゾンの成長戦略や新規事業への投資活動を反映しており、長期的な企業成長を目指した投資が継続していることがわかります。
財務キャッシュフロー(財務CF)
推移
財務CFは変動が大きく、資金調達や返済が行われていることを示しています。
2014年には44億ドルのプラス、2021年には63億ドルのプラスがありますが、それ以外の年は主にマイナスです。
注目点
財務CFの変動は株主還元や負債管理の影響を受けており、財務戦略の変化を示唆しています。
現金および現金同等物
推移
現金および現金同等物は2007年の25億ドルから2023年の738億ドルに増加。
2022年には大幅な増加(+54億ドル)を示し、2023年にはさらに増加しています。
注目点
現金および現金同等物の増加は、強力な流動性を確保し、企業が短期的な資金ニーズに対応できる能力を示しています。
フリーキャッシュフロー(フリーCF)
推移
フリーCFは2007年の11億ドルから2023年の322億ドルに増加。
2021年と2022年にはマイナスに転じているが、2023年には再びプラスに転じています。
注目点
フリーCFの増加は、アマゾンが営業活動からの資金を設備投資や借入返済後にも十分に残していることを示し、成長余力を示唆しています。
総合評価
強み
高い営業キャッシュフロー: アマゾンの営業CFは増加傾向にあり、営業活動からの強力な資金創出能力を持っています。
現金保有の増加: 現金および現金同等物の増加は、企業が良好な流動性を維持し、将来の投資や運営資金としてのキャッシュリザーブが豊富であることを示しています。
弱み
投資キャッシュフローの増加: 投資CFの大幅なマイナスは、積極的な投資活動による資金の流出を示しており、資本効率の面でリスクを伴います。
財務キャッシュフローの変動: 財務CFの変動は、資金調達や負債返済の影響を受けやすく、資本構成の調整が必要となる可能性があります。
改善点
資金管理の強化: 投資キャッシュフローの管理を強化し、効率的な資本投資戦略を継続することが重要です。
フリーキャッシュフローの安定化: フリーCFの安定化を図り、営業活動からのキャッシュフローを増大させる一方で、投資活動や財務活動における支出を最適化する必要があります。
アマゾンの財務状態は、営業活動からの強力なキャッシュフローと現金保有の増加により良好ですが、積極的な投資活動によるキャッシュアウトフローが続いているため、資金管理と投資効率の改善が今後の課題となります。
【総合価値評価】
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