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好きな本のこと

「いちばん好きな本は何ですか?」

司書試験のとき、そう聞かれたらなんて答えようと思っていた。

いちばん好きな本。

読書が好きなひとにとって、これほど難しい質問はないんじゃないだろうか。

試しに本棚を見てみると、好きだった本が年代別に並んでいて面白かった。


いちばん上の棚にあるのは、10代の時に読んだ本。

荻原規子さんの勾玉シリーズ、向山貴彦さんの『童話物語』『ほたるの群れ』、小野不由美さんの十二国記シリーズ、上橋菜穂子さんの精霊の守り人シリーズ……

すごく好きだったのに、書棚にない本もある。
あさのあつこさんの『バッテリー』とか、佐藤多佳子さんの『黄色い目の魚』とか。
(あんなに好きだったのに、どこへいってしまったんだろう……)

隣には20代の時に好きだった本。
江國香織さんはほとんど全部読んでいて、そのなかでも『ホリー・ガーデン』は好きだった。
(『流しのしたの骨』も好き)
よしもとばななさんの本も全部読んでいたし、(『デッドエンドの思い出』と、王国シリーズが好き)、村上春樹さんの本もたくさんそろっている。(『海辺のカフカ』がいちばん好き)
森博嗣さんの『スカイ・クロラ』シリーズも当時とても好きだった。

サリンジャーの『フラニーとズーイ』、フィッツジェラルドの『華麗なるギャツビー』、『情事の終り』『ジェーン・エア』『ティファニーで朝食を』『椿姫』『愛人(ラマン)』
エトセトラエトセトラ……
(一時期ずっと外国のひとの本を読んでいた)
もう書店では見かけない、サガンの『冷たい水の中の小さな太陽』もとても好き。

30代になってから好きになった本もたくさん。
高田大介さんの『図書館の魔女』とか、阿部智里さんの八咫烏シリーズ、『氷菓』で始まる古典部シリーズとか、河野裕さんの『いなくなれ、群青』『さよならの言い方なんて知らない。』も。

入りきらない本は、クローゼットの本棚に所狭しと並んでいる……
瀬戸内寂聴さん訳の『源氏物語』全巻とか、三浦しをん先生(選評を頂いたことがあるので、「先生」としかもう呼べない……)の本とか……

本を置く場所に限りがあるから、電子書籍を買った方がいいんだろうと思いつつ、ページを繰りながら読むのが好きで、いつも本を買ってしまう。

最近とても良かったのは、
凪良ゆうさんの『わたしの美しい庭』と、『滅びの前のシャングリラ』

このひとの言語表現は秀逸で、文章を追う快楽を存分に味わうことができた。
そういう作家のひとを見つけられると、とても嬉しい。誇張でなく、世界が少し照らされるような気がする。

そんな文章を書けるひとに、私もなっていけたらいい、とも。

図書館は閉まっているけれど、本を予約すれば借りられるのがありがたい。
次の休みは予約本を数冊受け取れる予定で、今からそれがとても楽しみ。


部屋の本棚を眺めるだけで、なんだか心愉しくなるのも本の魅力だな、と思う。


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