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葉っぱと風車

この家のベランダからの見え方は、それが冬か夏かによって大きく違う。夏の間は葉っぱが茂って緑色、太陽のあたり方で黄緑になったり濃い緑になったりもする。形はよくある楕円形じゃなくて、カエデのような、ヒトデみたいな、星の形のような葉っぱ。そよ風で葉っぱ自体がちろちろ揺れているから、そんなに硬い葉っぱじゃなさそう。木の背も高くて、5階のベランダよりも少し高い、6階の人が同じくらいの目線、7階でかろうじて見下ろせそう。
木はたくさんの枝をつけている。根本からちょっと行ったところ、大人の目線くらいで3つに分かれ、その3本がさらにちょっと先で3本の太枝をつけている。だからだろうか、風が吹いたとき、手前の枝が揺れているけど奥の枝が揺れていないとか、奥の枝が揺れているが手前が揺れていないとか、右が、左が、とかがある。

これを見て思い出したのは、カリフォルニア州のロサンゼルスから少し内陸に行った砂漠地帯のパームスプリング、ジョシュアツリー近くに林立している無数の風力発電。あそこでは、ハゲ山や岩山があるだだっ広い平野に、バカ高い風車のような大きな白い物体が我が物顔で並んでいる。田舎で見る高い電線塔よりもまだ高いような白い風車が、3つか4つの羽を回している。その風車たちをよく見ていると、1つの風車が風で回っているのに、すぐ隣の風車が回っていないことがある。なぜか?
それは、風車がいろんな方向を向いて立っているから。北と南からの風に回りやすいやつ、東と西からの風に回りやすいやつ、北東と南西からの風に回りやすいやつなどなど。風が絶対に北と南からしか吹かないと相場が決まっていたら、そんなにいろんな方向に風車をむかさないでよいが、風は気まぐれなのか、風車もいろんな方向を向く。
そんなことを、5階のベランダから見える高い木の揺れ方を見ながら思い出す。1つの木だからって、同じふうに揺れるわけじゃないんだ。1つの風の受け止めかたが違うんだと感じた。
それをわかっていて、風車にもあっちこっち向かせている。風も千差万別。
さて、隣の木はどう揺れる?

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