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そんなつもりじゃなかったのですが。

珍しく、満員のバスに乗った日のこと。

その日は雨で、バスは遅れ、とにかく来たバスに乗らないと間に合わない!と言う顔をした人々に溢れた満員のバスに乗り込みました。

わたしもそのバスに乗らないと間に合わない。

そして乗り込んだ時、うまい具合に後方の通路が空いていたのでそこに立っていました。

扉は満員すぎて閉まらないので、『ビーーーーーーー!!』と悲鳴を上げています。そのたびマイクから運転手さんのアナウンス。

「中へお入りください~扉が閉まりますー!」

これ以上、中には入れなくてもそうするしかない。湿気と熱気とでみんなのイライラが高まっていくのが分かりました。

次のバス停で、目の前の席の人たちが降りたので、人を避けるためにも座席に座りました。

ホッとして座っているとまた、次々と人が乗ってくる(とにかく乗せる運転手さん)。

少しは隙間が空いたと思った場所にも、またぐいぐい人が乗って来て私が座った席の横にもぎゅうぎゅうと人が集まりました。

すぐそばには70代くらいでしょうか。ジャケットを着て、大きな荷物を抱えた白髪交じりの男性が立っていました。

一瞬、席を譲ろうかとも考えましたが、とにかく動くこともできない満員状態で、譲ろうにも譲れない雰囲気。

その男性もしっかりと立たれていたので、次で降りるし、と様子を見ながらも座ったままでいました。

そして降りるバス停に着いたとき。少し後方の座席から、降車口へ行くまで人の波をかき分けなければいけません。すぐそばの、大きな荷物を抱えた男性にも避けてもらわなければいけないので早めに立ち上がり、降りる意思表示をしました。

すると、バスが止まった途端、その男性も慌てて降りようとしたので『同じバス停だったのか!』と思いながらその男性の後ろをついていくように速足で進みました。

ふと、わたしが着いてきたのを驚いたように、一度男性が振り向きましたがさらに駆け足で慌てて前を向いて走り出したので、後ろの降りる人たちを確認したのかな?

と考えながらも、その男性に続いて少し駆け足でバスを降りようとしました。

降車口が目の前、今まさに男性が降りようとしたその時。

なんと、男性がもう一度振り向いて、慌てた表情をして運転席の後方の隙間に無理やり入り込んで止まったのです。

・・・・・・・・え?止まった???

一瞬不意を突かれて驚きましたが、とにかく私は降りるので慌てて降りて。

そして分かりました。

あの、荷物を抱えてしっかりと立っていた白髪交じりの男性。

私がなんなら、席を譲ろうかと思った年配の方は、私が降りることに気づき、急いで降りようとしている私に気を使い、

・・・・・・いや、もしかしてもしかすると、

男性と変わらないスピードで迫りくる私に・・・・・

驚いていたのでしょうか(笑)?!

慌てて一度振り向いた顔。さらに加速した彼の駆け足。ものすごく焦った顔で、運転席後方の隙間に入り込んで止まった瞬間。

思い出すと・・・・私の気迫が追い込んでいたようにしか思えない・・・・・・。

道を空けるためだけに、後方座席から降車口まで一気に走らせてごめんなさい・・・・・。

この場を借りて、御礼と、お詫びを申し上げます。

ただただ、早くバスから降りようとしていただけなのです・・・。

(そんなに怖かったのかな、私(笑))

 

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