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人生の澱(おり)を溶かしてくれる歌手

玉置浩二氏。。。

この方は、どこまで進化し続けるのだろう。

普通の歌手は、歳を重ねる毎に、声がでなくなっていき、劣化をごまかしながら、静かに消えていく。でも、この方は、どんどん新たな高みにのぼり、我々一般人に見えなかった景色を見せてくれる。

歌だけでなく、歌詞もそうだ。

かつては、作曲を彼がして、作詞は松井氏だったのに、今は結構、両方とも彼が作っていることが多い。

この曲『マスカット』 もその一つで、古い知人の娘さんである平原綾香のために作ったようだが、大人の女性の人生を絶妙なメロディーと深い歌詞で奏でていく。「朝焼けの空に飛んでく、つがいの鳥が羽ばたく」という歌詞をひとつとっても、専業作詞家でもなかなか書けないのではないか。

玉置氏のずば抜けている点は、もちろん歌唱力は言うまでもないが、特に女性とのデュエットになると本当に脱帽ものだ。ナルシスティックな歌手が多いなかで、彼は相手の女性をダンスを踊るように静かに、やさしくリードしていく。過剰な自己主張はせずに、相手に気持ちよく歌わせるような配慮と目配せを欠かさない。二人で一緒に奏でている空気がじわじわと伝わってきて、聞いているこっちまで気分が良くなってくる。

人は歳を重ねていくと、ヴィンテージワインのように、少しずつ人生の澱(おり)が溜まっていく。玉置浩二氏の歌を聴いていると、それが少しずつ溶けていく気がしてくるのは、わたしだけだろうか。



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