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新ジャンルは、6缶パックで100円上がる! ビール市場は、どう変わる?

5分で読める、最新の経営ヒントを毎朝お届け。日経新聞の記事の中から、マーケッター視点で「今、知っておくべきデータ」をピックアップ。ビジネスマンの「やりたい」の成功確率をアップしてもらいたい!そのために、必要な視点やマーケティング戦略立案のノウハウを紹介しています。

記事の要約:

10月1日からビールの酒税が引き下げられることに伴い、主要メーカー各社が新商品の発売や販売促進を強化する見込みです。アサヒビールはアルコール度数を抑えた新商品「ドライクリスタル」を発売。キリンビールも新商品を投入します。一方、第三のビールの酒税は引き上げられ、6缶パックで約100円程度の値上げが予想されています。

ビールの350ml缶6缶パックの価格は現在より約100円安くなる一方、第三のビールは約100円高くなると試算されています。この価格差縮小によって、消費者のビール選択が増えることが予想されます。ビール酒造組合の調査では、6缶パックが100円安くなる場合、18%の消費者がビールの飲酒量が増えると回答。一方、第三のビールが100円高くなる場合、28%が飲酒量が減ると答えています。

第三のビールでは、夏から駆け込み需要が発生。主力ブランドの8月の販売数量は前年同月比で増加しています。しかし、10月以降は急速にシェアを落とす可能性が高く、サントリー執行役員は「ブランドの淘汰が進む」と指摘しています。一方、ビール各社にとっては追い風となりそうです。

背景には、長期的なビール市場の縮小傾向があります。1994年のピーク時に比べて3割近く市場が縮小。消費者のビール離れが進む中、酒税改正による価格改定は成長の兆しを取り戻す絶好の機会と位置づけられています。

アサヒやキリンなどのビールメーカー各社は、酒税改正を追い風に消費者ニーズをつかみ、中長期的な成長軌道に乗せる戦略が求められます。そのためには、単に安く提供するのではなく、商品開発力の強化や新たな需要の掘り起こしが不可欠となりそうです。



生活者の嗜好はどう変わる?

ビール系飲料の価格改定により、生活者の嗜好が変わることが予想されます。僕は、安さだけで新ジャンルを選んでいた人は離れると考えています。一方で、味が好きなファンは残ると思います。市場シェアトップの「キリンのどごし生」や「サントリー金麦」のユーザーはどう変化するのでしょう。価格改定をきっかけに、生活者のビール選択基準がどう変わるのかを注目しています。

業界外の例えを挙げると、ファストファッション業界でも価格改定が消費者の嗜好に影響していると思います。値上がりした場合、安さを最大の選択理由としている層は離れていきます。一方で、デザインや質を支持するコアなファンは残る傾向があります。ビール市場でも同様の変化が起こる可能性があると僕は考えています。

メディア業界への影響は?

ビール各社の広告費削減が、テレビCM市場にも影を落とします。ビールカテゴリーのCMは多額の予算を投下していただけに、影響は必至でしょう。CM制作会社への発注減少による業界の疲弊も懸念されます。

新聞業界も広告収入の減少に苦しんでいます。新聞購読者の高齢化が進み、広告主もインターネット広告にシフトしています。新聞各社はデジタル化などの対応を迫られています。いよいよテレビCM業界も、広告予算の変化に対応していくことが重要になると思います。

アルコール市場の行方は?

ビール系飲料の価格高騰により、缶チューハイなどの需要拡大が予想されます。コンビニのアルコール売場でも、ビールコーナーの縮小が進んでいます。アルコール市場そのものが縮小傾向にある中、各社の競争は一層激しさを増すでしょう。

業界外の例えを挙げると、カメラ市場も激変しています。スマホの普及によりコンパクトデジタルカメラは衰退しました。各社はミラーレスをはじめとする新商品の開発に注力。市場が変化する中で、自社の強みを活かした戦略転換が求められているのです。アルコール市場も、消費者ニーズを探り、新たな領域を開拓していくべき時期に差し掛かっているのではないでしょうか。

キリンのクラフトビールブランドの拡充や、ホームタップなどの事業開発は、その好例だと思います。。


今日の問い

  1. 貴社の主力製品やサービスは、競合他社の価格変動によって需要が変化するリスクがあるでしょうか?

  2. 貴社の属する業界では、需要の長期的な変化が起きていないでしょうか?市場縮小の兆候やライフスタイルの変化などを敏感に察知し、事業の多角化や新規事業開拓に着手する時期なのではないでしょうか。

  3. 競合他社の参入障壁が下がった場合、貴社の優位性はどのように変化するとお考えですか?これを機に白熱したシェア争いが始まる可能性もあるのではないでしょうか。先手を打つ戦略が求められているのではないでしょうか。


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