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ルーティンは性善説ではなく性悪説で設計する。業務のデジタル化は、事業規模拡大の必須アイテム

一緒に働いている同僚の仕事を、疑ってかかるのはいかがかものかと思う人もいるでしょうが、私は自分も含め、他人の仕事(作業)を全くと言っていいほど信用していません。

かなり偏った考え方かもしれませんが、それもこれも、社員20人の中小企業から上場企業になるまでの間に内部統制が整備されていく過程を生で見てきたから。そして、上場における会計基準では数字の正確性をいかに重要視しているかを知ったから。

整った会社になる前の企業が、内部統制がとれた上場企業になるためには、何をどう変えないといけなかったのか。

上場企業になる予定はなくても、事業拡大を目指す企業が必ず通らなくてはならない道を、数多ある企業の一例にすぎませんが、思い出しながら綴ってみようと思います。


人の作業にはミスがある前提でルーティン業務を設計する。

ミスがある=仕組み化ができていない

ミスがないようにするために、仕組みでカバーすることは全ての業務効率化に有効です。仕組みが流れ出して、均一なデータが溜まり出すと、エラー値の発見も早くなります。つまり、ミスが顕在化する前に見つかりやすくなります。

効率よく安定的な事業運営するための指標として、上場に向けての内部統制では、客観的に見てどんな仕組みで事業が回っているかをシビアにみられます。

前提として、ここで言う仕組みとは気遣いとか声がけとかそういうことではなく、チェック機能やデータといった数字がものを言う分野についてのはなしです。

結局、ミスを減らすにはシステム導入しかないのですが、システムを導入する意義は、ミスがそもそもできないように人がする仕事を排除できるところと、客観性の担保にあると思っています。

発注から仕入れ販売や売上といったデータも全て串刺しにし、同じ数字が寸分の狂いもなく流れていく。そこに人の手は必要ありません。人がやるのは途中の工程で起こったトラブルで発生した数字の増減を正確に記録することです。

とにかく、人がやる作業を排除して、システムに入力された数字で状況を把握します。それ以外は信じないし認めない。

そうやって、人が操作できるところをなくして、数字の増減の理由がどこでも把握できるようにならないと、ミスがミスとして認識できるようにならないからです。

仕組みの善し悪しが不正を生む

未だにFAXや紙の手渡しで受発注をする会社って結構あります。

元の情報がシステム上にあり、そこからデータを引っ張ってきた帳票類を取引先にFAXしてるなら、受け手の体制に合わせた業務の一環だと思うんですが、個人のパソコンで作ったExcelやWordの請求書でやり取りしてる場合は、紙でやり取りしてるのと変わらず、数字の信憑性はないです。

手書きや個人が作ったExcelやWord資料の問題は、請求と入金情報が紐づかないし、全ての情報の確認を人がやらないといけないことにあると思ってます。

前述のように、人はミスをするもの。ただ同じ数字を転記するだけの業務も、人を介した時点で正確さは失われます。

それで事業が成り立つなら全てが悪いとは言いませんが、数字の繋がりという点においては落第点。

結局この方法だと、本部は支店で誰になにをお客様に請求してるのか、どれが回収できて、何ができていないのかの突き合わせはできてないわけです。やってたとしたらすごい手間をかけてやってると思います。

請求している件数と、お客様の数も当然把握してないから、現場で現金が無くなっていても後々になってからしか分からない。

勤務してる人がみーんなお金の管理に誠実で、一切の不正をしない。そんな根拠の無い信頼をしてるわけです。

そんなに人は完璧じゃない。

繋がっていないデータはミスや不正の温床になります。

本来そういう性根でない人でも、悪気なく悪事に手を染めてしまうかもしれない。そんな危険も孕んでいます。

本部から離れれば離れるほどやりたい放題。これはもう仕組みが悪いと私は思うわけです。

ルーティン業務を性悪説で設計する。それは、いらぬ誤解やトラブルを未然に防ぐために必要不可欠なんです。

その為に、最低限必要な仕組み(システム)があると思ってます。

業務のデジタル化は将来の会社のサイズを決める

デジタル化してない会社の問題点って、沢山ありますが例えばこんなことが挙げられます。

・経営判断に必要な数字データの信憑性が担保されない。
・正確な数字の把握に時間がかかり、タイムリーな判断ができず対応が後手にまわる。
・属人的な体制で人への依存度が高いため、品質が安定しない。
・チェックに大事な人材が割かれるため、日々の業務に追われ、投資的な動きが取れない。

こんな体制でどうやって会社を大きくするのかな?と思うわけです。

今まではそれでよかった。だからこれからもこのままいけるだろう。

そんなわけないです。会社が大きくなるということは関わる会社と社員が増えるということ。増えた関係者を食べさせていくために、いきあたりばったりな家族経営的な経営では大きくなれないんです。

これからもっと影響力のある会社になりたい。そう思うなら、デジタル化と人への依存解消は常に両輪で回し続けないといけないのです。

そこに注力せずして、会社は大きくならないし、なれない。

これらのことを踏まえると、デジタル化してない会社が上場するなんてことはありえないんじゃないでしょうか。上場したり事業を拡大していくというのは、1つの指標にしかすぎませんが、事業規模を大きくしている会社は揃ってこの辺りをちゃんと対応しているのが紛れもない事実だと思うのです。

ここで、昔話をご紹介します。
私は前職の入社当時の2007年、社員20人、年商20億の企業が、2013年に東証マザーズに上場するその瞬間をラッキーにも経験しました。6年におよび上場企業になるための準備を内部から見てきたわけですが、社員が20人の規模であっても、月次の売上やリピーターの数、問い合わせ件数の推移などある程度の詳細データは月初には数字が出てました。

入社当時は小さな会社でしたが、東名阪にショールームもあり、半年に1回、カタログも発行していました。毎日100件以上は見積してたし、それに伴う発注や出荷業務も手配件数が多く、とてもじゃないけど紙でなんて業務をまわしてられない業務量でした。

発注書や注文書など、上長のチェックや保管文書として保管義務のある書類は紙でも保存してましたが、業務の全てはシステムを介して行ってました。

ここで私が声を大にして言いたいのは社員20人でもデジタル化してるところはしてるし、会社規模と業界にデジタル化は関係ないということ。

また、デジタル化している会社は、その後の急な売上増にも対応しやすいということです。

もっと上を目指しているから、その売上に耐えうる社内体制を組む。それは社長を始めとする上層部の考え方なんでしょうが、結局のところ、組んだ体制以上の売上はつくれないのです。

数年後にたどり着きたい売上目標の前に、その目標を下支えする体制は最低限必要なんだと思います。

デジタル化の恩恵は処理スピードと人件費削減にある

ITベンチャーがたった数人で何億もの売上を上げられるのは、IT技術を使っているからにほかなりません。

人がやる業務を極力減らし、システムに仕事をさせるから、問い合わせ件数と売上が上がれば上がるほど利益率があがります。

どんな事業であれ、人より高いコストはありません。この当たり前のことに、真面目に取り組んでない中小企業が案外多いです。

効率化の本質は人件費の削減です。デジタル化に消極的な会社も多いですが、消極的であればあるほど、事業成長の機会を失っていることに、意外と気づいてない会社経営者が多いことに驚かされます。

勢いとノリに見えても、急激に大きくなる会社は内部の整備をちゃんとしてる。数社しか経験していませんし、会社の内部事情を窺い知れる企業は少ないですが、会社の将来性を客観的に見る上で、どんな業界であれ、この視点でみて予測が外れたことはありません。

 転職する際にも、自分の求める社内体制があるかどうかって自身の働き方を左右する重要なファクターなので、面接時に是非聞いてみてほしい基準だと思います。

グループウェアが入ってない企業は赤信号。その他会計や経理といった業務支援ツールが入ってないところも黄色信号でしょう。(えー、そんな企業あるの?と思うかもしれませんが、福祉事業では意外とあるあるかもしれません💦)

会社の将来性を判断する上でも、押さえておきたいポイントと言えそうです!

この記事は2022年1月に作成した未公開の原稿をリライトしたものです。

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