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#3 「コトバ」という接点

最初の記事で、言葉は、「世界」と「私」を繋ぐひとつの接点だと書いた。

私たちは言葉で世界を理解して、言葉で世界に自分を表現しようとする。

言葉にならないもの(理解できないこと)はこの世界に存在しないのか、というと、そんなことはない。世界に触れることができる接点は、言葉だけじゃないから。

とはいえ、私たちは言葉に依存しすぎているようで。

どうも、言葉になっていないものを軽視する(無いものとして扱う)傾向にある気がする。世界との接点を限定するってことは、触れられる世界の総量が減っちゃうわけだから、なんだかモッタイナイ。気付くチャンス、学ぶチャンス、成長するチャンス、世界にはいっぱいあるのに、限定するのはモッタイナイ。

言葉は接点の一つ、それ以上でも以下でもないぞ、というスタンスで、まずはこの接点から「学び方を学ぶオトナの遠足」をスタートしようと思う。

同じ波紋の上にあるもの

さて、地図(曼荼羅)を広げてみよう。言葉の働きは、水星「☿」が表している。

占星術はAs above, so below(天地照応)の考え方をベースに、大きなリズム(星の運行や位置関係)と小さなリズム(国家の盛衰、個人の心の動き)の「相似点」を読み解こうとする試み。

注意しなくちゃいけないのは、「Xだったら→Yになる」というような一直線の因果関係とはちょっと違う理屈のようだ、ってこと。同心円状に広がる波紋の上の、A地点とB地点のような、直接は繋がっていなさそうだけど同じリズムと響きあっている、そんな関係。

言葉というリズム(現象)と相似点を持つのが、水星にあたる。それは実際の天体の動きや位置だけじゃなく、水星と関連付けられる神話や物語、象徴されるキャラクター像やイメージも含めた「水星」という存在を指している。

「水星」に結び付けられる物語

スイ、キン、チカモク、ドッテンカイメイ・・・と太陽系惑星の順番を習った記憶があるかと思う。水星は太陽に一番近く、いつも太陽の近くで観測される星。

地球との距離の関係で、チョロリチョロリと動き回っているように見えるから、古代から水星には動きの速さを表す神様の名前なんかがつけられていた。

水星に結び付けられた神様や物語を見ながら、言葉という世界との接点について考えてみよう。繰り返すけど、これはX→Yというシンプルな因果関係で捉えられない関係性について言っているわけで、「象徴」と「意味」は一直線に繋がらないこともあると思う。ぼんやりとピントをずらしながら色んなスケールで物事を捉えることで、何か自分なりの「つながり」を見出すことを楽しんでほしい。

マーキュリー(ヘルメス)

水星に結び付けられる物語の主人公、神話に登場する神様で代表的なのがギリシャ神話のヘルメス、そしてギリシャ神話のマーキュリー。時代と地域の違いはあれど、どちらも同じキャラクター像で描かれる存在。

共通するイメージは、メッセンジャー。違うものを結び付け、あちら側とこちら側の世界を行き来するもの。

言葉ってのは、それ自体がメッセンジャー。意味を運び、情報を乗せる記号。私たちは世界を言葉で切り取って情報として受け取る。出来事や心の動きに言葉でもって意味をつける。そして言葉というメッセンジャーを使って、誰かと繋がることもできる。

心理学者のユングは、マーキュリー(=メルクリウス)に結ぶつけられるイメージについてこういっている。

メルクリウスは金属であるが同時に液体でもあり(「メルクリウス=水星」を象徴する金属は水銀)、物質でもあるが同時に霊でもあり、冷たいが同時に火と燃え、毒であるが同時に妙薬でもあり、『諸対立を一つに結びつける対立物の合一の象徴なのである。

水星(言葉)は、対立を結び付ける存在。でもそれは違うものを同じものにしようと働きかけたりはしない。ただ、あっちとこっちのギャップを行き来しつつ、その橋渡しをするだけ。

違いは違いのままに。だからこそ、そこにメッセンジャーの仕事がある。

乗り物のように意味を乗せて、情報を乗せて、違う場所を行き来する。それは、旅。ヘルメスは交通や交易、旅の神様でもある。

面白いのは、その旅が夢と眠りの旅、死出の旅も守備範囲内だってこと。夢うつつも、あっちがわとこっち側を行き来しているわけだからかな。死者の魂を冥界に導いたり、逆に地上に戻したり、なんて神話もある。

言葉が死者をよみがえらせる?魂をあの世に導く?

お経とか、呪文とか思い浮かべた人もいるかもしれない。私がふと思いだしたのは、この絵本。

思い出を語る(言葉にする)ことで、私たちは故人にいつでも会うことができる。

他にもヘルメスは泥棒とか策略の神様だなんて言われ方もする。言葉は「ウソ」をつけるからね。それから、言葉抜きでは「思考」はムズカシイ。特に「こうしたら→こうなる」「ならばこうして→こうしたらどうだろう」っていう論理、理屈を重ねるスキルってのは言葉が大きな働きをしている。

水星の年齢域

占星術では、スイ、キン、チカモク・・・という星の並び(地球との距離純だから、月→水星→金星→太陽・・・になるけど)もまた、人の成長と呼応している、と考える。

水星は、月の次のステージ、7~15歳前後、学童期にあたる。この時期水星的なテーマが成長の要になる。理屈とか、論理的な思考とか、情報を出し入れする(言葉で学習する)能力ってのは、この時期に発達していく。

最近は早熟な子どもたちも多いから、早いうちに「学習」を期待されることも多いのかと思うけど・・・ニンゲンそのものの大きな性質は大昔から変わっていないから(ニンゲンの脳は1万年以上進化していないって言うし)、ちょっと心に留めておきたい。幼少期は、水星的な学習能力(理屈、知識)よりまず育てねばならぬもんがある、と。※それについては次のnoteで・・・

学童期、ちょうど学校教育が提供される時期。言葉をベースにどんどん成長していく時期。言葉という乗り物で、考えるという旅をする時期。

7~15歳以降は水星を発達させることはできないのか、というとそういうわけでもない。でもこの時期に習得した水星のリズムは、これから先ベースの旋律になる。

どんな風に「(言葉で、情報として)理解」しようとするのか。どんな風に自分と、自分とは違う存在とのギャップを接続しようと考えるのか。

それはコミュニケーションの在り方、言葉の扱い方(受け止め方)、学ぶ姿勢にも影響してくる。向こう岸からどんな情報を拾ってくる?こちら側から何を投げかける?どうやって?

自分の「水星」は、自分のコトバにどう響いている?

ホロスコープ上の水星

もういちど、地図に目を落としてみる。出生図(生まれた日時から算出したホロスコープ)の水星マーク「☿」を探してみよう。※出生図を出すには、こういう無料サイトがいろいろある

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上の図だと、左側のごちゃごちゃしたところに☿がある。これが、「私」という個人のスケールで世界を見た時の、言葉(水星)で触れる世界との接点。

接点は、人によって触れる位置が違うってこと。

円盤の色がついている外周にある記号(12星座のマーク)が、接点のカタチ。上の図だと♑(山羊座)の位置に☿があるから、私の水星的世界との接点は、山羊座的なカタチを持っている、と読む。

内側のナンバーⅠ~Ⅻは接点と縁のある分野になる。それ以外の分野には縁がない、ってことじゃなく・・・水星のリズム(波紋)の中心となる分野やテーマがそこ、って捉えるといいかもしれない。

それぞれの星座のカタチの特色、分野がなんなのか気になるところかもしれないけど、この「オトナの遠足」シリーズは水星以外の接点をまず見に行ってみようと思う。

行ったり来たりしながら、旅を楽しもう。一直線のルートにはならないのがおもしろいところなんだから。同心円状にひろがる波紋をあちこちに作りながら、その響きを楽しさを共有出来たら、と思う。

もりもり書くエネルギー(''◇'')ゞ燃料投入ありがとうございます!!