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漢方はすぐ効かない!?中医学と日本漢方/中医学の2つの治療方法について

こんにちは。
今日は中医学の治療について書いてみようと思います。

恐らく世の中のほとんどの人は、漢方薬を西洋薬のように対症療法として使用されているのではないでしょうか?

頭が痛かったら、頭痛に対する漢方を飲む。
喉が痛かったら、喉の痛みを抑える漢方を飲む。
イライラしたら、イライラを抑えるための漢方を飲む。

それも間違いではありません。
でも、本当はもっともっと深い部分があるのです。

今日はそれをみなさんにお伝えしたいと思います。

で、漢方漢方って言ってるけど、実は漢方って・・・という話もあるので、今日は中医学と漢方医学(日本漢方)の違いについても一緒にお話したいと思います。


中医学と漢方医学(日本漢方)

世の中ではあまり知られていないのですが、実は中医学で使う薬は漢方薬ではありません。漢方薬、と呼ばれるものも使いますが、中医学で使われるお薬は、本来は中成薬と呼ばれるものになります。みなさんがよく知っている、病院で処方される漢方薬というのは、中国から伝わって日本独自で発展した「漢方医学(日本漢方)」に基づいた処方なので、中成薬よりはかなり種類が少ないのです。

中成薬という言葉を使っても、一般的に伝わらないため、便宜上、日本人に馴染みの深い漢方という言葉を使うことがほとんどです。中国に行って、漢方といっても伝わらないのでご注意ください。(実はわたし、使ってました…通じなかったはずです笑)

中医学は、陰陽学説、五行学説、「黄帝内経」という中医学の生理学や病理学をまとめた医学書などがベースになっているのですが、漢方医学は「傷寒論」がベースとなっています。「傷寒論」も中国の古典医学書ですが、風邪にまつわることが詳しく書かれている本になります。中医学でも傷寒論は同じように重要な古典医学書です。(だいぶざっとした説明ですみません)

日本が鎖国していたことが、中医学の知識が日本独自で発展したことに大きく影響していて、診断の方法などにも違いがあります。
日本漢方に関しては、わたしの見識が浅いため、わたしよりもずっと詳しい先生に聞いてみたところ、色々な流派があって、中医学に近いことをやっている人たちもいるとのことでした。

病院でもらうことの出来る保険適用の漢方薬は、日本の漢方医学がベースとなっているので、とても種類が少ない、ということなんですね。しかしながら、日本独自で生まれた漢方薬にも良いお薬がたくさんあって、中医学でもそれを使うことがあります。

標治と本治

中医学には2つの治療法があります。
それが、「本治(ほんち)」と「標治(ひょうち)」です。

「本治」とは、病気の元となっている体質を改善する根本的な治療
「標治」とは、今起こっている主症状を治療する対症療法

のことを指しています。

【例】しょっちゅう風邪をひいてしまう人がいます

この場合、風邪をひいた時に、熱を下げたり咳を止めたりするのが「標治」であり、しょっちゅう風邪をひいてしまう、という原因になる体質を改善するのが「本治」です。


わたしは減薬についても話しているので、それも例に出してみましょう。

【例】減薬したタイミングで頭痛が出る!

この時に、頭痛の症状を抑える治療をするのが「標治」
頭痛が起こる原因となっている体質を改善していくのが「本治」です。

減薬によって体内のバランスが崩れていることが、離脱症状が出ている原因です。もちろん、減薬を始めるまでの服薬によって体内のバランスが傾いていることも、大きく影響していると考えます。

「標治」として使う漢方薬は、効き目が早いものが多いです。

漢方を飲んでも良くならない!?

漢方を飲んでいるけど、全然症状が良くならない・・・という人がいます。
減薬をしている人でも、漢方を飲んでいてもずっと不調が治らない、という方を見かけるのですが、そういった場合「標治」しかしてないということがあります。書いている漢方薬を見ても、やはり「標治」に対するお薬だな、と思います。

その時の症状を改善することも良いのですが、その症状が起きている根本的な原因を治す、バランスを整え、体質を改善していく「本治」も行っていく必要があるのです。

体質は、長い時間をかけて傾いていることが多いため、本治には時間がかかります。減薬でなくても、長年の時間をかけてそうなったものが、すぐさま良くなるということは、自然界でもあり得ないのです・・・少しずつコツコツ積み重ねることが大切になります。そのため、漢方家や漢方薬剤師の方は、毎日漢方薬を飲んでいる方が多いですね!わたしも毎日漢方薬を飲んでいます。

漢方を使わない、ということであれば薬膳などを上手く利用していくという手段もあります。食品は薬より毒性が低いため、やはり効果もマイルドですが、理論としては漢方薬も薬膳も同じです。

漢方が効かない場合のもう一つの理由

漢方薬を飲んでも効かない理由として、もう一つ考えられることがあります。
それは、出されている漢方薬がそもそも合っていないということです。

中医学の診断というのはとても細かいです。
なぜなら「その人の体質に合った漢方薬、薬膳、養生を勧める」というのが大前提としてあるからです。

熱がある人には熱を抑えるものを使う必要があるし、冷えがある人には温める物を使わなければなりません。熱も冷えもある、という人だっています。
熱がある人の鼻水、冷えがある人の鼻水、この2つの症状だけでも使う漢方薬は違います。

そして、鼻水を例に考える場合だけでも、水の代謝に関わる脾・肺・腎という3つの臓腑の弱りを考えます。このどれが弱っているか?を見極めなければ、治療の方向が間違ってしまいます。もちろん複合して弱っているということもあります。

肺が弱っている場合、さらにどうして肺が弱っているのかな?ということを考えます。他の臓腑の弱りからの影響もそうですし、それと同時に、季節・気候・住環境・飲食・感情などの影響も考えています。

わたしたちの体は、とても複雑に色々なことが絡み合っているので、中医学ではその全ての影響を考えながら診断・治療をしています。

まとめ

いかがでしたか?
中医学がどういったものか、少しイメージが掴めたでしょうか?
中医学や漢方は「なんとなく効くもの」と思われがちなのですが、実は、あまりやんわりとしたイメージで選ぶものではありません。なんとなくしか効いていないのは、もしかするとなんとなく選んでいるからかもしれません。

よく「中医学はマクロ的」と表現されることがあります。
細かい細かいところまで診ていく中医学だからこそ、得意なジャンルもたくさんあるんですよ⸜(*ˊᵕˋ*)⸝‬









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