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好きな絵本

小さい頃、
寝る前に絵本を読んでもらうのが好きだった。
3冊までと決まっていて、
(世界名作ファンタジーの絵本)
けっこう長い話だったから、よく3冊も読んでもらえてたなぁと思う。

当時いちばん好きだったのは、
『はくちょうのみずうみ』だ。
悪い魔法使いに白鳥にされてしまったオデット姫が、最後はジークフリート王子と幸せになる話。
『こうふくの王子』や『すずの兵隊』も好きだった。悲しくて優しい物語。


絵本は子供向けの話と考えがちだけど、
意外に大人のためのものだ。

そう思わせてくれるのが、
穂村弘さんの『ぼくの宝物絵本』という本。
  
10年くらい前に買った本だけど、今読み返してもとても面白い。
たくさんの絵本が紹介されていて、
それにまつわるエッセイも全部素晴らしく良い。

会社員時代の穂村さんが一目惚れした絵本や
エピソードが満載で、
ああ、絵本って実は大人のためのものでもあるんだな、と思わせられる。


あまりにも有名な
せなけいこさんの『ねないこだれだ』は、
夜遅く(といっても21時くらいなのだけど)まで
起きていた子供が、最後はおばけになる話。

つまり、いつのまにかおばけに連れ去られて、
子供は死んでしまっている。
《これはもう、「教育的配慮」を超えてるよ。こわすぎる。そして、素晴らしい》
と語る穂村さん。
私も本当にそう思う。

セーラーとペッカシリーズも載っている。
(江國香織さんの紹介で購入した絵本だ)
この絵本の雰囲気、
独特の自由な感じは何度見ても惚れ惚れする。
日本には絶対ない空気感。


子供の頃は、『ばばばあちゃんの絵本』がとても好きだった。
特に好きなのは、『いそがしいよる』

月が綺麗だと思ったばばばあちゃんが
(月を見ながら寝ようと思い)
ベッドを外に出すのだけど、
あれもこれも必要だと思ううちに、
家のなかのものを全部持ちだしてしまうのだ。
最後は月のことなんてすっかり忘れて眠ってしまう。後片付けのことを考えない行動が良い。


最近は、ヨシタケシンスケさんの絵本が面白いなと思う。
好きなのは色々あるけれど、
いちばんは『あつかったらぬげばいい』
という絵本。
憂鬱のやり過ごし方が描かれていて素敵だった。

工藤ノリコさんのノラネコぐんだんシリーズも好き。あまりにも自由すぎるノラネコぐんだんと、ノラネコぐんだんの被害にあいつつ、とても多才なわんわんちゃん。


絵本の世界は自由で、不思議な豊かさに満ちている。
大人になって、失ってしまった世界の豊かさだ。
だから、どうしようもなく魅せられるのだと痛感した。

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