4種類のユーザ調査を使い分ける

調査目的の分類

私はユーザ調査をざっくり4種類の目的で使い分けてます。

1. 機会の発見: 市場参入にあたっての事業機会/インサイトを抽出する
2. コンセプト定義: 「どハマり」するユーザの輪郭と理想状態の定義
3. 顧客体験定義 : 長期の体験シナリオを定義すること
4. UIを磨き込み: 使い勝手/コミュニケーションを良くする

さっそくふわっとしていますが下記にてそれぞれ詳細。

1. 機会の発見

【目的】 市場と、市場参入にあたっての機会を発見すること
【ゴール】 エクストリームユーザが捉えている課題と、その解決方法(の要件)を明らかにすること
【対象】 エクストリームユーザ(定義むずい)
【コアになる発見】 エクストリームユーザが現在に至るまでの過程・きっかけ・課題の乗り越え方の事実
【調査人数】 5-10人程度 (ドメイン等の広さにも寄る)
【備考】 エクストリームユーザは、該当ドメインにおいて未だ気づいていない課題(候補)を、何らかの工夫で乗り越えている可能性が高いため調査対象として挙げている。
エクストリームユーザとは別に、エキスパートに話を聞くのもパラレルに実施できると良い。特に新たな事業領域を定義しに行く際になるので、既存のアップデートに関しては「次のマネタイズ領域の発見」あたりに該当

2. コンセプト定義 (or アップデート方針定義)

【目的】誰のために、なんの価値を、を定義すること(→ どハマりするユーザの輪郭と理想状態の定義)
【ゴール】 
 ①コンセプトを「大好き」になった顧客に共感する
 ②顧客のAsIs-ToBeと、左記を実現するためのコアな体験を定義する
【対象】
 (新規)ポテンシャルユーザ
 (既存)ヘビーユーザとライトユーザ
【コアになる発見】
 ①「どハマりする」ユーザと、「ハマらない」ユーザの状況の違い
 ② 他社との根本的な違い・差別化要素
【人数】
(新規)12~16名程度
(既存)ヘビー: 6~8名程度 +ライト: 3名程度
【実施事項】
プロトタイプ活用した調査が一般的。私自身よく「架空LP」を振り切って作って検証します。※後述
 備考 】「●人中✗人が良いと言っていた」になりがちだけどそれはNG。
今後のサービスの指針であり主語となるため、「投票・多数決」の概念ではなく「共感」のレベルまでユーザの状況を理解する。

3. 顧客体験定義

【目的】顧客が理想的な状態になるための(長期)体験シナリオを定義すること
【ゴール】サービスに触れてから、理想的な状態になるまでのフェーズ定義と、各フェーズで達成したい状態・コアとなる体験・機能を明確にする
【対象】コンセプト調査にて共感したユーザに近しいユーザ
【コアになる発見】シナリオを実現する上での障壁と、それらを乗り越えるための要件/機能
【人数】4~6人程度 ※ フェーズによって異なる
【備考】既存の場合はフェーズに分けて(獲得、利用初期、定着など)調査する形が望ましい。
新規の場合は、特に後半フェーズ(定着など)に行くとかなり難易度高いので、仮説だけ作ってスモールリリース→ 徐々にアップデートする形が望ましい。
また、このフェーズでCJ(カスタマージャーニー)を作るとすると、①達成したい状態と、② 左記状態を達成する上での"ユーザの"課題の2点を定義したうえで、③機能仮説、があると良い。※ 課題は提供者目線・社会目線になりがちなので注意

4. UI磨き込み

【目的】スムーズにサービスを利用することができる
【ゴール】(主要な)タスクの実行にあたって、ユーザがつまづきうる箇所を理解する
【対象】ドメイン知識がターゲットと同程度以上であれば誰でも良い(専門用語等が多く使われている場合を除き、調査時のタスク設定自体でいかようにでもできるため)
【コアになる発見】ユーザのメンタルモデルやUI・コミュニケーション上の課題
【人数 】4名程度
【備考】ユーザビリティ上の課題は、4名いれば7~8割型見つかると言われてる(下記参考: https://u-site.jp/alertbox/20000319

雑談①: 調査の位置づけ・人数

UI調査以外の調査人数は特に論拠無しで、これまでの経験からざっくりこんなもんかなって感じです。
UIのところに関しては、備考にある通り4~5名で十分。横軸にユーザ数、縦軸に課題発見数のグラフで見ると下記のようになるらしいです。

画像1

また、4種類を使い分けてる、って言ったけども実際には下記のようにオーバーラップすることが多いです。

1回目 → メイン: ①機会 + サブ: ②コンセプト
2回目 → メイン: ②コンセプト + ③ 体験
3回目 → メイン: ③体験 + ④UI
4回目 → ④ UI (実装の状況を見ながらのデグレードなども含め)

具体的に調査進行どーやんの?とか、プロトタイプの用意の仕方も目的によって異なるのでニーズありそうであればまとめておきます。

あとは③体験のところもフェーズによってやり方変わったりもするのでそのあたりもですかね。。。

雑談②: コンセプト調査におけるプロトタイプ

私自身、よくチラシやLPを作ってコンセプト検証を行います。考え方としてはamazonのリリースを先に書く検証とかと考え方は近いです。
(このあたりもいずれ言語化しますが)ざっくりやっていることだけ書くと、今後の開発優先度等につなげるために「とにかく振り切った」LP等をつくることが多いです。
イメージとしては下記。よくある絵ですが、「要望全部詰め込んだ!」ようなLP等を作って"刺さった!"と張り切ったところで、「結局どうすんの?」が見えてこなかったり、ふわっと「良かった」とかになってしまう。何に対してYes/Noが言われたかはっきりと理解するためにも、振り切ったLP等で調査をすることが多いです


雑談③: 機会発見フェーズ

1つめの「機会」に関しては、「市場の切り口」が超重要でなかなか大変。このあたりのに興味をも持つ人はあんまり居ないと思うのですが、アンカリングの記事にそれとなくまとめているので御覧ください。

あと、「機会」の領域でエクストリームユーザに注力する、というのはあくまで「UX」っぽいアプローチですよね。一定地続きのユーザから未来の課題を予測する、というイメージなのですが、もう少し「イノベーティブ・クリエイティブ」に振る方法もあります。私自身その領域は不得意なのですが、それこそziba濱口さんとかを深く知れると面白いと思います。


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