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「Midsommer」ディレクターズカット版

夏至の日でリバイバル上映がされる(なんと粋な計らい!)との事で、「Midsommer」DC版を映画館で鑑賞。

通常盤はアマプラ鑑賞だったので、家と映画館とで、音のパンがどちらに振られてるかや聞こえ方、細かな音響の対比などを感じつつ、映画館で観れる喜びに浸りながら、通常盤とどこがどう違うかを感じていた。


ヒグチユウコさんのポスターも最高!もうほんとに公開予定のA24のポスターは全部ヒグチさんに描いて欲しいよー。ヒグチさん大絶賛のオオカミの家も早く見たいよ!8月まで待てない!



激しくネタバレするので、内容を知りたくない方はご覧になってから読んでくださいね!
因みにミッドサマー、通常版のレビューはこちらから読めます。
http://blog.livedoor.jp/aselindebison2008/archives/2052095.html





大きなシーンの追加は3つぐらいだと思うけど、細かなカットや音楽の入り方、一つのシーンの尺などが違ってそれを探しながら楽しめた。

DC版の方が話の筋立てやキャラクター性をしっかり感じることが出来て、クリスチャンとダニーとのすれ違いが通常盤よりもわかりやすくなっている気がした。2人が大きくすれ違う重要な言い合いのシーンがあったことで、2人が周りの力だけで急に引き離された感から、ちゃんと順を追っていて、通常盤で話がJumpしてるように感じたのか解消された。

ここから激しくネタバレします✂︎----------------

相変わらずのカルトの怖さを感じる描写もありそうでリアルに怖い。
ペレが言葉巧みに2人をすれ違わそうとするのとかコニーやサイモンの事で村人全員で話を合わせた嘘をついたり、そもそもペレはこうなることがわかってて、彼らを誘ってたんでしょ?最初から仕組まれて連れて行かれたんだね。怖いよ!イングマールに至っては生贄に立候補して最後、炎に包まれるし、村人は命をすぐに差し出せる、それは輪廻転生の教えを信じきっているから。
実世界にも色んな宗教やカルトがあるけど、同性婚や離婚を夫婦別姓を禁じたり、教祖にお金を献金したり、命を捧げたり、
狂ってる人たちもたくさんいる。でも、長い時をかけてマインドコントロールされていく。それを短時間で見せてもらった感じ。

追加されてた夜の湖のシーンはだいぶ印象的だった。子どもが生贄に自ら立候補する。私が個人的に大浦天主堂で殉教の事などを学んで教養を深めた後だったので、色々重なって、前回とは更に異なる感情に。
宗教のために死ねるという人達の気持ちを少し理解できるようになってしまったのか!?
ダニーのひと声で、みんながそれに従って、その子が生贄から逃れた、その流れに違和感。この時から彼女は徐々にメイクイーンへの階段を上っていなんだな~
ダンスで勝てたのも彼女をその世界へ引き込むための八百長だろうし。

相変わらずのマークの俗世っぷりは初めから際立ってて、むしろ癒し。彼は迎え入れられる白人のはずなのに、素行や性格から、交配すら望まれない笑

崖から落ちるグロいシーンも、最後の燃える家に連れて行かれる死体たちがどうしてもリアルに見えず、人形に見えてしまって私はそこまで恐怖を感じなくて、寧ろ、村の人たちが白夜の中で種々の儀式のために奮闘したり、声をあげたり、醸し出す異様な雰囲気の方に恐怖を覚える。

今回は絵が示唆する惚れ薬だけではなく、はじめのダニーの部屋に飾ってあった熊と冠をかぶった少女の絵とクライマックスの繋がりにも気づけた。

クライマックスで、ダニーがトービヨンではなく、クリスチャンを選んで、本当のラストシーンでダニーが燃え盛る炎を見ながら微笑むシーンはもう鳥肌モノ。

彼女は救われたんだよね??クリスチャンを罰してすっきりして、新しい家族を手に入れて…そう思いたいけど。
クイーンになったばかりの時は花冠だけなのに、最後はすごい花に囲まれてもう身動き取れなくなってて、それがホルガに絡め取られたことを表現しているように思えた。

エンディングの前半で流れる曲のクレジット、The Sun Ain't Gonna Shine Anymore(太陽はもう輝かない)だったことに気づいてしまって、曲のチョイスセンスに脱帽! 

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NYでフリーランスのライターと日本語の先生をしています。どこまでも自由になるため、どこにいても稼げるようなシステムを構築しようと奮闘中。