【パイオニア】アゾリウスロータス・ガイド
こんにちは。
チャンピオンズカップファイナル・サイクル2でスタンダードが一区切りし、チャンピオンズカップファイナル・サイクル3のために再びパイオニアに戻ってきていました。
先月のプレミアム予選でラクドスサクリファイスを使用して惨敗した後、アゾリウスロータスに目をつけ、
パイオニア神挑戦者決定戦:7-1(準々決勝負け)
チャンピオンズカップファイナル:8-3-1(18位)
と、まずまずの成績。
チャンピオンズカップファイナルの方はプロツアー権利獲得圏内の入賞を果たしました。
今回は新たな愛機となったアゾリウスロータスのお話になります。
■アゾリウスロータスとは?
通常のアゾリウスコントロールに《睡蓮の原野》《演劇の舞台》のコンボを搭載したデッキです。
《睡蓮の原野》は戦場に出た時に土地を2つ生け贄に捧げるので、本来はマナが増える土地ではありませんが、《厳しい試験官》でこの土地を生け贄にする能力を打ち消したり、《不連続性》で《睡蓮の原野》の誘発ごとターンを飛ばすことで、突然3ターン目に一挙3マナを増やせるのです。
そして《睡蓮の原野》はただ土地3枚分になるだけではありません。アゾリウスコントロールを代表するカード、《ドミナリアの英雄、テフェリー》があるためです。
《ドミナリアの英雄、テフェリー》は土地を2枚アンタップできますが、それで《睡蓮の原野》を2枚起こすと、なんと6マナを確保。実質タダで《ドミナリアの英雄、テフェリー》を唱えられるというわけです。
回った時は圧巻で、4ターン目に《ドミナリアの英雄、テフェリー》で4マナ立てて《記憶の氾濫》。次のターンに《告別》を撃ちながら《放浪皇》などといった、これまでのアゾリウスコントロールでは考えられない動きをします。
■アゾリウスロータスの魅力
・ブン回りが存在する
従来のアゾリウスコントロールは打ち消しと除去で時間を稼ぐデッキで、そのアクションのほぼすべてが受け身なものでした。
相手が序盤に動かなければこっちも動けません。ゲームを動かせるカードは《放浪皇》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》ぐらいで、その中盤に手札破壊を差し込まれると、「序盤に相手が動いてこない」という本来アゾリウスコントロールにとって望ましいはずの展開でも、ゲームに敗北してしまいます。
一方、アゾリウスロータスには《厳しい試験官》から《睡蓮の原野》があります。更に次のターンに《演劇の舞台》を置けば、あっという間に4ターン目にして8マナを確保でき、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を出しながら《至高の評決》を打って《不連続性》を構えて相手のターンを飛ばすことも可能です。
相手のアクションに依存することなくこちらの理想の動きができるのは、このデッキの魅力です。
・コンボパ―ツの個々の強さ
アゾリウスロータスのコンボパーツである《厳しい試験官》、《不連続性》、《睡蓮の原野》。これらはすべて、単体でも十分に機能するカードです。
《厳しい試験官》は現在のパイオニア環境でほぼすべてのデッキに刺さるカードです。どのデッキのどんなカードに刺さるか紹介しましょう。
エニグマファイアーズ:ほぼすべて
緑単:《茨の騎兵》と《ビヒモスを招く者、キオーラ》
アブザンパルヘリオン:《エシカの戦車》・《領事の旗艦、スカイソブリン》・《ラフィーンの密通者》
白単:《骨化》・《サリアの副官》・《粗暴な聖戦士》
スピリット:《呪文捕らえ》・《霊廟の放浪者》・《鎖鳴らし》
独創力:《奔流の機械巨人》、《偉大なる統一者、アトラクサ》
ボロス召集:ほぼすべて
ラクドス系以外にはほとんど刺さるカードであることがお分かりいただけますよね。
《不連続性》も《睡蓮の原野》を置く以外に様々な使い方があります。
まず最も多いのが、相手のターンを飛ばす使い方です。本来の使用用途です。
相手のターンが飛ぶので、たとえばアップキープに打てば相手はドローも攻撃も呪文のプレイもセットランドもプレインズウォーカーの起動も行えません。実質《時間のねじれ》です。
《睡蓮の原野》から《ドミナリアの英雄、テフェリー》を出して相手のターンを《不連続性》で飛ばす動きは強力で、勝ち手段の1つです。
また、相手がこちらのターンにインスタントなどを唱えた際に《不連続性》でターンを終了すると、そのインスタントは解決されません。つまり、疑似的な打ち消し呪文にもなります。《集合した中隊》などはぜひ消したいですね。
ちなみに、《不連続性》を打った際にスタック上にある他のカードはすべて追放されるので、《記憶の氾濫》を打たれた時に《不連続性》でターンを飛ばすと、そのまま追放することができます。
《睡蓮の原野》と《演劇の舞台》は、コンボパーツでありながら、そのままセットランドしても十分に強力なカードです。《厳しい試験官》と《不連続性》が引けずに《睡蓮の原野》で土地を生け贄にすることは多いですが、なんなら僕は20回戦やって、土地を生け贄にした回数の方が多いぐらいです。
それでも《睡蓮の原野》は十分に仕事をします。
前述のように《ドミナリアの英雄、テフェリー》をアンタップすると大量のマナを立てられますし、3ターン目に《睡蓮の原野》で土地を生け贄に捧げる→4ターン目に《演劇の舞台》で《睡蓮の原野》をコピー→5ターン目に《ドミナリアの英雄、テフェリー》+《不連続性》なども可能です。
このように、コンボパーツがすべて単体でも強力なカードであることから、このデッキはコンボ要素を盛り込みながらも、普通のコントロールデッキとしても遜色ない動きができ、それもまた魅力なのです。
■なぜアゾリウスコントロールを使わないのか?
アゾリウスコントロールを使わなくなった時、よくこの質問を受けました。
実は僕、アゾリウスコントロールを見限っていました。アゾリウスコントロールにはどうしても誤魔化せないデッキの欠陥があり、それが耐えられなかったのです。
まず1つ目が、勝つために必要な土地の多さです。パイオニア環境の様々なデッキの必要土地枚数を考えてみましょう。
ラクドスミッドレンジは《鏡割りの寓話》が置ければ大体のことは解決し、引かなかった場合でも4枚の土地があればデッキはしっかりと回ります。
《勢団の銀行破り》・血トークン・《鏡割りの寓話》でデッキも回り、マナフラッド受けには《バグベアの居住地》などもあります。
緑単・アブザンパルヘリオン・白単は3枚の土地があれば問題なくデッキが動きます。
独創力・エニグマは4枚。
さて、アゾリウスコントロールはいかがでしょうか?
5枚の土地と《ドミナリアの英雄、テフェリー》さえあれば十分でしょうか?違いますね。《ドミナリアの英雄、テフェリー》が生き残れば5枚の土地で勝てますが、実際《ドミナリアの英雄、テフェリー》は倒されますから、そこから土地を引き続け、《記憶の氾濫》まで辿り着いてようやくゴールです。
2つ目は、最初に挙げた理由に起因するのですが、マリガンした時の弱さです。
アゾリウスコントロールは勝つために必要な土地の枚数が多いため、このマリガンがとても厳しい。
普通ならば3枚のスペルと4枚の土地が来てマリガンで1枚を戻すとなれば、土地を戻します。勝つためには土地が5枚あればいいですからね。
しかし、アゾリウスコントロールは一考する必要があります。時には4枚の土地を残しておく必要もあるのです。
アゾリウスコントロールが安定しているデッキかと言われれば、僕はノーと答えます。これは去年から変わっていません。土地とスペルをバランスよく引きつつ、マリガンはできない。それがアゾリウスコントロールなのです。
■アゾリウスロータスを選択した理由
そしてこのアゾリウスコントロールの弱点を、アゾリウスロータスは克服しています。
《睡蓮の原野》と《演劇の舞台》が揃えば、生け贄に捧げる2枚の土地を合わせても僅か4枚。たったこれだけで《ドミナリアの英雄、テフェリー》を出すことができ、更に4マナを使えるので、《ドミナリアの英雄、テフェリー》も守りやすい。
《厳しい試験官》か《不連続性》を引いた場合は3枚の土地で5マナまで伸びます。たった3枚の土地でデッキはひとまず回ってくれるのです。通常のアゾリウスコントロールなら、《記憶の氾濫》を握りしめながら、4枚目の土地をドキドキしながら待っていなければならないのに!
少ない枚数の土地でデッキが動くなら、当然マリガンに強くなりますし、《ヴェールのリリアナ》や《真っ白》などにも耐性がつきます。
3枚の土地で9マナが出るなら《ヴェールのリリアナ》でどんどん土地を捨てられますからね。
アゾリウスコントロールを諦めた最大の理由は、勝つために必要な土地の枚数が多すぎることにありました。
そしてそれを克服したアゾリウスロータスは、アゾリウスコントロールの利点だけを持った素晴らしいデッキだと思い、それが選択理由になりました。
■デッキリスト
チャンピオンズカップファイナルでは、以下のデッキリストを登録しました。
メインボード
1:《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》
1:《ヴァントレス城/Castle Vantress》
1:《皇国の地、永岩城/Eiganjo, Seat of the Empire》
1:《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants》
4:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
4:《連門の小道/Hengegate Pathway》
4:《灌漑農地/Irrigated Farmland》
2:《島/Island》
1:《平地/Plains》
4:《睡蓮の原野/Lotus Field》
3:《演劇の舞台/Thespian's Stage》
4:《厳しい試験官/Strict Proctor》
4:《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》
3:《放浪皇/The Wandering Emperor》
3:《至高の評決/Supreme Verdict》
4:《魂の仕切り/Soul Partition》
2:《ジュワー島の撹乱/Jwari Disruption》
4:《記憶の氾濫/Memory Deluge》
4:《不連続性/Discontinuity》
3:《告別/Farewell》
3:《サメ台風/Shark Typhoon》
サイドボード
4:《ドビンの拒否権/Dovin's Veto》
3:《ポータブル・ホール/Portable Hole》
2:《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》
2:《方程式の改変/Change the Equation》
1:《敬虔な新米、デニック/Dennick, Pious Apprentice》
1:《サメ台風/Shark Typhoon》
1:《多元宇宙の警告/Behold the Multiverse》
1:《演劇の舞台/Thespian's Stage》
■調整ポイント
・《魂の仕切り》
回していて最初に感じたことが、序盤のアクションの少なさでした。
《睡蓮の原野》を3ターン目に置いて《厳しい試験官》か《不連続性》があればこの遅れを取り戻せますが、もしなかったら?そう考えた時に、《魂の仕切り》を入れようとまず思いました。
有料部分のマリガンの話にも、《魂の仕切り》の採用は関わってきます。
このデッキの《魂の仕切り》は本当に強い!全体除去が6枚入っていて、中盤以降に使えるマナが増える(=急に動きが強くなる)ので、《魂の仕切り》で得る2ターンが非常に大きいのです。
・ドロースペル減量
従来のリストには《多元宇宙の警告》2枚、《啓示の終焉》、《夢さらい》と大量にドロースペルが入っていましたが、それらはすべて不要と判断。
《睡蓮の原野》を探しにいける《多元宇宙の警告》はともかく、《睡蓮の原野》でマナブーストが前提となる《啓示の終焉》は本当に弱い。《不連続性》もマナが伸びた後に強いカードなので、マナが増えた先のフィニッシャーは無限にあります。
《夢さらい》は真っ先に抜けました。《ヴェールのリリアナ》喰らって叫ばずにいられますか?俺には無理でした。
《多元宇宙の警告》はラクドスミッドレンジ相手にはほしいので、サイドには入れています。
・《ドゥームスカール》不採用
《ドゥームスカール》の利点は3ターン目に全体除去を打てることです。
しかし、3ターン目に打つには以下の2つのハードルを越える必要があります。
1.2ターン目までに《ドゥームスカール》を引く。
2.3ターン目に白白を揃える。
このデッキの白マナは《睡蓮の原野》を除いて15。3ターン目にダブルシンボルを揃えて、かつ《ドゥームスカール》を2ターン目までに予顕して、ようやく強いカードです。
まず3ターン目に全体除去が欲しい場面がどれぐらいあるのでしょうか?ボロス召集以外のマッチでほしいとは思いませんでした。
3ターン目は《睡蓮の原野》を置くターンだというのも、《ドゥームスカール》が弱いと感じた理由でした。
《至高の評決》はいつ引いてもしっかり4マナで打てますし、打ち消されないのでスピリットにも安心です。
・《ポータブル・ホール》
「《厳しい試験官》が入ってるから入れられない…」とか甘えたこと考えてアグロから目を瞑って不採用にしていたのですが、冷静に考えて必要でした。
パイオニア神挑戦者決定戦で同じアゾリウススピリットに2回負けたのですが、原因の1割ぐらいは《ポータブル・ホール》を入れなかったことにあるかなと思います。
《厳しい試験官》がいる時も3マナ払えば置けるので、普通に強い除去でした。《連門の小道》4枚のおかげで普通のアゾリウスコントロールより1マナで置きやすいのが嬉しい。
・《パルン、ニヴ=ミゼット》
パイオニア神挑戦者決定戦で同じアゾリウススピリットに2回負けて、その原因を分析して辿り着いた1枚。
アゾリウススピリット相手に《ポータブル・ホール》は効果的ですが、除去だけ連打していても、こちらの手札が増えないとジリ貧になります。相手は《幽体の船乗り》でカードも引けますからね。
しかし、《ドミナリアの英雄、テフェリー》はスピリット相手には非常に弱い。まず戦場に出ることが稀ですし、解決しても倒されてしまいます。そのため、サイド後は2枚ぐらい抜きたいカードです。
そこで、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を抜く代わりにリソースを取れるカード、あわよくば1枚で勝てるカードが欲しいと思い、《パルン、ニヴ=ミゼット》を思いつきました。
これはかなり好感触で、スピリットとの相性が良くなっただけでなく、同じく《ドミナリアの英雄、テフェリー》をサイドアウトする青いデッキ全般にも入れられる、良いサイドカードとなりました。
本戦でもイゼット独創力とミラーマッチで大活躍してくれました。
・《敬虔な新米、デニック》
アブザンパルヘリオンに対して一番強いカードです。
《安らかなる眠り》は自分の墓地の《記憶の氾濫》が飛び、これは手札破壊が入ってくる相手に対して致命的になります。
《失われし者のランタン》もそうですが、これらのカードは《ウィザーブルームの命令》で割られるので、劇的ではありません。
その点、《敬虔な新米、デニック》は《ウィザーブルームの命令》で触られないだけでなく、コンボが決まらない時のサブプランである《エシカの戦車》にも強いカードです。本体を《放浪皇》などで処理すれば、トークンが《敬虔な新米、デニック》に殴ってこれないので、アブザンパルヘリオン相手に非常に強いのです。
・《方程式の改変》
元のリストで《霊気の疾風》だったスロット。
《霊気の疾風》である意味はほとんどありません。打ち消せない呪文を対処できる・戦場に出たカードに触れるのが良いポイントですが、悪い点もたくさんあります。
まず、対処したカードを次のターンにすぐプレイされる点です。最も嫌なのが《鏡割りの寓話》です。《霊気の疾風》を打てば当然相手は上に置いてもう一度プレイしてくるだけです。《霊気の疾風》は何もしていないのと変わりません。
そして、ラクドスミッドレンジのように「《鏡割りの寓話》は対処したいけど赤いカードはあまり入っていない」相手に対してサイドインしづらいのも、マイナスです。
《方程式の改変》ならば《思考囲い》などにも打てるため、腐ることはあまりありません。
以上により、《霊気の疾風》ではなく《方程式の改変》を採用しています。
・《演劇の舞台》
お互いにカウンターを構えあう青いコントロール対決でサイドインします。
追加のドロースペルや打ち消しを増やしたところで、結局土地が止まっては話になりません。
このデッキの《演劇の舞台》は突然マナが3つ増えるので、4枚目を入れる効果は絶大です。ただ土地を増やすだけではないのです。
■本戦のお話
アブザンパルヘリオン(はまち)××
オルゾフ人間(ライザ)〇〇
アブザンパルヘリオン〇〇
エニグマファイアーズ〇〇
イゼット独創力(kkさん)〇×〇
ボロス召集(マノアさん)〇×〇
エニグマファイアーズ〇〇
緑単(優勝者)××
アゾリウスロータス〇〇
ラクドスミッドレンジ(矢田くん)××
エニグマファイアーズ〇〇
ID
ラクドスに1回しか当たらずに、代わりにエニグマに3回当たる幸運に恵まれて18位に入賞。最後は勝ってもトップ8の目は0で、負ければ賞金圏外。IDしても80%ぐらいの確率で賞金圏内になり、対戦相手の方もプロツアーの権利を欲していたのでIDに。
2日を通してエニグマに3回当たるなど、マッチアップ運は良かったですが、引きはあまりよくなく、「アゾリウスコントロールを使っていたら負けてただろうな…」と思いながらプレイしていました。
アゾリウスロータスは統計ではアブザンパルヘリオンとスピリットにとにかく負けているデッキですが、僕のリストはこの2つを強く意識しつつ、デッキパワー自体はそのままなので、割と全方位に戦えるデッキに仕上がっているのではないかな、と思います。
スピリットには当たらなかったものの、《パルン、ニヴ=ミゼット》はイゼット独創力とアゾリウスロータスミラーでしっかり活躍してくれましたし、ロータスだからこそオルゾフ人間にも勝てました。
ここまで読んで、「アゾリウスロータスを使ってみたい!」「デッキが気になった!」と思った方は、ぜひこの先の有料部分をお楽しみください。
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