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これが10億本の証拠!缶チューハイ大量消費の背景とは

5分で読める、最新の経営ヒントを毎朝お届け。日経新聞の記事の中から、マーケッター視点で「今、知っておくべきデータ」をピックアップ。ビジネスマンの「やりたい」の成功確率をアップしてもらいたい!そのために、必要な視点やマーケティング戦略立案のノウハウを紹介しています。

記事の要約:

キリンなどのビール大手各社は、拡大する缶チューハイ市場でシェア獲得を目指して商品開発と生産能力強化に動いている。

キリンは主力ブランド「氷結」の無糖系缶チューハイを好調な売れ行きで増産。サッポロも新商品を投入し、生産能力を拡大する。海外市場も伸びており、現地生産に参入する動きも出ている。

缶チューハイは味のバリエーションが豊富で消費者の嗜好に合わせやすいことが需要拡大の理由。ビールからの飲用シーンのシフトも追い風となる。

各社は消費トレンドを捉えた商品開発に力を入れている。AIを活用したり、食事に合う味わいを追求するなど、多彩なアプローチがみられる。

一方で商品の過当競争にも注意が必要。需要変化に合わせて継続的にヒット商品を作り続けることがカギとなる。10月の酒税改正でビールは増税、缶チューハイは据え置きとなることも、今後の市場動向に影響を与えそうだ。



缶チューハイ隆盛の裏にある行動経済学

缶チューハイの消費拡大の背景には、行動経済学的視点から興味深い心理が見えてきます。例えばコンビニで新商品と定番のレモンを同時購入する行動は、「試行錯誤バイアス」が表れていると考えられます。新商品への好奇心と失敗への警戒感のジレンマを、定番品の同時購入でリスク回避する心理が働いています。

この「安心感」のある試行錯誤プロセスは、缶チューハイの持つ多様な味わいと相性が良いと思います。実際、消費者は新商品を試す際、SNSでの口コミ検索や試供品の活用など「安全な」方法を好みます。こうしたデータを解析し、試供品配布やお試しキャンペーンと連動した施策が効果的となります。

また「選択肢の際立ち効果」も重要な心理です。例えばレモンとシークワーサー味の2択より、レモン・シークワーサー・グレープフルーツの3択の方が選びにくく、悩むことで各選択肢の魅力が際立ちます。適度な選択肢の用意が需要喚起につながるのではないかと、にらんでいます。

グローバル展開は現地生産が鍵?

缶チューハイの世界的な人気上昇は注目されますが、輸出中心のグローバル展開には課題があると思います。海外輸送はコストと環境負荷が避けられません。RTD先進国、日本の味を海外で再現するために、現地生産と現地素材の活用を考えてみる、と言うのはどうでしょうか。

例えばタイでは、良質なフルーツを調達して現地工場で生産する。そうすることで、輸送コストを抑えられ、現地の嗜好に適した商品を提供できます。アジアならココナッツ、欧米なら柑橘系フルーツなどを活かせるんじゃないかな。

現地スタッフの活用も重要だと思います。商品開発からプロモーションまで、現地の文化と市場を熟知した人材が不可欠です。缶チューハイのグローバル展開をきっかけに更なる「現地化」が進むと良いな、と願っています。

酒税改正で需要取り込み機会

10月の酒税改正で、ビールの増税と缶チューハイの据え置きが決まりました。これは缶チューハイ各社にとって、大きな需要取り込みのチャンスとなるでしょう。

例えば、好調な350ml缶市場をさらに刺激するため、330ml缶の低価格商品を投入。ビールからの乗り換え需要を取り込む戦略が考えられます。価格訴求とともに、食事に合う味わいづくりも重要ポイント。コクと後味のよい味わいが、リピーター獲得の決め手となりそうです。

また、既存ブランドを使ったプレミアム商品も有効なんじゃないでしょうか。「氷結」や「-196℃」といった知名度を活かし、高級感あるパッケージと中身で提供すれば、ブランドイメージの刷新にもつながると、妄想しています。


今日の問い

  1. 貴社の主力商品は、消費者の嗜好の変化に合わせて進化できていますか?

  2. 新商品開発では、消費データを解析して需要を予測する取り組みはできていますか?

  3. 海外展開では、現地の文化や嗜好に合わせた商品開発ができていますか?

  4. 自社の強みを活かしつつ、他社の優れた取り組みから学ぶ柔軟な姿勢ができていますか?


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