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アナザースカイに出たかった社会人の話

9月に入ったと同時に一気に冷え込んだ、気配りのできる天候に驚きつつ、仕事前にTwitterを開いたらさらなる驚きが待っていた。

トレンドには私が大好きな番組「アナザースカイ」の文字。
最近のトレンド機能は丁寧なので、開かなくてもネタバレをしてくれる

「トレンドトピック:9月終了」

好きなアイドルが新しいアー写や今年の月見バーガーラインナップが解禁されたおめでた気分が吹き飛ぶくらいの衝撃だった。アナザースカイと私の歴史はそこそこ長い。今までの色々な想いが溢れ出てきて悲しくなった。

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何度も憧れ、真似をした

アナザースカイといえば、一眼レフカメラで撮影された映像美。普段のテレビ番組ではなかなかお目にかかることのない色味とボケ感、未知なる海外の自然・造形物・人という最高の素材がマッチして、始めてみたときは幻想的な気持ちになれた。

まだGoogleのストリートビューがない時代。Instagramを、YouTubeを知らなかった自分。未知なる世界を見せてくれるのはアナザースカイだった
「ここに行ってみたい」と何度も思い、頭の中に国と街の名前を一生懸命メモし、美しい風景を目に焼き付けた。

最初は風景ばかりに魅せられていたが、次第に出演者とその場所の関係性にも惹かれていった。

「自分が変わった場所」「挫折した場所」「夢を叶えた場所」「いつか訪れたかった場所」――。

何度も訪れている人から初めて訪れた人、その街との関わりは人それぞれだったけれど、素敵な空間をバックに当時のことを振り返って語り、おしゃれな洋楽とともに昔の写真が流れ、ナレーターのバッキー木場さんが力強く語るシーンは、誰もが憧れたはずだ。

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いつか推しのアイドルに出てほしいと何度も願った。私自身も出演に憧れた。常に自分のアナザースカイがどこかを考えているし、どのカットで何を話すか、どういう音楽を流し何をテロップにしてもらうかまで想定して旅をしている。「ここが私のアナザースカイ、〇〇です」の後にどういうポーズを取ろうかもシミュレートしている。仕事で失敗して落ち込んだときは「3年後にアナザースカイに出るとしたらどう語るか」を考えるようにしているし、仕事がノらない時はアナザースカイのプレイリストで何か壮大な仕事をしている気にさせた。友人や同僚に良い言葉を投げかけられた時は、アナザースカイに出るときに紹介しようと密かにメモしていた。

「いつか有名になって、アナザースカイに出たい」

密かにずっと思い続けてきた夢だった。本気だったから誰にも言えなかったけれど、社会人になるずっと前から思っていた。

その夢が叶う可能性が潰えてしまった。

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それでもアナザースカイは私にたくさんのことを教えてくれた。

人の生き様は色々な視点から知ることができる。
意識的に発した本人の言葉や周りの人間からの評価だけでなく、想いの強い場所でどんな顔をするか、どんな目をするか。その場所で不意にどんな言葉を発するか。滲み出た感情の動きがその人の人生を語っていた。

数年前、新卒採用試験でテレビ局を受けた理由は、アナザースカイのように人を深く掘り下げ、魅力を伝えられるようなコンテンツを作りたかったからだ。

小さい頃、私にとって美しい世界を見ることが目的だった番組はいつしか、街を通して人の美しさを知る素敵な番組になっていた。

「夢の数だけ空がある」

夢をありがとうアナザースカイ。

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しばらくは撮りためたお気に入り回を見て感傷に浸ります。

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