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"ブリーフセラピー" "問題優先型コーピング"で、短期間でメンタル不調が解決する?カウンセリング効果てきめん??

EAPメンタルヘルスカウンセラーの資格を取得してからも、カウンセリングの技術が鈍らないように、私なりに自己研鑽を続けています。
具体的には研修を受けたり、カウンセリングの模様をスーパーバイザーに見てもらってフィードバックをもらったり・・・等です。

あらゆる先生の研修や、スーパービジョン:SV(=熟練した技術をもつカウンセラーからの指導)を受講することによりカウンセラーとしてどのようなスタイルで進めていければいいのか・・・日々模索しながら活動しています。

そもそも、心理カウンセリングではどのような視座(自分が何を重きに置いて、相談者支援を携わろうとしているのか)があるのでしょうか?
代表的なものを下記に挙げてみます。

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来談者中心療法(Person Centered Approach:PCA)

相談者の考え方や感じ方をカウンセラーが共感的に理解していくことで、相談者自身の気付きや成長を促し、問題解決を目指していくカウンセリングの方法です。

https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1701/#:~:text=%E7%9B%B8%E8%AB%87%E8%80%85%E3%81%AE%E8%80%83%E3%81%88%E6%96%B9%E3%82%84,%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

来談者中心療法はキャリアコンサルティングを学ばれたことのある人にとってはお馴染みですよね!

認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy:CBT)

思考や行動の癖を把握し、自分の認知・行動パターンを整えていくことで生活や仕事上のストレスを減らしていく方法のことを言います。

https://snabi.jp/article/39#6kc06

対人関係療法(Interpersonal Psychotherapy:IPT)

「重要な他者」との現在の関係に焦点をあてて、その人間関係と症状の関係を理解していきます。そしてその対処法を見つけ出していきます。

https://cocoromi-cl.jp/knowledge/other/psychological-therapy/ipt/

これらは心理カウンセリング療法の中のほんの一部にしか過ぎません。
そしてこの記事でぜひご紹介したい心理療法があります。
それが・・・ブリーフセラピーです。

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ブリーフセラピー(Brief Therapy:BT)

問題の原因を個人病理に求めるのではなく、コミュニケーション(相互作用)の変化を促して問題を解決・解消していこうとする心理療法

https://brieftherapy-japan.com/about/brieftherapy/

心理療法の際、多くは相談者の心の問題として、ものの見方や価値基準が何か?といった視点から、相談者の心について色々と見立てていきながら治療を行います。
しかしこのブリーフセラピーはそうした心の問題にあまりフォーカスせずに、今、この相談者に起こっている状況が何か、ということに焦点を当てて考えます。
つまりは、心の問題となる「原因が何か」を考えるのではなく、「今、ここで何が起きているか」「どうすれば今の問題が解決するのか」に着目します。

「・・・」

みなさん、意味分かりましたか??(笑)

おそらく心理療法を習ったことのない人にとっては、この説明を聞いたところで「???」だと思います。
実際私も、初めてこのブリーフセラピーのことを知った際には、正直に申し上げてよく理解できませんでした。

ただカウンセラーとして少しずつ活動していくにつれて、このブリーフセラピーが、おそらくこれからの私が提供しようとする心理療法のベースになると、徐々に実感していくようになりました。

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私の場合、全3回(隔週ペースで1回)のカウンセリングをカウンセラーとして提供するという機会がこれまでに複数回あり、このような短期間で心の問題を解決しようとすることはまず不可能だと実感するようになりました。

相談者の心について触れていこうとすると、もっと継続的な回数で相談者のあらゆることを聴いていかねばならず、結果全3回のような短いカウンセリング期間では、圧倒的に時間が足りないからです。

それに心の問題は、そう簡単に急激に変わるものではなく、もし心のあり方を変えていこうとすると相当な時間と辛抱さが必要であると、カウンセリングを受けたことのある、相談者・当事者の私として、そう実感していきました。

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そんなある日のこと。私自身が相談者としてカウンセリングを受けていた時に、一方でカウンセラーとしての技術を磨いている私にとって、私が実際に抱えていた心の悩みについて、このように解決していこうと考えている、ということをカウンセラーに打ち明ける場面がありました。

すると、カウンセラーは私に対して、

「それはコーピング、ブリーフセラピーを実施しているんだね」と発言してきたのです。

私:「コーピング・・・?」「ブリーフセラピー・・・あ、聞いたことあるけどよくわかんなかったやつだ!」

そうです、あのよくわかんなかったやつです。

では、私自身がどのようにアクションを起こそうとしたのか・・・

それは、何かしらのストレス不調や極度な不安が襲ってきた際に、私自身の心のあり方に着目するのではなく、ストレス不調や不安が襲ってきていた時に私自身が置かれている状況、環境に何か変化を加えてみようというものでした。

具体的には・・・

  • 「不安に思っていることを人に話してみる」

  • 「家族と会う頻度を増やす」

  • 「職場内での1on1の機会をもっと増やす」

こうした行動を取ろうとしました。
ちなみに、ストレス不調や不安が襲ってきた当時はほとんど人と話したり、家族と会う頻度もそう多くなかったので、人と会う頻度の回数を増やすという状況に変えると考えていたのです。
これらは私の心の問題に触れる、というよりも、まずは私を取り巻いている状況に変化を加える、と言えると思います。

よく心の悩みは人に話したらスッキリするよ〜とか、解決するよ〜ということを耳にします。
確かに誰かに話したら、何かしら抱えている悩みが改善する可能性は大いにありますが、私は着目しているのは、「悩んだら、人に話して解決させる」ではなく「人に話す前と話した後で、悩みに変化があるのか」という視点で人に話したりしているということです。

なので極端な話、人にに話す前と話した後で、悩みがさらに深まってしまった・・・ということも私の場合は想定して行動しようとしました。
(カウンセリングは、何事も「こうしたら絶対に解決する!」なんて断定的なことを言える世界ではないので・・・といっても多くのことは人に話したら結果悩みや心の問題が低減することも、これまでの歴史で多く証明されてきているので、カウンセラーの立場としては、誰かに打ち明ければきっと良くなる!という主張もできるんでしょうけどね)

何度も言う通り、あくまでも相談者の取り巻く状況、環境に何かしらの変化を加えて、悩みにどう影響するのかということを考えていきます。

なので、「人に話す」と言うことでなくても、例えば

  • 朝食は毎日パンだったものをご飯に変えてみる

  • フルリモートで在宅勤務の日は一切外に出なかったのを、1日○分間外出する

こうした小さな行動、状況の変化でもいいのです。
(ちなみに今書いていた気づいたのですが、上記で挙げたような内容は認知行動的アプローチとしても捉えられますね)

話を少し戻しまして、私が取ろうとしていた行動(家族はじめ人に会う頻度を増やす等)は問題優先型コーピングとして挙げられます。のちにこの言葉も、カウンセラーから「コーピングって言うんだよ」と教えていただきました。

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コーピングには2種類あります。

  1. 感情優先型

  2. 問題優先型

感情優先型:感情にアプローチすることを重要視し、辛いと感じる気持ちを変化させたり解消させたりして、ストレスをコントロール
問題優先型:ストレスの原因を根本的に取り除いて、ストレスフルな状況から抜け出せるよう行動すること

https://www.kaonavi.jp/dictionary/coping/

私が実践しようとしたものはまさしく「状況を変えよう」と言うもの。つまりは問題優先型のコーピングの実践を行うというものでした。

状況を変えてみる・・・こうした行動だったら、全3回のカウンセリングの中でも実践することができるかもしれません。

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今日はブリーフセラピー、問題優先型コーピングについて、私の体験を交えて述べてきましたが、みなさんわかりましたでしょうか??

私もカウンセラーとしてはまだまだ半人前にも満たないので(気持ち的には0.1人前くらい・・・)、まだまだこのブリーフセラピーについては知らないことも多くあります。

ですが、私の体験を述べたように、カウンセラーとして成長するには自分が当事者・相談者として心の問題をどう向き合うか、このことに触れたときにカウンセラーとしての学びがとてもよく深まるなと、日々実感していますので、こうした当事者としての体験も交えてながら今後もメンタルやカウンセリングについて述べていければいいなと思っています。


by なっちゃん