資金調達が"ファッション"でなくなる日

東京も日々コロナウィルスの見えない脅威が増しています。みなさん大丈夫でしょうか?

自分のTwitterなど見返してみると、2/17週くらいに日本に余波がきていたようです。(こまめにつぶやくとこういう時便利)

僕らIT業界は直接打撃を受けにくい業種ですが、当初思っていた以上に僕らのお客様も、そして世の中も停滞ムードになっているなと改めて感じました。

お客様が止まれば営業も止まるし、利益捻出のためにコストカットもする会社も増えているかと思います。

そこで僕が強く思ったのは、資金調達前提のスタートアップの運営は、「世の中の景気がいいとき前提」だなと。
(先日古巣が一緒で今VCにいる後輩の子と話して改めて感じました。)


従来のスタートアップの戦い方

僕が論じることでもありませんが、、スタートアップの戦い方は「J字カーブ」を描けと言われています。

利益ではなく、市場シェア獲得(=売上)を優先
短期間でスケールさせることを前提とした戦い方

これは、大企業や他競合が同市場に来る前に市場を獲得しろ、ということが背景にあります。ただ資金がないと経営ができないので、株式を対価にして外部から資金調達してその資金を経営リソースに投資します。

簡単に図にするとこんな感じです。

スタートアップの成長

「最短でIPO or M&Aを目指すスピード重視」の戦い方がスタートアップの世界では良しとされ、僕もその戦い方自体に憧れを持っていました。


また、資金調達した側も「資金調達しました!!」とドヤ顔報告が多く、資金調達がかっこいい、という様相がスタートアップの世界全体で広がっています。(気持ちはめちゃめちゃ分かるから自分もそうすると思う。笑)

家入さんはこのような状況を「ファッションのようにファイナンスする」と表現してました。


資金調達がファッションではなくなる日


ただスタートアップの戦い方は悪い言い方をすると「自転車操業」と同じ原理です。

自転車操業(じてんしゃそうぎょう)とは、操業を止めてしまえば倒産するほかない法人が、慢性的な赤字状態でありながら他人資本を次々に回転させて操業を続けていく状態のことである。

そして今回のコロナショックで今までの「スタートアップの戦い方」が変わる可能性が高いと思っています。


■スタートアップ界隈で起きる悲観的シナリオ

①既存事業の利益が圧迫されCVCが出資を控える。スタートアップ全体のバリュエーションが下がる。

②経済全体が止まり、スタートアップも計画通りの売上にいかず、ダウンラウンドの延命措置の資金調達が多発。 

③今の状況が長引けば、ダウンラウンドでも資金調達できない企業も出てくる可能性。

④利益実績がないため銀行から融資が受けられず倒産するスタートアップが増える。


ちなみに資金調達の方法は2あり

・借入(デッド):融資などによる調達。簡単に言うと借金。
・出資(エクイティ):株式による調達。返済義務はなし。

ここでポイントは、借入と出資の考え方が全然違うこと。

借入は銀行や公庫が中心で金利ビジネスなので「返済可能性」に注目します。そのため利益を出してる企業にお金を貸します。一方VCは株式売却による「キャピタルゲイン」のビジネスなので「伸びしろ」に注目します。将来の可能性です。

ファイナンスの種類


基本的に出資する側は「成長のためのエンジン」として資金を託します。経営状況が悪くなり延命させるために資金を提供することは本来使い道としてはやりたがらないはずです。そのため、ダウンラウンドでも出資を受けられない会社が出てくる可能性が高くなります。(上記でいう③の理由)

ダウンラウンドでも出資が受けられなかった場合、金融機関からお金を借りるしかありませんが、利益が出ていない企業に対し、金融機関からの融資(お金を貸す)可能性は低いため、倒産するスタートアップも出てきてもおかしくありません。(上記でいう④の理由)


上記は悲観的なシナリオすがこの機会だからこそ伸びている企業も多数でてくると思います。
(※ベルフェイスさんは絶好のタイミングで調達したなと思いましたし、上場してますがクラウドサインも伸びると思ってます。)

ただ改めて従来の、資金調達前提のスタートアップ成長モデルの怖さも実感しました。今後スタートアップへの資金調達はより吟味されつつ、覚悟をもった企業へ投資がなされると思っています。

また、足元のキャッシュを稼げる中長期で生き残れるスタートアップへの評価を見直されると予想しています。


結果論だがコツコツやってきてよかった

僕らは割と大人の戦い方をしており、自社サービスをしっかり軌道に乗せるまでエクイティによる資金調達しないと決め、自分たちで稼いだお金でプロダクトを作っています。(融資も受けてますが、広告の代理運用も行っているので回収の遅延リスクに備えてで使っていません)

「お前らスタートアップと言えるのか?!」とか「ライスワークやってるんだよね」とか揶揄されました。ただ結果論ですが、「やってきたことは間違えてなかった」と思っています。

僕らが起業した直後にオプトベンチャーズの野内さんにご挨拶含めサービスアイデアを見てもらったことがあり、その際に言われたことは「スタートアップのほとんどが資金調達のタイミングを間違えている」と言われたことでした。

野内さんから言われたことを自分の解釈踏まえて書くと

資金は車のガソリンと同じ。アクセル踏んでスピードアップするときにガソリンを使いなさい(資金調達しなさい)。うまくいかなくて資金がなくなり延命するために資金調達を繰り返すことでスタートアップは失敗するんだよ。

この言葉とてもよく理解できます。僕らはこれを相方と2人で聞いて共通認識を持てて本当によかったと思います。

出資を受けるという責任や怖さ、タイミングも2人でわかっていたからこそ、コツコツ受託・業務委託などやりつつサービスを作ってきました。時間もかかってますがもしかしたらこういう戦い方や思考が評価されるのではと思ってます。

なんにせよ、早くこの事態が収束することを祈っております。スタートアップのみなさん、共に頑張りましょう!!

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