佐々木智也うつわ展開催中
2020年11月29日まで佐々木ともやさんのうつわ展開催中です。
毎年私もこの季節が楽しみで、搬入の時のワクワク感はとても大切なものとなっています。
毎年どんなお皿が並ぶのだろう、と観る側の楽しみも、
どんな方の手に渡るのだろう、という送る側の楽しみもあります。
お客様の中には佐々木さんの長年のファンで
必ず少しずつお皿を買う方もいます。
「少しずつ、少しずつ買って食卓のお皿を広げているの」
と嬉しそうに話していました。その楽しみ方、素敵だな。
お皿に限らず、家具でも服でも、とにかくセット売りが最近目に付く。
服であれば、シーズンごとにワードローブ済み、コーディネート済みのものを頼むことができる。一気に買ってガラッと雰囲気を変えることもできなくはない、そんな世の中の動きは時々急かされるようで
いったいこれはなんの消費の仕方なのだろう、と立ち止まることもある。
服のコーディネートを考える手間がなくなる、時間がないというときに助かる
とはいうものの、本当に着たい服なのだろうか、と思ってしまう。
今や誰もが自分の姿や食卓、家庭の様子を発信している。そうした時代に
人から見て違和感のないように、流行に置いてかれないように、時短で取り繕うのであればニーズはあるのかも知れない。
一気に様子を変えるための時間が短ければ短いほど、執着もなくまた手放して次のものを入れたりするのかな、と考える。
私は一度佐々木さんから購入した急須の取手を割ってしまったことがある。
お茶碗もうっかり割ったことがある。
知り合いのつてでそれらは金継ぎを施されて今も手元にある。
金継ぎされている間はとても待ち焦がれていたのを覚えている。
金のアクセントが施された器たちは見た目にも美しく、かけた時間も変えがたいものがあった。
直しては使う、使えるように工夫する、を私たちは繰り返してきた。
器ひとつひとつと向き合い、自分の家のお皿を思い浮かべ、コーディネートする。
服も器も似ていると思う。
少しずつ、少しずつ、時間をかけて自分の家に馴染んでいく器たちを大切にして欲しいなと感じる。
器たちは搬入されたばかりの頃、ピン、ピン、と音がする。
この音は貫入が入っている音だそうだ。伸縮によって釉薬でできたガラス部分に細かなヒビが入っている。
器たちは外の空気を吸って、馴染もうとしている。深呼吸しているのだ。
貫入は100年続いてやっと器が完成される、とも言われる。
窯で命を吹き込まれた器たちはこうして長い長い時間を私達とともに歩み始める。
ぜひ一緒に暮らしていく器を探しにお越しください。
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