【詩】落ちた定期
落としてしまったんだ
右のポケットに入れたはずの
僕の定期乗車券
毎日 僕に行き先を示していた
この行き方を守ればいいと
高校へも
大学へも
会社へも
毎日 この行き方を守ればいいと
だけど
落としてしまったんだ
いつものところにあるはずの
僕の定期乗車券
レールが外されたような
レールを踏み外したような
レールを切り外したような
いき方を失って
終着駅はただの駅になる
結ばれない場所に立って
別のいき先を見出す
魔がさしたのだ
僕は定期を落とした
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