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【第5回定期セミナー】酒蔵取材における大事なポイントを、SAKETIMES編集長に聞いてみた

こんにちは!お酒とメディアのオンラインサロン「Starter」運営の近藤ゆうこです。Starterでは月1回、文章の書き方やお酒の知識などを学べる定期セミナーを実施しています。

8月9日(火)に、第5回定期セミナーを開催!

テーマは「編集長の酒蔵取材術」。今回は、Starter講師でありSAKETIMESの編集長である小池潤さんに、酒蔵取材前の事前準備や、当日取材するにあたって意識すべき姿勢をレクチャーしてもらいました!

■セミナー概要

テーマ:「編集長の酒蔵取材術」

講師
小池潤(SAKETIMES編集長)
日本酒テイスティングの専門資格「酒匠」保持者。日本酒セミナーの能力を評価する「日本酒学講師」に当時史上最年少の24歳3ヶ月で合格。2015年からSAKETIMESに参画し、2017年に編集長に就任(5年目)。

司会進行:木村咲貴

■取材とは、記事制作に必要な素材を集めること

小池さんは、セミナーのはじめに「そもそも取材とは何か」という本質に関して、自身の定義を話してくれました。

「私が考える『取材』の定義は、コンテンツや記事を作るために必要な素材を集めることです。記事制作はよく料理に例えられます。どんなに腕の良い料理人でも、適切な素材が十分にないとおいしい料理が作れないのと同じで、記事も取材の段階で必要な情報がそろっていないと良いものになりません」

ちなみに、小池さんが1本の記事を作るにあたって通るフローは以下の通り。

まず取材で集めた情報を、必要なものと要らないものに分ける「整理」を実施。次に、より読者に分かりやすく読んでもらえるよう、必要な素材を適切な順番に並べ替える「整頓」を行います。整理整頓したうえで、執筆、編集作業を経て1本の記事が公開されます。

■事前準備が取材成功の鍵を握る

今回のセミナーで最も大事なこととして、取材が成功する確率は「事前準備をきちんと行うか」で決まると、小池さんは力説します。

事前準備の方法として、以下のスライドをもとに情報収集のやりかたを説明してくれました。まずスライドの赤枠、「じぶんの情報収集」部分から見ていきましょう。

酒蔵情報は、公式サイトのほか地方新聞でキャッチ

「企業が運営している公式サイトやSNS、Web記事や書籍を読むのはもちろんですが、酒蔵取材にあたっては新聞記事、特に地方紙をチェックすることも多いです。いざという時すぐに情報をキャッチアップできるよう、地方紙の公式LINEアカウントをフォローして見出しを毎日チェックしています」

さらに、もし動画や音声メディアを運用している酒蔵があったら、視聴してみるのがおすすめだと話します。取材相手がどんなトーンで、どんな風なしゃべり方をするのか分かるだけでも、当日のイメージが付きやすくなるからです。

とはいえ、現状はこれらのメディアを運用していない酒蔵が大半。その場合、小池さんは先方に電話をかけて、取材前のあいさつをかねて数分ほど会話をするとのこと。自分の心の準備ができるうえ、相手とコミュニケーションをはかる最初の一歩を築くためにも大切な時間だと話してくれました。

取材相手にも企画の趣旨を話しイメージを共有する

そしてスライド右側には「相手方の情報収集」と記されていますが、これはどういうことでしょうか?

「特に酒蔵で働く人は、取材慣れしてない方が圧倒的に多いため、こちらから事前にメディアの概要や企画趣旨を提示するようにしています。相手にも、取材当日のイメージをより明確に持ってもらうための重要なポイントです」

普段どんな内容を発信するメディアなのか、何にフォーカスを当てた企画なのかを取材相手にあらかじめ共有します。

「例えば、 下北沢に出店したドーナツ店を取材すると仮定します。グルメメディアであればドーナツの味など商品紹介がメイン、いっぽう経済メディアであれば、味よりも店舗の成り立ちや経営戦略の話をメインに組み立てた記事を作りたいはずです。メディアの性質や企画によって、取材時にたずねたいことが変わるのは当然。何のテーマをメインに聞きたいか事前に相手とすり合わせることで、当日より精度の高い取材が実施できることにつながります」

■取材当日は相手に心をひらき、積極的に感想や情報を伝えよう

入念に準備をしたら、いよいよ取材に臨みます!セミナーでは当日の取材方法や、心がけるべきポイントについても紹介してくれました。

小池さんは、取材中に、なんとSAKETIMES編集長として知りうる日本酒業界全体の情報を、取材の場でシェアすることもあるのだとか。

「どの酒蔵で働く方も、業界全体の動向を気にしていらっしゃいます。ですが、ひとつの酒蔵で働いている方は、意外と情報が閉鎖的になっている部分もあるんです。当日は情報交換のつもりで、SAKETIMESが知りうる情報を可能な範囲で共有しています。取材が終わった今後とも、日本酒メディアとして酒蔵と長期的なお付き合いをしていきたい願いも込めて、この姿勢は大切にしています」

そのほかにも、蔵見学を含めた取材で意識すべきポイントや、最後の質疑応答時間では、「取材当日にやってはいけないNG項目」や「取材相手の話すボリュームが想定以上のときはどうする?」など興味深い質問もたくさん!実践的な取材の方法を学べる良い機会となりました!

[運営・近藤の感想]

まず、小池さんが「取材の場では自ら情報をシェアしていく」と発言したことに驚きました。私は有益な情報を相手から聞き出そうと意気込むあまり、自ら情報を開示するという意識を持っていなかったからです。同時に今まで実施した取材を振り返ると、自分の感想や意見を相手に伝えることをおろそかにして、コミュニケーションが一方通行になっていた場面もあったと思います。

反省を活かして、今後はより相手と心を通わせながら取材に臨むことを意識します。また、日頃から情報収集や周辺知識のインプットを欠かさないことで、取材当日の限られた時間を大切にできるよう準備していきたいです!

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Starterの会員の方は、今回の定期セミナーのアーカイブ動画を見ることができます。

次回の定期セミナーでは、Starter講師でSAKE Streetの編集長・二戸浩平さんが「日本酒メディアのマーケット」に関して解説する予定ですのでお楽しみに!


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