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CTO・VPoEのキャリア〜急成長の要は経営チームの強さである〜株式会社メディカルフォース CTO 畠中 翔一

こんにちは、Startup Tech Live事務局です。CTO・VPoEのキャリアシリーズでは様々な企業のVPoEにインタビューを行います。
どのようなバックグラウンドがあり現在VPoEとして活躍しているのか、VPoEとして何に向き合っているのか、過去のキャリアから現在の仕事まで深くインタビューをします。
今回は「これからの産業の成長プロセスを合理化する」というVISIONを掲げ、より多くの産業に対してテクノロジー活用を実現することで、現場の業務効率化を超えた産業自体の成長を目指す株式会社メディカルフォースのCTO 畠中翔一氏にStartup Tech Live(以下、STL)がインタビューを行いました。


現在に至るまでのキャリアについて

畠中さん)今でこそCTOですが、元々は医学部志望でした。
親の意向もあり医者になろうと思っていましたが、改めて自分が本当にやりたいことは何だろうと考えたときに人工知能やAIに興味があったことを思い出しました。
漠然とですが、その延長線上で、いつか起業してみたいという思いを持ち始めました。
大学は工学部に進学し、大学1年生のころからエンジニアのインターンを始めました。当時は、プログラミングやエンジニア自体がバズっていたこともあり探してみると、多くのインターンの機会がありました。
私は知人の紹介で入りましたね。

STL)メディカルフォースをCEOの大嶋さんと一緒に起業したのは、2020年末だと思いますが、大嶋さんと初めて会ったときのことは覚えていますか?

畠中さん)初めて大嶋に会ったときは2020年の夏で、当時はまだ大学在学中でした。元々起業や新しい挑戦をしたい人がいたときに、自分のできる範囲であれば支援すると決めていたので大嶋以外にも、起業を目指す人達の手伝いもしていました。

大嶋が圧倒的に他の人達と違ったのは行動力の早さでした。
新しいビジネスを始めるにあたって、多くの人にメッセージを送り、すぐさまアポイントを取る。周りを巻き込む実行力を見て、このスピード感を持っている起業家と一緒に事業をやりたいと思いました。

2020年の夏に大嶋と出会い、その年末にメディカルフォースを登記しました。2021年3月に大学を卒業し、その後、大学院に進学しましたが、最終的には中退すると決めて今に至ります。

メディカルフォースの立ち上げ

STL)初めにメディカルフォースを立ち上げたとき、構想していたビジネスモデルや領域は今のメディカルフォースと変わらないのでしょうか。

畠中さん)厳密には違いますが、あまり変わっていないですね。当初は、自由診療の領域でCRMをやろうとしていました。
ただ、現実的にCRMから着手することが難しかったので、電子カルテの部分から始める方針に変更しました。今はCRMも作り、商材の一つになっているので、そういう意味では当初の構想からずれていないのですが、回り道をしたという感じです。

STL)その後に加わったCOOの組田さんは、お知り合いでしたか。

畠中さん)組田は、私の高校時代の友人です。彼は自分で会社を起業してCTOを務め、その会社をDMMにバイアウトした経験があり私と大嶋にないピースを持っているメンバーだと思い誘いました。

彼が事業売却を終えてロックアップ期間も終わり、ちょうどフリーランスになったばかりのタイミングだったこともあり、「まずは手伝うよ」というところから参画してくれました。
そのときは私もまだ大学院に籍もある時期でしたが、今後資金調達をして会社や事業をより加速していくフェーズに差し掛かり私も組田も「フルタイムで会社を成長させていくぞ!」と意思決定しました。

エンジニアリングと経営の融合

STL)エンジニアとCTOとしての差を、畠中さんはどのように感じていますか。

畠中さん)エンジニアとCTOの大きな違いは、技術的な側面だけでなく経営的な視点を持つことです。
CTOは、技術戦略を立てるだけでなく、事業戦略にも深く関わる必要があります。また、エンジニアリングチームのマネジメントや、採用、組織作りなども重要な役割です。

株主との約束や経営チームの一員として約束を実現するために、エンジニアリングをどのように活用していくかを常に考える必要があります。HowではなくWhy・Whatから自分ですべて考えていかなくてはならない重要性を実感しています。
特にこのWhy・Whatの観点を見つけにいくのは一番最初は難しいと思います。業界知見が詳しかったり、元々その業界にいたのであれば別だと思いますが。
私の場合はまず一次情報を取りに行くためにお客さんの意見を聞きWhy・Whatを見つけにいきました。インタビューを通して、業界の人たちが抱えている課題・改題解決のために何ができるのかを徹底的に考えました。

たくさんのインタビューを通していくとクライアントの事業への思いや課題に共感することもたくさんありますね。結果業界の人たちとの対話を重ねることで、プロダクトや事業の方向性を定めていくことができたと思います。

テクノロジーの力で事業成長を加速する

STL)現在、畠中さんはCTOとして、経営課題をテクノロジーで解決するプロフェッショナルだと思います。経営層としての面白さとエンジニアとしてのテクノロジーの面白さについて、どう感じていますか?

畠中さん)弊社のビジネスモデルは、様々な産業においてプロダクトをつくっていくため、PMFをたくさん生み出していかなくてはなりません。

新しい領域や自分の知らない領域であれば、商談や営業も全然やりますし、テクノロジー領域以外のことでも勉強しています。
テクノロジーやエンジニアリングにこだわらず会社を大きくするための挑戦であれば今はなんでもやりたいですし、それが面白いとも感じています。

ただ、やっぱりエンジニアリングは好きですし、テクノロジーの可能性は事業成長のための大きな鍵になるので自分としても、会社としても強みの1つとして今後も伸ばしていきたいです。

例えば、売上目標達成のために、マーケティング施策に投資するor営業で商談を増やすみたいな方法はいくつかあると思います。
もちろんやった分だけ数字が伸びるとは思いますが、
エンジニアリングは劇的な伸長率や改善ができたりと魔法のような解決策を生み出すことができるんですよね。

顧客の持っている課題や困っていることを本質的に理解して、正しいものを作れば大きな道が開ける感覚がすごくあって、それは素晴らしいなと思います。
お客さんのリアルな声を反映できるからこそ、不確実性が低く、効果が期待できるものを提供できる。そこはテクノロジーの強みであり面白さですね。

一方で、事業全体を見渡し様々な角度から課題解決のアプローチを考え、事業課題に直結するソリューションを提案できるのは、経営層ならではの面白さでもあります。
フェーズによるかもしれませんが、両方の視点を持ちながら、会社の成長をリードできるのがCTOの醍醐味なのかもしれません。

結果を出すことへのこだわり

STL)学生時代のエンジニアリングの勉強、そして今は経営や事業に関する勉強と非常に努力家な方だなと改めて感じました。
また学ぶだけではなく、最終的なアウトカムへのこだわりを感じました。
企業としてどれだけ成果を出せるか、お客さんに価値を届けられるか。良い意味での執着心を持たれていますよね。

畠中さん)そうですね。アウトカムに向けて、課題の特定、課題解決、このためにインプットをするということを大事にしています。
目的があるときのインプットは、めちゃくちゃ楽しいですし、インプットしたことをすぐに活用しないと忘れてしまうので、アウトカムを意識するようにしています。
無理にインプットするのではなく、とにかく発揮したいアウトカムがあって、うまくいっていないところに対してインプットをするという流れがあるのかもしれません。
アウトカムを起点に、必要なインプットを行うことで、学びが結果に直結する
のだと思います。

より良いプロダクトを目指して

STL)経営陣同士で、普段どのようなコミュニケーションをとっているのでしょうか。

畠中さん)3つのコミュニケーション種類があります。

まず1つ目は、毎朝15分の定例時間を設けて話をしています。一番はじめに経営陣がオフィスにいって、クイックにでも全員でコミュニケーションをとることを大事にしています。

2つ目は、週に1回1時間ほどあえてアジェンダのない話をすること。できるだけ先の話をするようにしています。

3つ目は、会社として意思決定しなければいけないことを、部署のマネージャーと私たち経営陣で、次の1週間の部署の方針を決めることです。

このように、コミュニケーションの頻度は多いかもしれません。
やらないといけないこと・未来を俯瞰してみたときの考え・ざっくばらんなコミュニケーションといった感じでディスカッションテーマごとに会議体を変えて話すことが多いですね。

なのでプロダクト⇔ビジネスでの共通理解も今はしっかりできていると思います。
それこそ初期段階はCEOの大嶋自身もプロダクトの改善や方向性を決めるために、開発に関わることもありました。
単に開発を手伝うというよりは、プロダクトオーナーとしての視点から開発に携わっていたイメージですね。

私も営業の現場にもでていたので、ビジネス<>プロダクト両方がお互いの領域に踏み込みながらも、プロダクト・事業の成功というゴールに向かって協力しています。
技術的な側面とビジネス的な側面、両方の視点を持ち寄ることで、より良いプロダクトを作り上げていけると信じています。

CTO の試練:経営判断とエンジニアとしての苦悩

STL)これまでで、経営層として最も大変だったことと、エンジニアとして最も大変だったことがあれば教えていただけますか。それぞれの立場で大変だったことがあるのか、あるいは共通しているのか教えていただきたいです。

畠中さん)CTOとしての課題とエンジニアとしての課題は、実は共通している部分があるかもしれません。
以前大規模なエンタープライズ向け商材のPMFを撤退すると意思決定したことがありました。
その意思決定においては非常に悩みましたし、苦労しましたね。

フロントに立っていたのも、その商材の要件定義や開発の責任者もすべて自分でした。当時だと事業インパクトも非常に大きいものではあったので、撤退するという意思決定をするのが非常に怖かったですね。

あとは前述で「テクノロジーは魔法のような解決ができる」と言いましたが、それが全然できない時期でもあり悩むことは多かったです。

結果としては大嶋にもサポートしてもらいながら、社内外ときちんと話をしながら進めることはできましたが、1つの意思決定のために、経営陣としての悩みとエンジニアとしての悩み両方の側面がでましたね。

共同創業ということもありますが事業における意思決定にも大きく関わっていますね。
ただ、日常的な動き方で言えば経営と技術のミッションは半々くらいです。まだこのフェーズなので、新しいプロダクトの開発でコードを書くこともありますし、開発チームの中で最も大きいチームのプロダクトマネージャー的な役割もまだ担っていますね。

メディカルフォースの強み:経営陣の緊密なコミュニケーション

STL)開発組織のトップとして、プロダクト作りに関わる全てのことに携わっていらっしゃると思います。自らコードを書くこと、メンバーのマネジメント、組織設計など、現在最も大変なことはどのような点でしょうか。

畠中さん)やはりメンバーのマネジメントが最も大変ですね。マネジメントをちゃんとやろうと思ったら、メンバーとのコミュニケーションの時間が必要だと思っています。

チームの規模が大きくなってきたり、経営の仕事が増えてきたりすると、だんだんとメンバーに割ける時間が少なくなってしまいます。
メンバーの成長とパフォーマンスを最大化させるために、一人ひとりをちゃんと見てあげて、困っているタイミングでサポートしたいのですが、自分が納得するほどできていないのが現状です。

自分にとっても新しいチャレンジではあるものの、マネジメントが得意・プロフェッショナルな方と一緒にチームづくりができるとすごく嬉しいですね。
あまり表にはでていないですが、実は弊社の開発チームメンバーってめちゃくちゃ強いエンジニアが揃っているんですよね。
なので、メンバー一人ひとりのスキルをさらに成長させながらより強固なチームを組成してくれる方がいたらぜひお願いします!(笑)

STL)メディカルフォースの事業の場合、マルチプロダクト的に複数のプロダクトをつくっていくことが非常に重要なのでより強い組織が重要ですよね。
VPoEなのかEMなのかマネジメント・組織面でリードしてくださると事業成長もさらに早いスピードで進みそうですね。
ちなみに、畠中さんから見て、経営チームに足りないピースや課題感はありますか?

畠中さん)そうですね。やはり、事業戦略を考えたりすることにはコミットできて、それなりに正しい方向に進んでいけると思うのですが、組織に関しては手探り感があります。
この組織の作り方でいいのかな、といった不安があったりします。
また、エグゼクティブ採用をはじめとした布陣を強化していく体制もまだまだ納得のいくものではないので、組織周りに強く、もっと攻めてくれるような存在がいると良いなと思っています。

今までは事業の垂直立上げが重要ミッションであり、全員でここに向かって走ってきました。組織づくりは優先度も高いですし、事業成長においても必要不可欠です。
安定した事業成長を作り上げると共に足元の課題を誰かに任せる体制を作り、経営チームが組織づくりにしっかりコミットできるようにしていかないといけないと考えています。

STL)事業と組織、両面での取り組みを進めていくことは本当に難しいですが、乗り越え続けなければいけない壁ですよね。
畠中さんのお話から、組織の課題に真摯に向き合い、改善に向けて尽力されている姿勢が伝わってきました。

また経営陣同士が膝を付け合わせた密なコミュニケーションができているからこそ事業・プロダクト共に高いアウトカムを発揮できているんだと実感しました。
一方で開発チームだけではなく会社全体として組織拡大においてはまだ課題があるからこそ、その分の伸びしろは大きなものだとも思いました。
特にメディカルフォースの事業上、強く大きな組織をつくっていくことはものすごく重要であり、事業成長に大きなインパクトにもつながると思うのでこれからのさらなる成長を期待しています!

インタビュー(CTO・CPO)

イベントレポート



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