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いい朝にいい音楽を聴くといい一日が始まる

最近、閉塞感を感じる。

原因は明確だった。感染者の増大で完全自粛を決行しており2ヶ月ほぼ人に会っていないことと、自粛に伴いスマホを見る時間が圧倒的に多くなったからだ。

部屋から飛び出して、どこか違う場所に行きたい。社会人4年目、転職してちょうど半年が経ったこともあり、一人で考えを整理する機会も欲しかったこともあり、都心のホテルに一泊してデジタルデトックスをすることにした。

付与されたてホヤホヤの有給を発動させ、シルバーウィークの中日に東京ベイサイドのとあるホテルを取った。滞在中に読む本とジャマイカビール、サーモンもりもりのずっしりと重いサラダとポテトチップスを買ってチェックインし、夜を過ごした。

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早めに寝たので目覚めは早かった。起きると薄暗い中、太陽が上っていくのが見えた。朝食まで時間があるから散歩をしようと思った。平日の5時半、豊洲公園には喋り倒して夜を明かしたのであろう学生が2人、静かに帰る支度をしていた。

早すぎる朝は深夜の延長線上にある気がする。だから、夜に聴く曲を聞きたくなる。イヤホンを持ってくるのを忘れたことに気づき、『最終の地下鉄に乗って』(櫻坂46)を控えめに口ずさみながら歩いた。メロディの爽やかさと歌詞の絶望っぷりが、深夜の延長戦に丁度いい。早朝に暗い曲を聴くのも悪くない。

誰もいない世界へ行きたい そんなこと思っていた
あの頃の僕って病んでいたのかな
ひんやりしてるガラス窓に
気づけば おでこをつけてた
なぜ それでも人間(ひと)は我慢しながら 毎日生きているんだろう

目が覚めてきた頃にホテルに戻り、大浴場で汗を流してからレインボーブリッジを眺めながら朝ごはんを食べた。早めの時間帯に朝食を済ませたので、チェックアウトまで3時間ほど時間がある。時刻は8時。正真正銘、本格的な朝だ。朝にも種類がある。ビルの35階、東京を一望できるこの部屋で聴く『かけがえのない世界』(平手友梨奈)は、東京を手中に収めたような気分になれる。下手くそなダンスをしても誰からも見られない。再びナイトウェアに着替えた私は奇妙なステップを踏みながら微妙な音程で熱唱する。

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10時、チェックアウト前。朝マックの提供時間を考えると、あと30分で朝が終わる。日の角度も、日差しの強さもだいぶ昼っぽくなってきた。一人の世界はあと少しで終わる。自前ダンスでやや上がったテンションを落ち着けるため、最後はベッドに腰掛けボーッと外を眺めながら『青い春に』(tonun)に静かに耳を傾け、部屋を後にした。

驚くほど気分が良かった。ながら聴きではなく、ただただ音楽に耳を傾けることで、こんなにもいい朝が過ごせるなんて。

思えば学生の頃は、宿泊といえば夜がメインイベントだった。深夜まで酒を飲み、昼にのろのろと這い起きる。大体朝ごはんは逃していたし、チェックアウトギリギリまでだらだらとしていた。

太陽が顔を出す頃に起きて、散歩をして、シャワーを浴びてご飯をたくさん食べる。合間で音楽を聴くだけで気分が良くなる。

朝が好きだなんて大人になった証拠なのかもしれないなんて、ちょっと嬉しくなった。




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