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Netflixの株価が一夜にして540億ドル(約6兆9,000億ドル)吹き飛んだ理由

緊褌一番(きんこんいちばん)
→ 気持ちを引き締めて物事をおこなうことで、緊褌とは褌を引き締めること。

すきま時間の相棒として活用している人も多いであろうサービスの1つにNetflixをあげる人も多いだろう。

かくいう私もその1人であることは間違いない。

そんなNetflixについて、最近話題になったことがある。

それは、Netflixの株価が急落したということだ。

ネットフリックス株、急落-会員減ショックと広告化が投資家直撃

Bloomberg

なぜ、Netflixの株価が急落したのか、その内容と私なりの見解を書いていこうと思う。

Netflixの株価が急落した理由

2022年4月20日の株式市場で、Netflixの株価が35%安となった。

これは、2004年以来の大幅下落で、Netflix株の年初来のパフォーマンスはS&P500種株価指数とナスダック100指数の双方の構成銘柄で最悪となった。

この衝撃はメディア業界全体に波及し、ワーナー・ブラザーズ、ディスカバリー、ロクなども株価を下げた。

Netflixは、1日で時価総額540億ドル(約6兆9,000億円)が吹き飛んだということになる。

その要因は、会員数が減少に転じた衝撃と、長年拒否してきた広告付きプランを導入する計画が嫌気されたからである。

最大の要因とされる会員の減少数は、2022年1〜3月(第1四半期)が20万人と2011年以来のマイナスとなっている。

さらに2022年4〜6月(第2四半期)には、200万人減少が見込まれている。

これは、これまで年間2,500万人超のペースで会員を増やしてきたNetflixにとっては、大きく期待を裏切ったという判断がされたということだ。

ちなみに、ウォール街は、2022年1〜3月(第1四半期)の会員数を250万人増と予想していた。

Netflixの方向転換

この会員数減少により、Netflixはビジネスモデルをピボットする構えだ。

1つ目は、向こう数年以内に広告付きの低価格プランを導入するという方針を表明した。

2つ目は、その広告付き低価格プランの導入に先立ち、利用者によるパスワード共有の取り締まりを始めるという。

そして、映画やテレビの制作費を抑制する意向も示した。

会員減少の要因について、Netflixの経営陣はパスワード共有の広がりや競争激化など4つの要因を挙げている。

中でも、1億世帯余りがサービスを使いながら利用料金を支払っていないと指摘している。

この事実に関して、いかにして視聴者に契約させるかを試行錯誤しているという。

Netflixの今後についての見解

一夜にして540億ドル(約6兆9,000億円)が吹き飛んだという刺激的なタイトルにした。

その理由は、あまりやったことはないのだが、注目を集めるためにいわゆる釣りっぽいものにしてみた。

タイトルを見て、絶好調だと思っていたNetflixが失速するかと思わせるようなイメージを持った人も多いと思う。

けれども、私自身の見解は、結論からいうとそんなにネガティブではない。

むしろ、こういう状況は必ずどこかで来るわけで、今からでも十分に対策が打てると思っているからだ。

事実、アジア圏では、2022年1〜3月(第1四半期)にも100万人余りの純増というポジティブなところもある。

また、アナリスト予測には届かなったものの、売上高は前年同期比9.8%増の78億7,000万ドル(約1兆円)というスコアである。

なによりも、コンテンツの力というのは、まだまだ強いというところが最大の強みだ。

今回の会員数減少により、制作費を削減するということだが、2021年度第1四半期の収支報告書で年間で170億ドル以上をコンテンツ製作に投じる計画が判明している。

ここがどのくらい削減されるのか不明だが、生命線である部分に変わりはないので、そこまで大きく削るとは思えない。

加えて、すでに資産といえるコンテンツ、つまり作品を残していることも大きなアドバンテージがあるだろう。

なにがいいたいかというと、Netflixオリジナルで人気作品がいくつも生まれているということだ。

そういった作品の続編やスピンオフを出すことで、ある程度の人を集めることが容易にできるということだ。

改めてNetflixの強みを考える

くり返しになるが、Netflixの最大の強みは、膨大は制作費を使ったコンテンツの強さだ。

2022年4月時点で、Netflixの最大のヒットはイカゲームであることは周知の事実だろう。

実際に見たことがあるという人も多いはずだ。

무궁화 꽃이 피었습니다と韓国語で書いてもなんのことかわからなくても、ムグンファ コッチ ピオッスムニダとカタカナで書けばピンとくる人も多いのではないだろうか。

そう、だるまさんがころんだの韓国語だ。

YouTubeでも話題になっているらしく、小さな子どもがこの言葉を巧みに使っている姿を見たことがあり、ここまで浸透しているんだと驚いた経験もある。

このイカゲームは、配信から28日間の視聴数が1億1,100万人という驚異的は数字を叩き出している。

そして、ヨーロッパの一部メディアでは、イカゲームの1シーズンにおける製作予算は、少なくとも2,000万ユーロ(約27億円)だといわれている。

ここまでダイナミックなことができるということが最大の強みなのである。

この方針さえ誤らなければ、Netflixの急失速ということはないと個人的には思っている。

というのも、もはやNetflixは各国に強い制作チームを保有しているのと同様だといえるからである。

さらに、それぞれの地域のカルチャーをしっかり捉えていると感じている。

世界的なヒットを狙わなくてもエリアに限定したヒットを確実に出せるということだ。

例えば、日本では韓流ドラマが確実に一定層に刺さる。

ということは、他の動画配信サービスにもあるような往年のコンテンツはむしろNetflixは控えめでもいいのではと思ってしまう。

要するに、他の動画配信サービスでも見れるコンテンツに予算をかけるのではなく、Netflixオリジナルにもっとベッドしていいということだ。

まとめ

Netflixに対しての個人的な見解を書いてきたが、あくまで私自身の2022年4月時点での考えだということは先に述べておこう。

なにも逃げ道をつくっているわけではなく、その大前提として、Netflixオリジナルにかける予算を大幅に削るのではなく、尖ったコンテンツを出し続ける必要があることも書いた。

今後のNetflixの展開については、随時追いかけて引き続き書いていこうと思う。


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植田 振一郎 Twitter

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