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Gutsヒロのスイーツ・ストーリー:道のりの一歩目で学んだ大切なこと篇

Gutsヒロです。投稿企画「転職体験記」をテーマに私のお話したいと思います。

私の人生の大きな岐路は、小学生の時に母から教えてもらいながら作ったクリスマスケーキです。私は本を読みながら作るさまざまなお菓子は食べてくれる人の笑顔を咲かせるハッピーなものでした。お菓子だけじゃ物足りず様々な料理にも挑戦しました。

私は小学5年生で不登校になりました。当時、私の学校でいじめによるきっかけで不登校になったのは前例が無く、私は異端児のように扱われ一人ぼっちになりました。家で一人でいて、つまらない時間を過ごしました。しかし、この不登校をきっかけに毎日のようにお菓子や料理をする時間ができて、それが私の楽しみになり生きがいになりました。

私の近所に住む親戚のおじちゃんがいました。おじちゃんは料理好きな私に色々なことを教えてくれました。七輪と炭を使ってバーベキューをしたり、お互いに手作りした料理やお菓子でパーティーもしました。私は幼い頃から料理から生み出す幸せや楽しさを学びながら成長することができました。

私は中学卒業後、1年浪人と通信制高校の4年通学を経て20歳でようやく高校を卒業することができました。私は普通の人よりも高校を卒業するのが遅れたことにコンプレックスを感じていました。しかしながら当時の私は料理を通して人を楽しませる挑戦をしたいと思い、鈍行列車で10時間、遥か遠い関西でたった20万円を握りしめ、一人で自分の実力や人間力を試す挑戦の決意をしました。しかし、私を雇ってくれる場所は無く、お金も尽き、ホームレスになり、ようやく見つけたのが女性が接客する水商売のお店でした。私はそのお店でボーイとして雇われました。当時、TVではキャバクラやホストの人達が一躍注目されていた時代でもありました。当時の私は、何万円もするお酒を注文し、お店で楽しんで何十万円も使って楽しむ人たちの理解ができませんでした。しかし、私が初めて働く飲食店が水商売だったことが私の人生にとって大きな影響を与えてくれました。

水商売の世界では安いお酒でも一本何万円もします。しかし、女性と楽しむために惜しまずお客様は注文をどんどんします。それはお酒の価値やお金、女性が美人でもなく、その場をただただ楽しみたい、自分の好きな女性と特別な時間を過ごしたいということを知りました。飲食店の価値、水商売の価値について私はすごく勉強し、会社の別のお店でも勉強をさせて貰いました。やがて私はボーイとして、後に店長にもなり、裏方としてお店を盛り上げる、お客様が喜ぶ事をたくさん企画しました。しかし、水商売とはいえ厳しい世界でもありました。その中でも1つストーリーを紹介したいと思います。

数日後バレンタインでした。しかしながら私のお店では盛り上がりがイマイチでした。女の子も予約は取れてなさそうでした。私は企画を立てました。

「みんなでお菓子を作りませんか?私が先導してやりますから一緒にやりましょう!」

女の子たちは元々料理をする子達ではありませんでしたし、正直言って面倒くさいと思われていました。私はバレンタインの前日にカップケーキのガトーショコラを作るために自前で用意した道具と材料、お店の古いオーブンレンジを使って作り始めました。最初は私を含め3人でやりました。しかし、時間が経ち最後の頃にはみんなでワイワイ楽しく作っていました。化粧が得意な女の子達は自分のセンスで余ったチョコやアラザン、チョコスプレーで綺麗に美しくデコレーションを楽しくやっていました。

バレンタイン当日、私は社長の指示で本社に呼ばれました。全店舗の店長が全員起立しています。室内の雰囲気が緊張感のある空気が流れていました。そして社長が来て緊張は更に高まりました。社長は2メートルもある力士のような人だったので怖かったです。そして、社長が言います。

「今日の予定はどうなってるんだ?」

1番左の人が今日の予定をすらすら言います。すると合格だったのか、次の2番目の人が、
「〇〇さんが一件の予約あります。」
それを聞いた社長が立ち上がり2番目の人はビンタされ吹っ飛びました。私はまだボーイだったので予定を聞くほどお店の事情は知りませんでした。もちろん女の子から予定なんか1つも聞いていません!あえて言うなら楽しくみんなでガトーショコラを作ったことでした。数人吹っ飛ばされて、とうとう私の番になりました。社長は「今日はどうなっている!?」と怒涛の声が響き渡ります。私はもしかすると殺されるんじゃないかと思いつつ震える声で、

「みんなでケーキを焼いていて、そのケーキをお客様にふるまってパーティーをする予定です・・・。」

私は少し盛った話を言ってしまいました。すると社長は、

「ケーキってなんだ!?」

と追求の声を私に言います。私は、

「実は社長に食べてもらうために少し持ってきています・・・。」

すると社長は爆笑して

「なにぃ!?食わせろ!」

と食べてもらいました。すると社長は私に近づいて来ます。満面の笑顔で、

「お前!やるやんけぇ!!」

と、力強くも優しく私の背中を叩いてくれました。さっきまで緊張感でいっぱいだった空気も和み、社長は満足したのかそれ以上の追求もなく地獄のミーティングは終わりました。

しかし、問題は今日の予約があるのか、ないのか分からないことでした。私は自分のお店まで辿り着く間の時間ずっとヒヤヒヤしていて背中は汗でびっしょりでした。なぜならあれだけ喜んだ社長の期待を裏切ったら・・・あぁっ!想像しただけで怖い!

お店に着くとケーキの甘い香りが漂っていました。私は変に女の子にプレッシャーを与えないようにいつものように接しました。すると一人の女の子から、

「あのケーキ使っていいんだよね?」

と聞かれました。私は「もちろんです!!」と答えました。もしかして予約取れそうなのかな!?助かるのかな!?確信がないのに私は期待でいっぱいでした。すると、お客様の来店があったのです。女の子が、

「私が指示出したらケーキ持ってきて」

私はそれを聞いて、「よっしゃー!!」と思いました。するといつの間にかお店は満席になっていたのです!お客様は、手作りのケーキを食べて満足して奮発にボトルを何本も出ました。バレンタインのイベントは大成功を収めたのです!

私の立場でいうのは筋違いかもしれませんが、お客様の中で女の子が作ったケーキを泣きながら食べていただいたお客様がいました。後から聞いたら女の子の手作りのケーキを生まれて初めて食べたそうです。

私は、バレンタインのちょっとしたサービスと考えていましたが、そのお客様にとっては本当に特別なことで、その話を聞いた時は自分の仕事の重要性が心に突き刺さる、とても大事な感情を感じたのです。

このイベントは私一人では成功はありませんでした。やはり女の子達が不器用ながらでもお客様に心を込めて作ったことがとても重要だったのです。たとえ安い材料でも心を込めて作れば価値以上に価値があり、嬉しくて泣いて食べてくれるほどの素晴らしいものが作れるという素晴らしく貴重な経験をしたのでした。

私はこのお店で沢山のことを経験し、飲食店の仕事というものをとても堪能させていただきました。そして、やがて私はお店を去り、地元に帰ることになります。理由は2つあります。1つは時代の流れがあり、私の技量ではこれ以上お店を盛り上げる力がなかったことです。私は当時自分の持っているものを全て出してお店を盛り上げて来ましたがやり尽くして私の中で満足をしたことでした。2つは医者からお酒を飲むなと言われるほど内臓のあちこちがボロボロになっていたことです。

私はこの経験で沢山得ることがありました。例え実力がなくても、田舎者でも、大馬鹿者でも、世間知らずでも、真摯に向き合い裏表なく正直であれば、遥か遠い街でも人は受け入れてくれて愛してくれること。私はお客様と、女の子を盛り上げる裏方で尽くす立場でありながらも逆に色々な面で助けられて、楽しませてくれて、大きく成長させて頂きました。

高校卒業は20歳で、アテも無くホームレスになったけれど、頑張ればお店の店長にもなることができる。店長をさせていただいた経験は、私の人生でとても重要な武者修行でした。私はたった20万円を握りしめて自分を試した決断は本当に良かったと思いました。何度も実家に帰ろうかと思いましたが最後まで諦めずにやって本当に良かったです。

その後、私は療養期間を設けて、いろいろ考えましたがやっぱり「食」を通してお客様に幸せを提供する仕事がしたくて、やがて飲食店の仕事を再開するのです。それはクリスマスケーキの話や、近所のおじさんとの料理、水商売での本当の価値は何なのか、形も環境も違うけれど本質的な部分は共通していて私はその幸せを生み出すことのできる価値ある仕事に魅力を抱き料理人になる決意をしました。

そして料理人になる決意をして、12年経ちました。現在、私は幼かった頃から憧れていたパティシエになり、沢山の人達の協力や支援があって、自分のお店を持つことができました。そして、まもなくスタートする予定です。

最初のスタートは私のnoteを読んでいただいた方への販売にする予定です。なぜなら今の世の中、美味しいケーキ屋さんは沢山あります。私もそれなりに美味しいケーキやお菓子は作れますが本当に提供したいのは美味しいお菓子もですが「愛や幸せに満ちたお菓子」です。それは、これまでの人生で沢山の幸せを私はいっぱい頂きました。お菓子を通して私の幸せのお裾分けをしてハッピーな時間を味わえる、そんなお菓子を提供できるお菓子屋さんになりたいのです。それは、私の人生の使命だと思っています。

私みたいな人間でも可能性があり、僅かでもチャンスにも恵まれ、人生を変える人にも巡り合うことができました。何度も挫折し、ハンディーキャップを抱えても夢を諦めなければ、いつかはきっと叶う。努力や練習や経験は裏切りません。私の一歩一歩は他のパティシエよりも遅かったですが真剣にやってきたその一歩があったから今日があります。

皆様の「今日」にも、もしかしたらチャンスやきっかけがあるかもしれません。stay dream(夢を持ち続ける)があればきっと皆様にも幸せな夢が訪れます。


Gutsヒロ


今回の写真は、オレンジと赤ワインのサバランです。

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最後まで読んで頂きましてありがとうございました!とても嬉しいです♪ これから更新して頑張って参りたいと思いますので今後とも宜しくお願い致します!