休みの日こそ、思うがままであれ。

今日は有給休暇を取ったため仕事はお休み。
休む理由として用事は特になかったが、ここのところ休みがなかったので有給休暇を申請して会社を休むことにした。

会社を休んでみて見える景色。

平日の街はこうもゆったりとした流れの中にあるのか。

いつもは立ち寄ることのない駅にふと行ってみようと思った。最寄り駅とは反対側に位置する駅へ歩いてみる。今日はいつもより少し暑い。歩いている途中にあったスーパーで、冷えたお茶が入ったペットボトルを買って再び駅まで向かう。
何回か通ったことはあるけれど、普段は通らないこの道は見る景色がすべて新鮮に映る。いや、すべてというのは大袈裟かもしれない。以前に見たことある景色もあるけれど、久々に見るものもあるから、好奇心旺盛のあまり周りの景色が気になってあちこち見てしまう。こうやって周りの景色をゆっくり見ながら散歩するのはいつぶりだろうか。通勤で使っている道は、いつも仕事に遅刻しないように考えながら歩いているから、周りの景色をゆっくり見ることはほとんどない。

今日は晴れていて、心も軽やかで気持ちいい。駅に着いたら、電車に乗って今まで行ったことない駅で降りてみよう。ホームで電車を待っていると、区間準急の電車がやってきた。早速乗り込んで、ふと行きたいと思ったところまで向かう。車窓もいつもと見る景色と違うから、車窓を眺めているだけでも色んな発見があって面白い。あまり見かけない大型マンション、大規模な商業施設など、見るもの全てに興味が向く。仕事や身の回りのことばかり考えて凝り固まった頭がほぐされていく気がする。

そして、周りの景色に見とれていたら、ついうっかり目的地を行きすぎてしまった。一度どこかの駅で降りて、反対側の電車に乗って目的地まで向かうこともできたが、それもそれで面倒くさい。今日は直感で気になった駅で降りてみることにした。改札を通って駅前へ向かうと、商店街や数件の系列チェーンの飲食店やドラッグストアが目につく。街並みの写真をデジカメで数枚撮り、私は心の赴くままに商店街を散策した。昔から存在すると思われる個人経営の店舗(衣料品、書店、八百屋など)、ここ最近オープンしたであろうカフェや整骨院など様々な店が立ち並ぶ。ただ、平日の昼間であるせいか人が少なく感じる。街にはたくさんの店があって「もっと街を盛り上げていこう!」と士気を高めるようなポスターが見られるが、その思いとは反して街全体が寂れているように感じた。チェーン店の店舗の賑やかさもこの街に溶け込んでいないように見えるし、どこかその存在が痛々しく感じる。若い世代の人口が別の街に流れてしまっていることが、この街には大きな痛手になっているのかと何となく想像しながら散策を続ける。お昼ご飯を兼ねて喫茶店でゆっくりしたいなあと思い、喫茶店を探していたがまったく見つからない。やっといくつか喫茶店を見つけても、すでに閉店していたり休業中の店ばかりであった。街から漂う哀愁に私は懐かしさを感じるため寂れた街の景色はわりと好きなほうだが、ここまで寂れた街並みを見ているとさすがに悲しく感じる。

気持ちを切り替えるように、駅前の定食屋でお昼ご飯を食べてから、一駅分歩いて隣の駅へ行ってみることにした。一駅分といっても4〜5キロあるわけではなく、1キロあるかないかの距離らしいから徒歩でも全く問題ないかなと思った。隣駅まで歩いている途中、隣の駅には有名大学があるためか、ラーメン店、ファミレス、カフェ、スーパーなど若者が利用しそうな店がまるごと入った大型商業施設が駅前に立派に建っていた。先ほどの駅とはえらく違って賑わっている。すれ違う人も大学生と思しき若者や、就活生、20〜30代ぽいサラリーマンが多い。大学が建つと周辺の街並みが変わると聞いたことがあるが、まさにその典型だろう。大学の近くに学生向けのマンションがたくさん建つようになると、学生をターゲットにした店舗ができて街もわりかし賑わうようになるのは自然の流れかもしれない。ただ、街は活気付いたであろうが、昔からその地に住んでいる人々は何を思うだろう。

この活気のある隣駅のにある某喫茶店でこのエッセイを書いているが、客層は学生、育児中のお母さんと思しき女性たち、お年寄りの方々、仕事でたまたま立ち寄ったと思われるOLなどなど。多種多様な人々が行き交う空間で、抱えている仕事やいつもの日常から離れていろんなことを想像してみると、私の見ている世界は本当に狭いと痛感する。

どこかの組織に所属してしまえば視野が狭くなることは致し方ないかもしれないが、狭い世界で暮らしていても無味乾燥でつまらない。
組織に所属したての頃は、見る全ての景色が真新しく感じられて驚きとワクワクの連続で毎日が楽しくて仕方ないかもしれない。それに、組織のために早く役に立てるように頑張ろうと、心の中はやる気と希望に満ち溢れている人もいるかもしれない。ただ、組織の景色をある程度知ってしまったら、単調で変化がない毎日に少しずつ不満が溜まって退屈してしまう人も少なからずいるであろう。私はまさにそういうタイプの人間だ。
学生の頃、学校に対してストレスばかり感じていた時期があったが、そんな変わりなく過ぎていく毎日がどうしようもなく退屈で仕方なかった。クラス替えをした頃は、初めて会う同級生たちに期待を寄せて明るくて楽しい学校生活を少しばかり想像することもあったが、同級生たちも何人かと話していくうちに、休憩中や放課後に話すメンバーは固定されていくし話す内容もマンネリ化していく。同級生たちのことが嫌いなわけではないが、いつも一緒にいて同じような話をして無駄に時間を過ごしているばかりでは何となく面白くないなあと思うことが段々増えていった。
そこで自分の中だけで何か興味深いものや驚きを感じるものをいつしか見つけるようになっていった。特に帰宅途中に行う道草が好きだったが、道草を通して初めて発見したものもあったし、どういうものか最終的によくわからないがほどよく想像力を掻き立てられるものに遭遇したこともあった。それは街を形作る建物や看板など、歩いていて思わず目を引かれるものたち。大人になったらきっと何か変わるのかなと思っていたけれど、それらが今でも私の関心の対象になっているから面白い。

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