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人はなぜスタートアップをやるのか?未来の労働観についての考察:StartupとBullshit Job

そもそも、人はなぜスタートアップをやるんでしょうか?
スタートアップに限らず、なぜ人は自分で事業(サイズ問わず)を始めるんでしょうか。

金じゃない

一昔前は、スタートアップとかベンチャー企業を始める人(創業者)に対して、一発当てて一攫千金を狙いたい人、みたいなイメージがあったかもしれません。

が、前の記事でも書いたように、起業の期待収益率は低い。

金が欲しいなら、起業じゃない道を選んだ方が良いんです。

優秀な起業家はそんなことは分かってます。

目的でもない?

じゃあ、何かのミッション(目的)に向かって、起業するんだろう、と考えるかもしれません。

解決したい課題があってそれに向かって情熱を燃やして働いている起業家も多いと思います。それは素晴らしい事だと思います。

が、新規事業のほとんどは失敗するんです。お前、そういう盛り下がるこというなよ、と言われてしまうかもしれませんが、これは統計的な事実です。

目的は達成できない可能性が高いです。残念ながら。目的を達成するためだけに起業するなら、割の悪すぎるベットです。

やってること自体が楽しい

金も儲からない、成功する確率も極めて低い、なのになんで人は起業するんでしょう?スタートアップをやるんでしょう?

それは、事業をやること自体が楽しいからに他ならないと思います。

自分で目標を設定し、そこにたどり着く方法を自分で考え、試行錯誤を繰り返し、組織を作り、人間社会や新しいテクノロジーに関して洞察し、自分でリスクをとり、未来に思いをはせるのが楽しい。

だから起業するんだと思います。

Autonomy of Thought: 思考の自治


ずっと前に読んだHow google worksという本で、Googleの創業者が何を思って創業したかを書いてある部分があったのですが、印象に残っているコンセプトがあります。

Autonomy of Thought:思考の自治

彼らは自分自身で考える聖域を手放したくなかったから、研究者か起業家になりたかった、と書いてありました。

自分で考えることは楽しいです。

Bullshit Job:クソどうでもいい仕事

金は儲からない、成功しない確率も高い、でもやってて楽しい、もしかしたら目的を達成できるかもしれない、というスタートアップと対極にある仕事のコンセプトがBullshit Job:クソどうでもいい仕事、なのではないかと思ってます。

Bullshit Jobは人類学者のDavid Graeberがつくったコンセプトで、著書、”Bullshit Job”の中でこんなことが書かれています。

現代には、高給で社会的地位もあり安定しているが、やってる本人が何の意味もないと思っており、なくなっても全く社会に影響ないと思っている無意味な仕事が蔓延している、と。

そして、そういう仕事が人のメンタルに及ぼすネガティブな影響は思っているよりデカい、と。

社会人をやったことがある人なら少し思い当たる節があるかもしれません。一流企業や権威ある組織における無意味な書類の作成や、報告、会議、などなど。

現代にはこういう仕事が蔓延して、人々のメンタルヘルスをむしばんでいる、とDavid Graeberは書いています。

スタートアップは未来の働き方のスタンダードになるか

Bullshit Jobが蔓延し、人々が高給だけど無意味な仕事に対して嫌気がさし、さらに、AIやロボットの進化によって生産性が上がって富は増えて雇用は減りベーシックインカムのような制度ができたら、残るのは、やってることそれ自体が楽しい仕事だけになるかもしれません。

生活する為に稼ぐ必要はなくなるから、メンタルを病んでまでつまらない仕事をする必要がなくなるからです。高給だけどつまらない仕事は見向きもされなくなるかもしれません。(ベーシックインカムなどがない今でも、少しずつそういうトレンドが出てきている気もします。)

自分で考え、自分で行動し、そのプロセスを楽しむ、そういうスタートアップのような働き方は未来の働き方のスタンダードになるでしょうか?

執筆者:並木

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