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第63話「ケータリング会社を見学」

トレーニング5日目

午前中はこの1週間の復習が半分で、B767-200,300型機とB747-400型機のシートレイアウトやクルーの動きの違い、機内システム(インタフォーンの使い方やクルーシートにある操作ボタン他)、ドリンクカートのセットのやり方、カートの中味、カクテルの名前、作り方等を行った。

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「今日で5日目だけど、初めて勉強した内容が多かったから、名前を覚えるだけでも大変だったね。」

カツヒロはジャステインに問いかけた。

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「うん、俺も毎日、その日の復習とテスト準備で本当にきついよ。」

「本当にきついよね。まだ1週目の終わりだから、このあと4週間もあるんだと思うと、全然、安心できないけど、最初のテスト以外は一発クリアできているから、ちょっとだけ自信が持てたかな。」

「そうだな。カツヒロと俺は最初のテストで教室に残されたから、あの時のプレッシャーは一生忘れないだろうね。だけど、あの時の経験があって、より一層フライトアテンダントになりたいと思ったんだ。なんかエンジンがかかったみたいに、やる気が一気に湧いてきたよ。」

M4.カツヒロ

「俺もだよジャステイン。人間、追い込まれた方が力が出るからね。これから先も頑張ろうぜ。」

「そうだね。カツヒロ。絶対、トレーニングを最後までやり遂げて一緒に楽しいフライトしようぜ。」

ジャステインはそう言ってカツヒロの背中を軽く叩いた。

ジャステインはもともと宝石商の仕事をしていたから、俺と同じで航空業界の事は詳しくないはずだ。恐らく新しく覚える単語だけでも相当大変だろう。でも、弱音なんて一切はかずに頑張っている。俺もジャステインを見習って強い気持ちでこのトレーニングをやり遂げよう。

カツヒロは、そう思った。


午後のクラスは、月曜日から2週間に渡って行われる緊急脱出訓練についての説明から始まった。

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「来週から2週間はジェーンズ、スニーカー等、動きやすい服装で登校してください。尚、集合場所は、こちらではなく、別のトレーニングセンターになるので注意して下さい。」

「詳しい場所は、トレーニングスケジュールマニュアルの一番後ろに地図と連絡先が出ています。」

インストラクターのミッシェルの説明が続く。

「それから、持参するマニュアルはこの赤のエマージェンシー・ドリルと書かれた小さい物とグリーンのエアークラフト・セイフティマニュアルの2冊です。」

「皆、重いと思うけど、今日のレッスンが終わったら全てのマニュアルを持ち帰って下さい。来週からは、あなたたちの一つ後のトレーニンググループのレッスンが始まりますので、この部屋は、そのグループが使用します。」

・・・。

EP(Emergency Procedure:緊急脱出訓練)の説明が終わるとケータリング(食事準備をする会社)の見学に出かけた。

「皆、ここでビニールの帽子にマスク、手袋をして下さい。髪の毛が混入したり、咳や唾などが食材にかからないように注意してください。」

案内係の女性が、少し神経質な顏付きで指示をする。

「はい。」

全員が手袋、マスク、ビニール帽をかぶって、更にエアーシャワーを浴びて体に付着している誇りや小さなごみを取り除く、それてと合わせて特別な消毒液が付着したマットで靴の裏もしっかり洗ってから入室した。

その案内係を先頭に視察ツアーが始った。

初めに巨大なボールの中に人参やきゅうり等の野菜を切り刻んでいる作業員の側を通り抜けると、

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サラが「えー、こんなにたくさん食事を作るんですか?」とかなり驚いた。

しばらくすると、ひたすら卵を割続けている女性と、その隣でその卵を巨大な泡だて器で泡立ている男性を発見し、

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目を丸くしたジェームズが「わー、これがビジネスクラスに搭載するデザートなんですね。」と尋ねました。

すると、男性は「そうだよ。君たちもいずれ機内で食べることになるだろうから、楽しみにしていてね。」と誇らしげに答えた。

トレーニングの一環とは言え、皆、初めて見る機内食の制作現場に潜入した13人にとっては全てが新鮮に見え、とても楽しい一時だった。

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最後にミッシェルが「これがニュージーランドで最も有名なレジェントホテルの総料理長が監修されたファーストクラスの食事ですよ。」と教えてくれ、まだ、口の中に入れたわけでもないのに、カツヒロは凄く嬉しかったと、その夜、日本にいる友人にメールしました。

JALファースト

※JALさんの国内線ファーストクラスのランチ


つづく

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