見出し画像

リアルなオフィスは本当に必要か

2021年1月20日 私にとって衝撃的なニュースが飛び込んできました。

電通本社 3000億規模で売却検討。(噂では総工費2500億で建築)

1企業の本社売却でありますが、各紙ニュースでも取れ挙げられています。


私もつい1か月前までこの本社に勤めていましたので、

このニュースは感慨深いものです。

実際にニュースの当日、交渉中であることが社員に正式につたえられたそうです。

ちょっとこの本社について、思い出を兼ねて説明したいと思います。

もともとJRの汐留跡地を電通が入札し、念願の新社屋構想がはじまりました。その作りは、浜離宮庭園に面した南側を曲面としたブーメラン状の断面が採用され、建築デザインはフランスのジャンヌーベル氏によるものでした。

当時社内プロジェクトが横断的に組まれ、働きやすい職場のアンケートに答えた覚えがあります。中でも1番ニーズが高かったのは「エレベーターの数」だったと思います。

当時電通は入船という場所に臨時に本社を移しておりました。

この入船タワーは当時にしては先端のビジネス塔でしたが、1つ社員から大きな不満をよく聞きました。「エレベーターが来ない、遅い」これは当時の記憶に

強く残っています。本当に遅いのです。

当時フラッパーゲートもなく、出入りが自由だった環境で、入船電通には

多くの企業のかたがひっ切りなしに出入りしていました。

当時約2000名の東京社員とそのお客様、パートナー企業が出入りすると

最先端だったビルのエレベーターも追っつきません。

想定台数を上回る、人の出入りが多い企業でした。

エレベーターの待ち時間は1分はざらで、当時はかってみたら2分待ちも記憶にあったほどです。たかが2分、されど2分。特にエレベーターはすぐに来る乗り物と体に染みついているので

1分が非常に長く感じるのです。

プレゼンに遅れそうな社員がイライラしたり、打ち合わせにま担わないとボタンを何度も下りボタンを押す(押したってからないのに)光景を目にしました。

社内アンケートのトップが「エレベーター環境の改善」だったと記憶しております。

当時日本で唯一のフランスの建築家、ジャンヌーベルの建築物であり、外観の美しさと曲線は惚れ惚れします。*表紙画像はこちらのリンク(ルーブルアブダビ設計者:ジャンヌーベル作)https://greenation.xyz/2019/05/01/uae5/

◆エレベーターは解消されたか?

引っ越して社員が一番気になったのが、エレベーターの稼働率です。

そこで最重要視されたのはオフィス棟外壁に面するエレベーターで、全部で47基。当時日本のオフィスで50台近くエレベーターを設置した企業は他にありません。

平均待ち時間を30秒程度の建設当時世界最速のものでした。1階のエントランスホール・4階・14階・25階・36階に停止する高速シャトルエレベーターと中速運転のローカルエレベーターを組み合わせたデュアルエレベーターシステムが採用され、あまりの速度に社員からは気分がわるくなる。という声もあり、運転速度が落とされたらしいのです。

作りはフラッパーゲートをくぐると真ん中に大きな空洞があり

突き当りのビルの半分に当たる側面がすべてエレベーターです。

外観からも見えますが、ビルの半分の側面がすべてエレベーターなのです。

そのスピードは快適そのもの。

◆高層階の社員は気持ちが悪くなるエピソードも

地上48階、地下5階、46階、47階はスカイレストランテナント。

噂になっている地下の「秘密の会議室があるらしい」は本当で、
別のエレベーターで行けます。最先端の機器を備えたOAをそろえたプレゼンルームですが一部の社員以外はほとんど使ってなかった記憶があります。
その下は地下駐車場ですが、社員が使うことはなく、VIPの到着ゲートと最高階にある役員フロアに直結するエレベーターそして、そのエレベータが超高速スピードで、こちらも高齢役員の依頼で速度を遅めたらしい。のであります。

◆ビルの半分がエレベーター??
私の印象ですが、47基もあるとビルの面積の半分以上(空洞フロアとエレベーターで2/3)がエレベータの施設で占められている構造になります。

◆40階以上のフロアにいくときは2回のりかえなければならない。
100台以上の超高速エレベーターが存在しているにも関わらず、1階から40階前後のフロアに行く場合は
一旦36階まで行き、各駅に乗り換える必要があります。
また途中階(例えば8階)にいて、40階に行く場合は、8階~14階のエレベーターに乗り。14階~36階まで行き、各駅で40階までいかなければならず、結果3回乗らないとたどりつけません。

話は長くなりましたが、結論から言いうと、旧社屋の入船時代のさんざん待たされるエレベーターと実は大してかわならいのではないか?ということです。

このように近代的なオフィスビルであっても、中身はほとんどがエレベータで占めて、肝心な執務フロア面積がどんどん狭くなっていたのです。

◆コロナにより高速エレベータの意味、執務フロアの利用がなくなった。
2020年2月25日、どの大企業よりも先駆けて、全社員のリモートがスタートしました。以来私の場合、12名程の部でしたので、人事管理、各部員との101、予算、自分のプロジェクトなどをリモートワークが始まりましたが、結果2020年コロナ化で出社した日数は4日間だけ。そのうち実際の会議は
2回。のこりの2回は手続き書類と、退職のための片づけの日だけでした。

◆オフィスでなくても仕事はできた。
私の場合は、リモートワークのほうが時間が効率化され、部員との101も密に行うことができ、
部長会議も不便なく参加できました。
つまり、今後もオフィスに行って仕事をする必要性を感じなくなってしまったのです。

◆執務室の必要性と自社ビルの必要性は?
こうなってくると、各自の執務スペースは自宅やカフェやシェアオフィスに移り、自社ビルで大勢が集まる理由がわからなくなってきます。
経営側は詳細な社員の出社データを把握しているので、より一層自社ビルの
意義をあらためて考えるきっかけになったのでしょう。

◆工場(ファクトリー)がないビジネスモデル。
私のつとめていた広告代理店は工場がありません。
実験室も基本なくてもことは進みます。製造会社さんはそうはいかないでしょうが、こういったプロダクトカンパニー以外の
ビジネスを主体とする企業は今後自社ビルという概念を見直す
良い機会になるのではないでしょうか。

◆希薄な人間関係の懸念はあるか?
とはいえオフィスで隣り合わせになったり、リアルでの会議で
生まれるアイデア、企画などは数知れず可能性があります。
ただそれが自社ビルである必要性?はないのです。

◆会議室が取れない。はもう過去の話。
多くの企業が抱えていた問題で、会議室が取れない、
とっていたのに先輩が先に使っていて出ろとは言えない。など
DX化できてない、予約システムのビルではこういったアナログ問題が多く発生していましたが、オンライン化ではそういった先取り、や、ダブルブッキングという問題は基本発生しないので、仕事効率からいうと、はるかにリモートワークの可能性が高まるわけです。

◆経営との距離、所属意識の維持
リモートが日常化すると、自分の会社の所属意識がうすれることも自分の経験から感じたことであります。大きなゲートを大量な社員が電車から降りてくぐり、行列のエレベーターに乗って、始業時間を迎え、おはようとランダムに声を掛け合いながらスタートする朝のシーンは、良く言えば、「よし今日もやるぞ」のルーティーンだったかもしれません。でも、よーく考えると、満員電車、満員エレベーター、会議室の予約、見たくもない上司の顔合わせなどストレス要因が満載だったなと思いうわけです。

◆社員のきづきと会社側の気づきが一致してきた。
今回の自社ビル売却は1企業に限らず、日本の大企業のほとんどが直面する
大きな判断の時期なんだと思います。それは悪化する経営状況でのキャッシュの確保や自社ビルのメリットの劣化、社員は、自社ビルで働いているんだという自負はなく、むしろおしゃれなシェアオフィスやサードブレースカフェでの仕事のほうが快適に感じ始めているのでしょう。

◆自社ビルのサードカフェ化
前職の会社もここ数年、大規模なオフィス改造により、執務スペースのオープン化、いたるところにカフェっぽい雰囲気づつくり、
会議室のDX化などに何億とも想像できる投資してきましたはずです。
たしかに、15年前の新社屋よりも中身はかっこよくなってきていました。

が、さらにシェアオフィスを使うと、こちらのほうが、設計思想がシェアなので使い勝手が一枚も二枚も上に感じ、今回のコロナで全社員がその快適さを外部環境で知ってしまったわけです。


◆シェアオフィス企業相次ぐ業績悪化@2019年
つい半年くらい前にはソフトバンクグループのWeWorkが多大な負債により
グループ株を大量に手放す事態がおきましたが、今となっては逆にニーズの高いビジネスモデルなのではないでしょうか?(リンクは2019年当時)


◆自社ビルのテナント収益の崩壊
自社ビルのメリットはテナントとして展望のよいフロアを貸し出せ
収益を上げていました。社員も社食にあきると46、47階のフロアでビューのよいランチをたべられ、一時の爽快感を感じながら午後の仕事に向かうことができます。でも、コロナ化でテナントが撤退し、出社率も減るとなると
テナント事業収益もマイナスに転じます。

すべてが真逆になってしまったわけです。

◆これからの自社ビル企業と社員の在り方。
ここ数年、自社ビル売却を検討する大企業が増えると思います。
購入したファンドや外資系、などからその購入したビルから
新たなビジネスモデルが生まれる可能性もあります。


◆近未来の働き方案 ①

◆住宅付きオフィス+個人事業主化+業務提携=自由な働き方
もし住居付きオフィスがスタートこんな光景なんだおと思います。
それぞれにワンルーム部屋があって、寝泊まりできて、
さらに、リアル会議も開けるような、ホテル型オフィス
平日はここで仕事に集中し、週休は3日。実務の4日に集中をする。
労働問題が課題になるので、、社員は個人事業主となって
本社と業務提携をする。すると労働時間の規制から解かれ
社員も好きな時間に、仕事ができる。好きな時間に昼寝ができる。
なんていうオフィスも必ずでると予想します。

◆自社ビルのカプセルホテル+シェアオフィス化
もしファンドや外資の方が巨大な不動産資産を運用されるなら
分譲型のワンルーム+複合オフィス+シェアオフィスのビジネスは
転売もサブリースもできるので、あったら面白いビジネスかと
思います。。。。でも家族がいたらやっぱり嫌かもしれませんね。


長々と、

テラ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?