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映画『写真家 ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』

2012年/製作国:アメリカ/上映時間:75分
原題 In No Great Hurry : 13 Lessons in Life with Saul Leiter
監督 トーマス・リーチ



予告編(日本版)

予告編(海外版)



レビュー

 主役はアメリカの写真家、ソール・ライター(以下、ライター)。
 カラー写真のパイオニアです。
 
 「最近、何かに追われるように過ごしているなぁ」と感じたときに観ると、日々の流れをゆったりとした時間へと変えてくれます。
 見落としていた物や風景にも気付くようになり、心拍数も落ち着きます。
 
 ライターの写真を撮るときの心構えは、
 
 「私の好きな写真は、何も写ってないように見えて、片隅で何か謎が起きている写真だ
 
 「私の写真の狙いは、見る人の左耳をくすぐること。すごくそっと
 
 そんなライターの思想にリスペクトした本作は、飼い猫の映像が程好くブレンドされていたり、ライターの笑い声が各所に響いていたり、近所をゆったりと散歩しながらの撮影があったり、昔話中心のお話があったり・・・等、急ぐことなく一緒にモソモソする感じで、スピード感はゼロです。
 音楽もトロリとしていて素敵で、写真家の映画ではありますけれども、耳にも心地良い時間が流れてゆきます。
 あと、ちょこっと紹介されるライターの写真は、どれも最高です。
 
 話は飛びますけれども、ソール・ライターの書籍(写真集)では、発色の良さで選ぶなら『Early Color』『まだ見ぬソール・ライター THE UNSEEN SAUL LEITER』の2冊がおすすめです。
 また発色と紙質は良くありませんけれども、ライターの素敵な言葉の数々を素晴らしい 翻訳にて読むことの出来る『ソール・ライターのすべて』『永遠のソール・ライター』の2冊もおすすめです。翻訳は柴田元幸さん。本作の字幕担当者でもあります。
 
 ライターと一緒にモソモソしながら、穏やかで幸せな、学びとなる時間を過ごしてみたい方には、おすすめしたい佳作です。


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