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カカシ先生とイルカ先生について考える。

こんにちは、雲州はとむです。相変わらず毎日、抗うつ剤の副作用でムカムカ感が残り、家にずっと引き篭もっている師走。やっと引っ越しの段ボールもそこそこ片付けられてカーテンやらライトやら設置し、静かで穏やかなクリスマスと年末を向かえられそうです。


新しいアニメやドラマに全然ハマれずまたサッカーにも全く興味が無いので、せっかく購入した42型テレビも見る事なく、この一ヶ月間はひたすら「NARUTO」「BORUTO」のカカシ先生とイルカ先生の二次創作を、pixivや通販同人誌にて読み漁っています。久しぶりにオフラインでこんなに同人誌を買ったなあ〜!!


購入したほんの一部、この後どんどん増えております。


カカシ先生とイルカ先生の二次創作BLが最初にブームを起こしたのは、まだ晴海埠頭にてコミケが開催されていた1999年頃。同時期に「スラムダンク」の登場で、バスケットボールの国内社会現象が起きた時代です。

コミック・マーケットの他女性向けジャンルとしては「銀河英雄伝説」や「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」、「魔道戦記ワタル」などが壁大手サークルを占めていた懐かしい昭和の終わりでした。



声優の、井上和彦×関俊彦の黄金コンビ!


私達アニメファンが、当時「NARUTO」のアニメ化で一気に沸き立ったのは、脇役ではあれ「三人目の主人公」と言っても過言ではない「写輪眼のはたけカカシ」が井上和彦さん、ナルトの父親代わりで後の「七代目火影を作った男」であるうみのイルカ先生のキャスティングが関俊彦さんだったことが大きいんです。

昭和末期、特にタツノコプロダクション製作のアニメでは、関俊彦さんが明るく元気な主人公を演じるアニメが多く、また正反対に「機動戦士ガンダム」を製作したサンライズ社のメカアニメだと、井上和彦さんが影のある主役やそのライバル役が多かった。

お二人は「赤い光弾ジリオン」や「天空戦記シュラト」などでもコンビ役の共演が多く、私達第三次ベビーブーム世代はまさに、彼らの全盛期から現在まで追いかけ続けたファン。

いまだに忘れられないけど、週刊少年ジャンプの告知にて「NARUTO」の声優が発表された時に、群馬在住の親友から電話がかかってきて、「和彦さんと俊彦さんだよ……」「集英社、絶対に女性ファン獲得に本気を出してきたよね」って数時間話し込んだんですよね。実際二人の超人気は、それから30年経過した令和でも続いている。


感情移入しやすい、大人のキャラクター。


私はどうにも幼稚でうるさいナルトや、復讐に取り憑かれて厨二病まっしぐらなサスケに感情移入できず、重く暗い過去を持ちながらも子供達を導き、木の葉の里の為に命を厭わず戦うカカシ先生やイルカ先生ばかり見ていました。そんな脇役のファンだったので、彼らの出番が少なくなってナルトが他の師匠やライバルと戦うようになると、自然と「NARUTO」から離れてしまったんですね。

元々、忍者モノってそんなに……岸本先生の絵柄も好みじゃなかったので。やっぱりどうしても、「機動戦士ガンダムSEED」とか、「ヒカルの碁」「封神演義」とかメカやスタイリッシュ系絵に走りがちだったのかも。でも一番の要因は「NARUTO」のアニメ作画が汚かったからかも。あの頃のスタジオぴぇろは、雑な手描き仕事が多かった。現在は全てCGになりましたが。


私だけではない、過去のジャンルに里帰り。


15歳からアラハンの現在まで、まあ本当に様々なアニメや漫画、ゲームにハマって色々二次創作を読んだり同人誌を作ったりしましたが、この五年くらいかな……。新しい作品にどうしてもハマれないんですよね。「呪術廻戦」とか「SPY FAMIRY」とか。「鬼滅の刃」は少しだけ義勇さんと炭治郎の小説を書いたりしたけど、最終回を見たらすっかり熱が発散してしまったので。




四年前に「NARUTO」の子供達を主役にリニューアルした「BORUTO」をアニマックスで観たら、アニメオリジナルのストーリーが本当に楽しくて。純粋にエンターテイメントとして面白かった。40代になったカカシ先生は六代目火影を引退して、ボルトやヒマワリの伯父さんみたいな存在になっていて。イルカ先生もアカデミーの校長にまで上り詰めている。

何より、主役の子供達が現代風にクールでベタベタしてなくて。女の子キャラクターも恋愛体質でなく、きちんと自己の未来へ羽ばたいている。そこも良かった。

pixivを漁ってみると、結構「カカシ×イルカに出戻りました」「10年振りの同人誌発行!」というサークルさんが結構おられます。

封神演義の同人誌サークルを作られていた某さんも、妊娠と出産で一度活動を長く休止された後、偶然にも「戦国BASARA」「NARUTO」にて私と全く同じ好みのカップリング本を出されていて。「萌えの方向性、三子の魂百までか!」と痛感したんですよねえ……。



絶対に死ぬだろうと思っていた、カカシ先生。


これは、彼が登場した時から考えてました。「あ、この人が主人公を導いて戦死する師匠キャラクターなんだな」と。ところが亡くなったのはカカシ先生ではなく、大塚芳忠さん演じる「ガマ仙人」こと自来也師匠だったんですね。

カカシ先生は「スラムダンク」で言うところの流川楓的な人で、テクニカルな面や戦術において「天才」なんだけど、生来持っていたものではない写輪眼使いなので、圧倒的な持続戦闘不足なんですよね。優秀な忍犬を八匹も使い、凄い大技を多々会得しているのに、長時間は駆使できない。

また「誰の技でも盗める、コピー忍者」というところは「黒子のバスケ」の黄瀬涼太など、ジャンプ作品に多く出演する人気メインキャラクターと通じている。そしてやはり共通のスタミナ不足。



父の自殺、十代で暗殺部隊への入隊。


カカシ先生の過去は「疾風伝」後半に明らかになるんですが、まず父親が「木の葉の白い牙」と呼ばれた伝説の忍者。血筋的にもエリートで幼年期から過酷な任務を数々こなして、カカシ先生本人は六歳で中忍、12歳で上忍になっています。「万年中忍」と言われるイルカ先生が27歳で中忍なので、とんでもない才能ですよね。

父子家庭でひっそりと生活していた二人でしたが、父親のはたけサクモは、仲間を助ける為に里の規則を破り、周囲からの猛非難を受けて神経衰弱した果てに自殺してしまう。この時にカカシ先生はまだ七歳で、父の悲劇が後々の彼の人格形成に大きく影響する。

当時「木の葉の金の獅子」と呼ばれる俊才忍者だった波風ミナト、後の四代目火影の弟子となり得難い二人の仲間を作るも、親友うちはオビトはカカシ先生を庇って死亡。この時に彼から写輪眼を移植され「木の葉の伝説の忍び、写輪眼のカカシ」が爆誕。

捻くれていたカカシ先生を愛してくれていた師匠夫婦は、一人息子のナルトを残して戦死。その後まだ十代だった彼は、「火影」の特殊暗殺部隊に入隊。抜け忍や他国の重鎮暗殺、戦争の後片付けや遺体処理など、闇の仕事を数々片付けるSランクレベルのベテラン戦士に成長していきます。



憎悪と復讐心を捨て、未来を信じる。


ネットの掲示板などでも語られるのは「よくもまあ、こんな暗い過去を持ちながら、闇堕ちしなかったなカカシ先生!」論です。彼本人もサスケに「復讐なんて、虚しいだけで何も産まない」「俺の大切な人間は、もうみんな殺されてる」と諭す場面が初期にあるんですけど、とにかく木の葉の里自体が長く忍者達を汚く利用し、駒として捨ててきた長い歴史を持っている。そこからして悲劇なんですね。


「BLEACH」のソウルソサエティもそうなんですけど、表では綺麗事を並べ立てて、死神権力社会を統制しているのに、現実問題では所詮政治利用の詭弁ばかりで、罪ない人を陥れたり処刑しようとしたりする。「NARUTO」の物語背景でも、たくさんの忍びの犠牲の上に成り立つ国家の、消せない罪のリアルとして存在し描写されています。


私も三十年カカシ先生を見てきて、「実の父親を自殺に追い込んだ木の葉の里や、その住民。そして救えなかった三代目火影を何故恨まないのか」「どうしてボロボロになりながらも、里に尽くして献身し続けるのか」と思うんですよね。

でも、自分もカカシ先生と同世代になって、今は幸せに年齢を重ねる彼を見て「そうか、木の葉の里はカカシ先生にとっては、唯一の絆を持てる場所だったんだなあ」と。綾波レイにとってのエヴァに乗る理由なんだなあと感じるようになりました。




銅像が建てられても不思議ではない、イルカ先生。


ではもう一人の、ナルトの魂の育て親であるイルカ先生について。彼は幼い頃に「九尾」の暴乱によって両親を失い、孤児となって三代目火影の養子のような存在になります。九尾はナルトの体内に埋められて封印されたので、当然ナルトは子供の頃から里の中で冷酷に無視され続けてきた。

そんなナルトを救って、唯一の家族になってくれた人がイルカ先生。孤児として育った自分とナルトを重ねて、それこそ命を張ってナルトを守り愛しぬく聖母みたいな人なんですが。親や里の人々を焼き殺した九尾の化身とも言えるナルトに、よく愛情を注げられるよなあと。

おそらく、イルカ先生は「憎悪の連鎖」を止めたかったんだろうとは思うんです。自分達がナルトを憎むことによって更なる悲劇が終わりなく続くだろうと考えてただろうと。でも実際に心の底から全く無垢な善意や愛で、忌み子を包み込めるって、なかなかに出来ないですよねえ……。




そして、明日へ向かって。


成長したナルトは「七代目火影」として木の葉の里に君臨し、五大国をまとめた英雄として平和政治を行なっている。イルカ先生の「憎悪を捨て、愛を注ぐ」力がまさに結晶になっているわけです。

イルカ先生はナルトの父親代わりとして彼の結婚式に参列し、かつて若い日に、教育方針で言い合いをしたカカシ先生と二人静かに、若者達を眺めてお互いへの敬意を讃え、語り合います。



二人は独身を貫いていて家庭はないけど、ナルトとヒナタの間に生まれたボルトやヒマワリの祖父的な存在になっているし、他の弟子達の子供にも囲まれて今は楽しく静かに暮らしている。

令和に同じ四十代の世代として、カカシ先生とイルカ先生と生きている実感が、最近になってやっと湧いてくるようになりました。だからこそ、壮年になった二人の心癒される二次創作BLをたくさん読んで、癒されたいのかもしれません。



ちょうど先月、公式アニメから発表されたこのイラストも嬉しくて。iPadのロック画面に設定しています。穏やかに微笑むカカシ先生を見ると、本当に良かったなあと。ちなみに、最近老眼が辛い井上和彦さんは「カカシは口元が隠れてるから、アフレコがラク」だそうです。







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