第7回 問題点の見つけ方 ~後編~ 「閲覧されるようになったが問い合わせが少なくて困ってます!」
【登場人物】
IT営業アシスタント1年目。好奇心旺盛で何事も挑戦していきたい。
上司にネットでの製品PRを命じられ、ウェブサイトを作ることになった。
ただ、でき上がったサイトをどう運営していけばいいかわからず悩んでいる。
元SE。今はアクセス解析ツールの営業。
Webマーケティングについてお客様に日々説明をしている。
アクセス解析の技術者。
アクセス解析の重鎮、生き字引、サポートの鬼。
アクセス解析でわからないことがあれば何なりと。
前回(第6回 問題点の見つけ方 ~前編~)の終わりに「サイトの中で迷子になっていないかを確認してみよう。」ということでしたが、「サイトの中で迷子」とはどういうことでしょうか。
その前に、サイトの目的を再確認しておきましょう。
今回は商品PRということでしたが、どのようなユーザーがサイトを見てくれることを期待していましたか。
この商品がビジネス向けなので、企業のIT担当や商品販売部門の担当者に見てもらいたいと思っていました。
その人たちはどうやってこのサイトを見つけると思いますか?
えーと、やっぱり検索サイトで「こういうツールが無いかな?」と検索した結果とか、コーポレートサイトにあるバナーからだと思います。今後は広告やDMからも集客できるようにしたいです。
そうして見に来てくれたユーザーが、最終的に商談のための問い合わせフォームから問い合わせてくれるのが目的だね。
こういったユーザーの行動パターンも含めた仮想の顧客をまとめる「ペルソナ」という考え方があります。
ペルソナとはどういうことでしょうか。
ペルソナとは、サービスの提供や商品販売、コンテンツSEOのターゲットとなるユーザー像です。想定するユーザー像が思惑どおりの行動をしているかを分析することが大事になってくるんですよ。
確かに、想定しているユーザーがどのような経路を辿って問い合わせフォームにたどり着いているのか知りたいですね。
ユーザーの行動として、具体的に何を見ればよいのでしょうか。
先ずは、ユーザーが設計どおりのページ遷移をしてくれているか、集客データを見てみましょう。
入り口としては、想定通り検索エンジン(Organic Search)が大半ですね。コーポレートサイトからも少しは来ているようです。まあ、これは現状ではそれ以外がほぼ考えられないので今後の変化に注意しましょう。
大久保さん、経路データは「①探索」→データ探索一覧画面から「②経路データ探索」を選択して表示してみてください。
そのあとに、「ステップ+1」のプルダウンを「③ページタイトルとスクリーン」に変更することで、該当の経路データを確認することができます。
イベント名の「session_start」とはサイト訪問時に1ページ目で計測されるイベントの事だよ。
見てみると、トップページが一番最初に訪問されているみたいだね。ページタイトルをクリックすることで、次に訪問されたページが展開されていくから、トップページの次に製品ページ①が多く見られているという事になるね。
トップページが1番最初に訪れるページというのはうなずけます。
ですが、想定していた通りにページの遷移がされていなかったことが分かりました…。
トップページ→各製品ページ→問い合わせページに移ってもらうような動きを想定していたのですが、もっと製品に関心を持ってもらえるようなページ作りをしないといけないですね。ユーザーの離脱ポイントもここで把握できるのですね。
経路データは「始点」からだけでなく、「終点」を基準にして見ることもできるよ。
「終点」の見方は以下の手順を参考にしてください。
①「最初からやり直す」を選択
②「終点」のエリアから「ページタイトルとスクリーン名」を選択。
③選択画面から該当ページ「お問い合わせ」を選択。
例えば、ウェブサイトの特定のページに訪れたユーザーがどのような経路を辿ってそのページに到達したかを知りたい場合、終点となるそのページを基準に、それぞれのユーザーがどのようなページを経由してそのページに到達したかを追跡することができます。
終点を問い合わせフォームにしてみた場合、製品ページ①からが1番多く問い合わせフォームに遷移していることが分かるね。
ゴールにしている問い合わせフォームのアクセス数がやはり少ないですね。
でも問い合わせフォームまでの入口となるページがどこなのかが分かりました。1番多く訪問されているページはもちろんですが、他の製品ページからの問い合わせが増えるようにコンテンツの工夫をしていかないとですね。
次に、直帰率や滞在時間など、途中で離脱していないかを見てみましょう。
直帰率は、ユーザーがそのページを見て満足してページから出て行ったのか、目的と違ったコンテンツだったので出ていったのか、正反対の要素があるので注意が必要だよ。
満足しているかどうかはページの滞在時間が目安になると思いますね。
なるほど、実際のユーザー像の行動が少しづつ見えてきました。
直帰率や滞在時間などの指標は、ユーザーがサイト上でどのような動きをしているか分析できるのですね。特に直帰率は、ユーザーがページに訪れてすぐにサイトを離れる割合を示しているということですよね。
その理由を分析する事で、ユーザーのニーズとの整合性などに問題があるかどうかを把握できますね。
滞在時間も、ユーザーがコンテンツに興味をもって、十分な情報を得ているかどうかの指標となる気がします。こちらが想定しているページの読み込み時間より短いとあまり興味を持ってもらえず、すぐにページから離れているんだろうなと想像できますね・・。
他に重要な視点はありますか?
最後にコンバージョンのレポートを見てみよう。
コンバージョンレポートは、予め目的となる行動を登録しておくことで、サイトに訪れるユーザーが特定のページに到達したかを抽出して分析できるものだよ。
この商品PRサイトの目的は、問い合わせをしてもらうことだったよね?
「サイトの中で迷子」というものがあるんだけど、問い合わせページまでユーザーが到達せずに、サイトから出て行ってしまう状態のことを指すよ。
ここでは、問い合わせ入力フォームから問い合わせ入力確認画面までの数字がかなり減ってるね。ユーザーが離れてしまう理由として、入力項目が多いなどが考えられるよ。
問い合わせを促進するためには、ユーザーがスムーズに問い合わせフォームにアクセスし、入力まで至ることが重要なのですね。
確かに、問い合わせフォームの入力項目が多すぎると、煩わしさを感じて離脱する可能性がありますね。必要な情報を提供する一方で、冗長な項目は最小限に抑え、手続きをスムーズに進められるように問い合わせフォームを工夫していこうと思います。
次回は、問題を改善していく方法について詳しく見ていこう。