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8冊目 あずかりやさん 満天の星

 ポプラブッククラブ新年の1冊が届いた。「あずかりやさん 満天の星」
今年も懲りもせず思うがままにブッククラブ本の紹介と少しの感想を書いて行こうと思う。ネタバレに気を付けながら。
 本作は、一日百円でなんでも預かってくれるらしい「あずかりやさん」のどうやらシリーズ第5弾らしい。全く読んでいなかったシリーズだったので「第5弾だと?相変わらずなんて本を届けてくるんだ…」と悪態をついてしまった。しかもお届けの案内には「一巻完結型なので、今作から読んでももちろん大丈夫。」だと?「大丈夫なわけないやろ!だって読んだら1~4作目も読みたくなるんやろ!」と思わず僕は心の中でツッコミを入れた。
 
昨年11月にはおまけで届いた「貴公子探偵はチョイ足しグルメをご所望です」の宣伝にやられてしまったというのに、読もうか読むまいか数日悩んだあげく、結局僕は本を開いてしまうのだった(苦笑)

本の情報

「あずかりやさん 満天の星」  著者:大山淳子
発行所:株式会社ポプラ社 ISBN:978-4-591-17240-7
カバーイラスト:藤原徹司(テッポー・デジャイン。)
ブックデザイン:bookwall

本の装幀・帯。左がカバーで右は本体です。

実はこのカバー意味深で気づく人はすぐ気づいちゃうのかも。ミスディレクションされ気にせず読み始めた人も読み終わった後カバーを味わってほしい。この装幀を見てジャケ買いするかと言われると違うと思うけど、読後に思わず目を閉じて撫でたくなるような味わい深い素敵な装丁だと思う

プロローグ

いきなり謎の「花ちゃん」からの手紙。「明日も晴れるといいですね」ってなんだこの「月が綺麗ですね」みたいなノリは…これ絶対前作まででなにかあったんだろ?とか花ちゃん途中で出てくるのか?と思ってしまうあたり、僕はもうこの世界の沼に片足を突っ込んでしまっていたんだろう。

金魚

金魚の刺青を彫った男のあずけたものとは…プロローグとは違って、物騒な登場人物が物語の口火を切る。しかもその語りはどうやら人じゃなさそうだ。気になってすいすいとページをめくる手が止まらない。このエピソードだけで店主「桐島透」と「あずかりやさん」の空気感が伝わってくる。1つ目のエピソードがこれでよかったのかも。この時点で花ちゃんのことはすっかり忘れてしまっていたから。

太郎パン

次はパンネタかぁ…と思いながら読み始めると、どうも語り部がおかしいぞ(笑)そのおかしさのせいか、全然雰囲気は違うけど、川本真琴の「やきそばパン」が脳内に流れてしばらく読書から脱線してしまう。語りとは対照的になんかしんみりしそうな雰囲気を感じて、あずかりやさんの世界に引き戻される。閉店間際で売れ残りで値下げされたパンを買った紳士は…

ルイの涙

今度の語りはわんちゃんか…いい話だといいなと思って読み進めると、途中は色々と渦巻く想いに引き込まれすぎてちょっと胸が苦しかった。最後上手くまとめてくれなかったら読む手が止まったかもしれない。人によっては結構重たく受け止めてしまうかも。ママが預けようとするものとは…

シンデレラ

最後は誰が語るのかが気になって読み始めたけど、モノや動物ではなかった。ここまでくると、タイトルを見てガラスの靴がしゃべるのかと思ったりもしていたけどどうやらそんな締め方はさすがにしないようだった。それにしてもまさかシンデレラのタイトルがついたエピソードにこの満天の星が降り注いでくるとは…これが最後のエピソードだから読後感が悪くないんだろうなと思う。女性たちが預けたものとは…

夜空に光が輝いて見えるような読後感にはやっぱりポプラ社らしい雰囲気が漂っているなと思う作品だった。ひとつひとつのエピソードの分量が読みやすく学生さんの課題図書にいいのでは?読書慣れしていない人にもおすすめできそう。そして結局僕は、過去のエピソードが気になり、前作までの情報をたどってしまうのであった。

シリーズ本

1作目 あずかりやさん 2013年5月
2作目 あずかりやさん 桐島くんの青春 2016年9月
3作目 あずかりやさん 彼女の青い鳥 2019年4月
4作目 あずかりやさん まぼろしチャーハン 2020年12月
折を見て手に入れ読んでいこうと思うあたり、今回もブッククラブの罠から抜け出せずにいる僕(苦笑)

「あずかりやさんに預けてみよう!キャンペーン」

本の最後にこんなキャンペーンの紹介が掲載されていたのでご紹介も。

★あなたも「あずかりやさん」に大切な"もの"を預けてみませんか?
選考で選ばれた「預けたいもの」が『あずかりやさん』の次回作に登場します。

あずかりやさん満天の星p.200より

ということらしい。ハガキもしくはtwitterで応募ができるらしいので、「あずけてしまいたい」「あずけたらどうなるだろう」と思うものに心当たりのある方は、大山先生に預けてみるのもどうだろうか?気軽にできそうなtwiiterでの応募方法だけ紹介しておこう。
①ポプラ文芸編集部公式アカウント(@popular_bungei)をフォロー
②ハッシュタグ「#あずけたい」をつけて、預けたいものを一つ投稿

「満天の星」-読了の詩-

真っ黒な夜空には
あなたがくれた言葉が
星のように輝いて見えます
行く先を照らしてくれるように
今宵も星は綺麗ですから
明日もきっと晴れると安心して
わたしは眠りにつくことができるのです
この想いも空にあずけて

自身の読了ツィートより

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