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エクスプローラーの論点(アンソロジー3)

アンソロジー(英: anthology、仏: anthologie)は、異なる作者による作品を集めたもの。通例、特定のジャンル(文学分野)から複数の作品をひとつの作品集としてまとめたものを指す。多くの場合、主題や時代など特定の基準に沿ったものが複数の作家の作品から集められる。俳句・短歌・詩を集めた句集や歌集・詩集のみならず、小説や漫画などの同人による作品を収めた同人誌(合同誌)、更には卒業文集もアンソロジーである。

wikipedia「アンソロジー」より引用

月1くらいでnote更新したいオーヴァンですよろしくお願いします!
「エクスプローラー・アンソロジー3」(以下EA3)が7月18日(日本では19日)にMTGアリーナで販売開始・使用可能です。全25枚と新セットリリースに比べれば微々たる変化ですが、まるで「コレを使え!」と言わんばかりに注目カードが収録されています。
これによる論点を掘り下げるのが本記事です。新規エクスプローラープレイヤー向け内容かもしれませんがどうぞ最後までお付き合い下さい!

前回の記事です。環境のおさらいの前にご覧下さい!

環境のおさらい

直近のエクスプローラー大型大会The Pizza Box Open: Explorerではグルール機体が優勝。採用こそ見送られているもののヴォルダーレンの興奮探しの加入でアップデート。
本家パイオニアでは変わらずラクドスミッドレンジがメタゲームの中心にいるものの、神決定戦ではラクドスサクリファイスがアゾリウスコントロールを退け、チャンピオンズカップファイナル サイクル3は緑単信心がエニグマファイアーズを下すなど、どのデッキにも上位に食い込める可能性が垣間見れます。また、ボロス系アグロや変態変異コンボなどの新たなアーキタイプも台頭しています。一言で表すなら下記の通り。

『勝ちたいならこれだけは使うな!』みたいな酷い選択肢がほとんどない。どのデッキにもワンチャンスがあって環境に支配的なデッキが存在しないから、メタゲームをコツコツ追いかけることのバリューが少なくて、プレイヤーも一つのデッキの練度を高める傾向にある

市川 ユウキのパイオニア解説 ~今から始めるパイオニア~ より抜粋

そういったパイオニアの環境に、エクスプローラーの環境がEA3の追加でさらに近づくことになります。今回の論点は大きく2点で、まずはいよいよ揃ったこの2枚から始めましょう。

この時もプレインズウォーカーの灯は失ってないらしい
デカァァァァァいッ説明不要!! 11マナ15/15!!! トランプル!!!

論点①独創力コンボ

2/19 PTファイレクシア優勝デッキ
「時を超えた探索」以外はエクスプローラーで再現可能に

戦闘前メインフェイズに不屈の独創力で自軍アーティファクト/クリーチャーを破壊→デッキ唯一のクリーチャーである上記2枚が戦場に送り込まれ→ワームが速攻を持った上にパワー2倍で即座に殴りつけるコンボ・コントロールデッキ。30点喰らって生き残れるデッキはエクスプローラーには皆無(セレズニア天使がワンチャンあるぐらい)であり、「決まれば即勝利」と言っても過言ではない。どうにかワームを除去しても5/5トークンが3体湧いて出て、ゼナゴスと合わせて20点分のクロックが残る。またワーム本体はライブラリへ戻るため、次の独創力でもう一度走ってくる。

6/26 The Pizza Box Open: Explorer 4位
変わり谷に替えてミレックスが採用されている

エクスプローラーにおける独創力コンボは奔流の機械巨人を呼び出してマグマオパスを踏み倒す、所謂「オパス型」が主流。崇高な天啓と機械巨人のシナジーが特に強烈で、本家パイオニアの大型大会でも上位入賞歴がある。

6/11 MIT Championship 台灣冠軍賽 4位(スイスラウンド1位)

オパス型のメリットは独創力をX=1で打てる点や、独創力に頼らずとも機械巨人を手札から唱えられる点が挙げられる。ゼナゴスは宝物トークン経由で出せるサイズだが、ワームを唱えるのはあまり現実的とは言い難いので、ルーティングや「火山の悪意」などでワームを手札からライブラリーに返すように動く。逆に墓地に依存しない点や、決まれば(追放やバウンスをされない限り)即勝利できる点はワーム型のメリットと言える。

他にもラクドスカラーで異形化と併用した「アトラクサ型」も存在する。
いずれの型もコンボに不可欠なのは、変身元になるアーティファクト/クリーチャーの供給手段。パワーストーンを出す「厳しい授業」宝物を生む「プリズマリの命令」「大勝ち」は手札に来たワームをライブラリに戻す役割も兼ね、土地からも変わり谷などミシュラランドやミレックスで変身元を用意できる構造になっている。極めつけはお馴染み「鏡割りの寓話」。1章と3章で2枚分のクリーチャー用意可能で(おまけにトークンで殴れればアーティファクトも生み出せる)、ルーティングを有し、更にフィニッシャーをコピーしたりと役割が多彩な万能薬。ほんまにこのカードは・・・ほんまに・・・

易々と独創力が通せる相手に有利で
・緑単信心はカーン経由で石の脳を持ってきても間に合わないので、独創力が通る前に攻め切る緑単と守るイゼットの構図になりそう。イゼットはマナクリを焼く手段が豊富。
・エニグマには独創力コンボで捲れそうな気がするけどどうなんだろう?

逆にコンボを妨害しながら攻めてくるアグロ系が苦手で
・白単はサリアが鬼刺さりな上にゴバカーンによるコンボ妨害もある。
・先置きしたクロックを守る手段が豊富なスピリットも厳しい。
故にサイドに引き裂く流弾が多く取られている。

その他では
・ラクドス:要所でハンデスや除去を刺せるか、刺させないかがポイントになりそう。除去を読んで独創力をX=3以上で打ったり、ラクドス側が思考囲いを寓話か独創力どっちを狙い打つかとか細かい駆け引きが上手い方が勝ちそう。サイド後は強迫が増えてラクドスちょい有利ぐらい?
・アブザン脂牙:ブン回りはアブザンの方が速そうだがイゼットが火力とカウンターでブン回させない構図。アブザンのミッドレンジプランとイゼットのコントロールプランなら寓話分イゼット有利ぽいけどヴェリアナがキツそう。
・アゾコン:コンボ抜いてサメ台風と船砕きの怪物が入ったサイド後が本番。

・・・回したことないから知らんけど。独創力4枚分のワイルドカードを使って組んでみようと思っていますが、ゼナゴスとワームは1枚ずつあれば十分なのでEA3の購入は冷静に考えたが良さそう。などと考えている間に、次の論題が舞台上に見えてきたようです。

MTGにおいて演劇の舞台は「建造物」でなく「土地」

論点②アゾリウスロータス

6/11 MIT Championship 台灣冠軍賽-第三循環 優勝
下記のリストと違う点はどこか?
6/3 F2F Tour Championship - Toronto Round 3 (Regional Championship) 準優勝
答えはサメ台風と放浪皇

戦場の土地いずれかのコピーになれる演劇の舞台が睡蓮の原野に化けることで、3マナ出せる呪禁持ち土地を水増しできる。このシステムをアゾリウスコントロールに組み込んでマナアドバンテージを得たデッキがアゾリウスロータスだ。
演劇の舞台以外にも睡蓮の原野セット時の強烈なデメリット(土地2枚生贄)を無視する手段が用意されている。1つは厳しい試験官、相手のEtB誘発に負荷を掛けられるので、エクスプローラーの多くのカードが機能低下する。(対ラクドスで極稀に2ターン目にクロクサが着地するが、デッキに1枚入っているかぐらいなので可能性は割り切れるレベル)。もう1つは不連続性、原野セット後にターンを終了することで原野の誘発を打消す役割と、ゲーム後半ではさながら追加ターンのように相手を封じ込める役割を担う。

そしてデッキの心臓はドミナリアの英雄テフェリー。ドローしつつ原野をアンタップする+1の動きがアゾリウスコントロール以上に強力で、それだけでゲームを終わらせてしまう。このカードはほんまに・・・ほんまに・・・

源流のアゾリウスコントロールと比して、ラクドスミッドレンジとの相性が改善されている。今後増えると見越してラクドス側は除去枠にシェオルドレッドの勅令を検討した方が良さそう。
サイドボードには対コントロールを見越して思考のひずみが取られており、またそれを見越してか「ナーセットの逆転」も採用されている。

アゾリウスロータスの論点は下記の記事が詳しい。

そして下記は同じく睡蓮と舞台を採用した「ロータスコンボ」と呼ばれる別デッキ。

PTファイレクシア 4位
使用者は世界王者ネイサン・ストイア選手
基本でない土地もサーチOKなので、原野も舞台も持ち込める。

ロータスコンボはEA3で土地サーチ手段「森の占術」を手に入れたが、見えざる糸が収録を逃したためアリーナではお預けとなってしまった。しかし将来的に必ず再現可能なので、アゾリウスロータスに興味を持った方はこちらもデッキの動きを確認しておくといいだろう。

論点③その他、注目の収録カード

「EA3だって?だったら、伝統あるケラル砦流の歓迎をしてやらなくては失礼に当たるねえ。」

6/25のパイオニアショーケースチャレンジ(MO)優勝など、最近になって注目のボロス果敢。復興の領事、ピア・ナラーとの噛み合いから少なからず採用実績がある。残念ながら岩への繋ぎ止めが収録されず完全再現には至らないが、パーツは十分に揃っていると見受けられる。
チャンドラ所縁の地、ケラル砦の修道院長が母ピアナラーへご挨拶、君たち結婚でもするのか?

発明品の唸りの兄貴

BO1で稀に見かけるエルフの強化パーツ。召集のおかげで見た目以上に軽く打てる。群れのシャーマンで突然死を狙って良し、再利用の賢者などシルバーバレットして良し。EA3を買う理由になれる1枚。

腹に魔除けを描くな

ゴルガリチャームといえばコレ。なお敗北したセレチャはEA3から外された模様。

パイオニアリーガルなの知らなかった...

ゴルガリからチャームと一緒に死儀礼のシャーマンがMTGアリーナに登場。
パイオニアでの実績は控えめだが、しばしば見かける黒単ハンデスとかで出番無いかなぁ?この先を見据えてEA3の段階で入手しておきたいと思ってしまう。

対するセレズニアからの刺客

昔強かったカードが今も変わらず強いとは限らないが、使ったことが無いので試してみたいEA3を買う理由。エクスプローラーのセレズニアは天使が主流で居場所を見つけられないかもしれない。
先刻からゴルガリとセレズニアの二項対立を狙っているかのような書き方になっているが他意は全く無い。ただ他にもラヴニカ出身のカードが多く収録されており、EA3のコンセプトみたいになっているのかなぁ?と思える。

お前の収録は本当に謎なんだが...?

大会に出てみよう!

推しのオーガナイザー、SB36氏の下で今回も最速エクスプローラー大会が催される。EA3買う人もそうでない人も楽しめる大会になるのは間違いありません。特に来週末のメタゲームチャレンジに挑む方にはぜひお勧めしたいイベントです!
7/22 21:10~ エントリーはこちら

最後に

自身の勉強のつもりで不案内なデッキを題材に取り上げましたが、ただでさえ遅筆なのに加えて文献を漁る工程もあって気づいたらアップデートが来てしまいました。。。ただ独創力もアゾリウスロータスも、調べるうちに自分も回したくなってきました。EA3、購入するか個別にワイルドカードを切るかは悩みどころですが、ぜひ一緒に悩んで下さい。そしてヒストリックアンソロジーも買うかどうか一緒に悩んで下さい。そして皆で一緒に楽しみましょう!

最後まで読んで下さりありがとうございました!


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