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トレーニング計画の具体例

まえがき

以前からトレーニング計画の考え方について自分の考えを紹介してきましたが今回は具体的にトレーニングに落とし込むところを一例として紹介します。

トレーニングの考え方のおさらい

1.常にいい状態を作ることはできない。できたとしてもそれは本当のいい状態ではない。
よって期分けをすること。各フェーズごと狙いを決めてそこに集中投資するほうが効率が良い。 

2.トレーニングは、一般性から特異性に向かって段階を踏んでいくこと。
最終的には「目標とするレースの距離を目標とするペースで走ること」を、ゴールとする。
と言っても最初からできないので、分割する。時間をかけることが大切

3.同じ刺激ではなく刺激のベクトルとボリューム(方向と量)を変化させること。
やってないことをやることの方が少ない経験値で伸びる。最小の努力で結果が出る。
取り組んでいない分野は伸び代。
以上の考え方をベースにトレーニングを組み立てていきます。


各メニューの解説

jog
目的は疲労を溜めずに有酸素持久力を上げること。
イメージは、通常の場合は次の日にあまり疲労が残らない程度に軽く流して走ること。
意識することランニングフォーム重心の移動や、上半身との連動、リラックスする感覚など
あまりペースや距離にこだわらない。トレーニング計画全体と自分の今の状態から調整する。

リカバリーjog
軽く有酸素持久に刺激を入れつつ筋肉などの疲労感を抜いていく質を落としたjog
疲労感抱えた時は量よりも質を落とさないと中々疲労が抜けてくれない。

ロングjog
普段より長いjog (LSDではない。)
質的な疲労感は残したくないけどボリュームを稼ぎたい場合などに入れる。もしくは質の高いトレーニングの翌日違う疲れた身体ではあるが刺激を変えることにより量を増やすことができトレーニング全体の総量を増すことができる。
結果としてよりキャパシティーが広がる。

ファルトレク 1'-1'
1分は、5000m〜10000mのレースペースくらいの感覚。後半の1分はちょっと速いjogくらい
距離が不明確な場所とかクロカンなどどこでもできる。
大切なことは設定タイムで走ることではなく、必要なトレーニング刺激を体にかけること。

中強度持久走
8キロ〜10キロくらいのランニング(ペース走よりは遅いがjogよりは速い)
疲労はそこまで残さず効果の高いトレーニング

高強度持久走
 ペース走(テンポ走) PR
 ビルドアップ走 BU
 変化走
 距離走などの継続してある程度苦しいペースで走る持久的トレーニング
有酸素持久力を最大限向上することが目的
ペース走なら閾値ペース又はそれより少し遅いくらいで8000〜12000などビルドアップもほぼ同じ、変化走はペースを上げ下げしてある程度速いペースで身体を休まる、リラックスさせる練習するトレーニング。マラソンやハーフマラソンでは実践練習として位置付けることができる。

レペ(R)
高い集中力を持って行う質の高いトレーニング。
全力より少し余裕を持って
ショート200×10本、(200+200+400)×5、(400×3)×3とか、(600+400)×3
ランニングフォームの改善に最適

ロング 3000×1 2000×1
レースの距離くらいのレペは、最も特異的なトレーニング
つまり、レースに近い刺激が入る

クルーズインターバル(CV)
2000×4〜7 Tペース などの、テンポ走を分割したようなトレーニングレストは短く設定する。
テンポ走の限界設定を上げたい時にCVから行うと上手く行きやすい。
順番としては、例えば3'30でペース走8000m行いたい場合2000×4本を3'30でやってから、まずは6000m PR→次に最初遅めにして後半少し上げる8000mBU→そして目標の8000m PRで繋げる。
そしてまた、8000mを3'30で走れたのでこれを数回行い余裕ができてきたら2000×4を3'25"で行う。そして繰り返す。

インターバル Iペース
3000〜10000くらいのペース
レースから遠い時期は出来るだけショートインターバル1000m以下でやって、レースに近づくにつれてロング1000m以上にしていく。
ペースは少し落とし目でも良いからある程度のボリュームVO2MAXに刺激を入れる時間を長くすることを意識する。
足りなければ本数を足せば良い。

クロカン走
身体のバランス、体幹を鍛える。ペース以上にアップダウンやカーブが多いことで負荷をかけやすい。
接地衝撃を減らしつつ身体への負荷を増やすことができる。

坂ダッシュ
最大スピードを出すことなく最大筋出力を出すことができるため筋トレのような効果がありスピードを出す感覚。身体が作られる。
インターバルの導入前や初心者はしっかり行う。

トレーニング戦略(期分け)


期分は基礎期→移行期→強化期→適応期→調整・レースと進んでいきます。
※一般性から特異性に向かっていきます。

トレーニングメニューを各フェーズに具体的に分布ささてみます。

基礎期
テーマ 基礎期は、土台作りをメインにします。土台とは、純粋なスピードとスタミナです。
焦らず出来るだけ長く走ったり、流しを入れ耐えうる身体を作っていく。
※闇雲に長く走れば良いというわけではなく、ある程度の質を量こなすということ。

これから沢山のトレーニング刺激(おかず)を入れる為のキャパシティ(弁当箱)を大きくしていくイメージ。

月曜日 ロングjog
火曜日 jog
水曜日   ファルトレク 1'-1' 15〜20set
木曜日 リカバリーjog
金曜日 中強度持久走
土曜日 jog
日曜日 ロングjog
月曜日 リカバリーjog
火曜日 150〜250坂ダッシュ×10〜20
              orショートレペ
水曜日 中強度持久走
木曜日 jog
金曜日 jog
土曜日 ロングjog
    or 高強度持久走(ペース走など)
日曜日 リカバリーjog or rest

移行期
テーマ 強化期にインターバルトレーニングなどの強度の高いトレーニングが行えるよう、少しずつ身体を強度の高いトレーニングに慣らしていきます。滑らかに。
月曜日 中強度持久走 
火曜日 jog200×5
水曜日 ファルトレク 1'-1' 20set  
木曜日 リカバリーjog
金曜日 レペ
土曜日    jog
日曜日 ロングjog
月曜日 リカバリーjog
火曜日 jog200×10(坂)
水曜日 レペ
木曜日 高強度持久走
金曜日 リカバリーjog or rest
土曜日 リカバリーjog or jog
日曜日 ロングjog

強化期
テーマ 適応期にやりたいトレーニングをやる為のトレーニングをガンガンやるタイミングです。
例えば適応期で3000m9'00でやりたい場合は、強化期で400m×12本を70〜72"でやるといったイメージ。「困難は分割せよ」byデカルト
月曜日 中強度持久走
火曜日 リカバリーjog
水曜日 400×10〜15
木曜日 jog
金曜日 jog200×5
土曜日 2000×4〜7 Tペース 400×3
日曜日 レペ
月曜日 リカバリーjog or rest
火曜日 jog
水曜日 1600×3 or 1000×5など
木曜日 リカバリーjog
金曜日 リカバリーjog or jog
土曜日 中強度インターバルor中強度レペ
日曜日 16〜20キロ距離走 orロングjog

適応期
テーマレースをイメージしやすい、レースに近い刺激を入れてレースペースにギア比を合わせて行くイメージです。
人間は繰り返していることを細胞レベルで記憶していく能力があります。簡単に言うと慣れさせる。
身体を「適応」させていきます。
月曜日 jog
火曜日 jog200×5
水曜日 3000×1
木曜日 リカバリーjog
金曜日 jog
土曜日 高強度持久走
日曜日 リカバリーjog or  rest
月曜日 jog or 中強度持久走
火曜日 jog+400×3
水曜日 1600×3 or 2000×2
木曜日 リカバリーjog
金曜日 jog
土曜日 jog 200×5
日曜日 8000PR +1000

調整
テーマ基本的には、適応期にやった内容をボリュームダウンして疲労を抜いていくだけでOKです。
※調整期では、慣れない練習を一か八かでやらないようにしましょう。
2週間前からは強くなろうと考えてはダメ
月曜日    jog or リカバリーjog
火曜日    jog
水曜日 1000×2〜3
           or (1600Tペース+200×2)×3
木曜日 jogws
金曜日 jog
土曜日 jogws or 1000×1 or 200×5など
日曜日 レース

まとめ

トレーニングは週間単位や月間単位もっと長いスパンで考えその日その日で一喜一憂することなく全体で良いトレーニングができるように修正する。
しかし、そうは言っても結局は1日1日の積み重ねなのでその日成果を出すために最良だと思うことを選択する必要がある。

全体を俯瞰する長い視点と目の前に没頭・集中するマクロな視点2つの、バランスが大切なのかもしれません。

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