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将棋界の8大タイトルと活躍する棋士たち

奸佞邪智(かんねいじゃち)
→ 性格がひねくれていてずる賢いこと。

ずる賢いということはネガティブに捉えられがちだが、私はそこまでネガティブに捉えていない。

というのも、ある程度のずる賢さは生きていく上であった方がいいと考えているからだ。

ずる賢いという言葉を打算的と置き換えると、ポジティブに聞こえる側面もでてくるのではないだろうか。

まあ、計算高いという捉え方をするといずれもネガティブかもしれないが、少なからず私にとってはポジティブな言葉だということを前置きしておきたい。

計算していくことは、先を考えることで決して悪いことではない。

ビジネスにおいても必ずといっていいほど事業計画というものを準備するし、ゲームをするにしても勝つためには打算的に考えることは重要だ。

最近話題になっている藤井聡太竜王の職業である棋士も打算的でなければ成り立たないはずだ。

棋士という将棋を職業にしている人たち

棋士の藤井聡太竜王が渡辺明王将に挑戦する、第71期ALSOK杯王将戦7番勝負が行われた。

2022年2月12日に第4局(4戦目)が行われ、114手で後手の藤井が勝って開幕4連勝で王将を初奪取し、最年少5冠になった。

19歳6ヶ月での5タイトル保持は最年少で史上4人目という快挙だ。

将棋界にある8つのタイトルのうち、過半数の5冠を獲得したことで、前人未到の全冠制覇が視野に入ってきたことが話題になっている。

スゴいことは伝わってくるが、そもそも将棋界をよく知らない人からすると、いまいちピンとこないかもしれない。

私もフワッとしか知らなかったので、調べてみることにした。

将棋のタイトルについて

将棋のプロ棋士が参加する大会を棋戦(きせん)という。

棋戦の中でも特に格式が高い8つの大会で、スポンサーがついて賞金が出る大会のことをタイトル戦というのである。

8つあることから8大タイトルと呼ばれている。

そのタイトル戦で優勝すると、そのタイトルの名前で呼ばれるようになりるというわけだ。

2022年2月現在のタイトルは下記のとおりだ。

・竜王(りゅうおう)
・名人(めいじん)
・王位(おうい)
・王座(おうざ)
・棋王(きおう)
・叡王(えいおう)
・王将(おうしょう)
・棋聖(きせい)

また、タイトル戦の序列は、契約金によって決まる。

契約金とは賞金や対局料など、日本将棋連盟に支払われる金額の総額を指す。

最も序列が高いタイトルは、竜王だが、名人も江戸時代の家元制度に由来する伝統と格式のあるタイトルだ。

特にプロ棋士の中では名人戦(順位戦)は特別という意識が強く、昭和末期に竜王戦が発足した時期には名人よりも上のタイトル戦などありえないと難色を示す有力棋士も多かったという。

そのため、将棋界では、竜王と名人の2つが8大タイトルの中でも別格という考え方がメジャーだそうだ。

ちなみに、賞金や対局料が公表されているのは竜王戦のみで、優勝賞金は4,400万円となっている。

参考までに、過去最多は、1996年(平成8年)に羽生善治氏が全てのタイトルを取っている。

当時は叡王のタイトルがなかったので、七冠を達成しているのである。

将棋界の殿堂入りについて

そして、同じタイトルを一定数獲得した棋士は、引退後もそのタイトルを名乗る資格を得る。

これを、永世称号といい、殿堂入りといった表現がしっくりくるだろう。

・竜王:永世竜王(条件:連続5期か通算7期)
・名人:永世名人(条件:通算5期)
・王位:永世王位(条件:連続5期か通算10期)
・王座:名誉王座(条件:連続5期か通算10期)
・棋王:永世棋王(条件:連続5期)
・叡王:規定なし
・王将:永世王将(条件:通算10期)
・棋聖:永世棋聖(条件:通算5期)

例えば、永世名人は、十五世名人のように数字で呼ばれる。

これは江戸時代の家元制度から続く名人の仲間入りをしたってことと同義ということになる。

8大タイトルの詳細について

竜王戦(主催:読売新聞)

対戦方式は、7番勝負で、持ち時間は8時間(2日制)で行われる。

予選方式は、ランキング戦の挑戦者決定トーナメントで開催される。

優勝賞金は上述したとおり、4,400万円である。

こちらも既出だが、将棋界の8大タイトルの中で最高峰のタイトル戦と位置づけられている。

例年10~12月にタイトル保持者と挑戦者による7番勝負が行われ、先に4勝したほうが優勝となり、それから1年間は竜王を名乗ることができる。

挑戦者は、まずランキング戦と呼ばれるクラス別トーナメントに参画する。

ランキング戦には1組から6組まであり、各クラスの成績優秀者11名で挑戦者決定トーナメントを行う。

挑戦者決定トーナメントを勝ち抜いた棋士が、その年の挑戦者となるという流れだ。

名人戦(主催:朝日新聞社、毎日新聞社)

対戦方式は、7番勝負で、持ち時間は9時間(2日制)で行われる。

予選方式は、順位戦(リーグ戦)で開催される。

名人戦は、将棋界の8大タイトルの中で序列2位のタイトル戦と位置づけられている。

また、序列1位の竜王と並び、将棋界の中でも別格のタイトルとされていることは書いたとおりだ。

例年4~6月にタイトル保持者と挑戦者による7番勝負が行われ、先に4勝したほうが優勝となり、それから1年間は名人を名乗ることができる。

名人に挑戦するためには、A級順位戦と呼ばれるリーグ戦で優勝する必要がある。

これはサッカーのJ1、J2、J3というヒエラルキーに似ていると思ってもらうとわかりやすいだろう。

プロデビューした棋士は、1番下のC級2組」からスタートする。

1年間を1期として戦い、各クラスの成績優秀者は1つ上のクラスに上がるという流れだ。

こうして1つずつクラスを上げて、最高峰のA級までたどりつき、さらにそこで優勝してようやく名人に挑戦できる。

プロデビューした棋士が名人に挑戦するには、最低でも5年かかるという道のりだ。

王位戦(主催:新聞三社連合)

対戦方式は、7番勝負で、持ち時間は8時間(2日制)で行われる。

予選方式は、挑戦者決定リーグで開催される。

王位戦は、将棋界の8大タイトルの中で序列3位のタイトル戦と位置づけられている。

例年7~8月にタイトル保持者と挑戦者による7番勝負が行われ、先に4勝したほうが優勝となり、それから1年間は王位を名乗ることができる。

まず予選が行われ、その後に予選の勝者と前期からの勝ち残りの棋士で、挑戦者決定リーグが行われる。

挑戦者決定リーグは、紅白の2組に分かれて行われ、それぞれの優勝者同士で挑戦者決定戦を行う。

王座戦(主催:日本経済新聞社)

対戦方式は、5番勝負で、持ち時間は5時間(1日制)で行われる。

予選方式は、1次予選、2次予選、挑戦者決定トーナメントで開催される。

王座戦は、将棋界の8大タイトルの中で序列4位のタイトル戦と位置づけられている。

例年9~10月にタイトル保持者と挑戦者による5番勝負が行われ、先に3勝したほうが優勝となり、それから1年間は王座を名乗ることができる。

王座戦は、1次予選、2次予選、挑戦者決定トーナメントを経て挑戦者が決まる。

全て一発勝負のトーナメント戦で決せられる。

棋王戦(主催:共同通信社)

対戦方式は、5番勝負で、持ち時間は4時間(1日制)で行われる。

予選方式は、予選、本戦トーナメントで開催される。

棋王戦は、将棋界の8大タイトルの中で序列5位のタイトル戦と位置づけられている。

例年2~3月にタイトル保持者と挑戦者による5番勝負が行われ、先に3勝したほうが優勝となり、それから1年間は、棋王を名乗ることができる。

まずは、予選が行われ、その後に予選の勝者とシード棋士で挑戦者決定トーナメントが行われる。

叡王戦(主催:株式会社不二家)

対戦方式は、5番勝負で、持ち時間は4時間(1日制)で行われる。

予選方式は、段位別予選、本戦で開催される。

叡王戦は、将棋界の8大タイトルの中で序列6位のタイトル戦と位置づけられている。

例年7~9月にタイトル保持者と挑戦者による5番勝負が行われ、先に3勝したほうが優勝となり、それから1年間は叡王を名乗ることができる。

叡王戦では、まず棋士が四段~九段の段位別予選に挑む。

段位別予選を勝ち抜いた棋士が本戦トーナメントに進み、その優勝者が挑戦者となる流れだ。

ALSOK杯王将戦(主催:毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社)

対戦方式は、7番勝負で、持ち時間は8時間(2日制)で行われる。

予選方式は、1次予選(トーナメント)、2次予選(トーナメント)、挑戦者決定リーグで開催される。

王将戦は、将棋界の8大タイトルの中で序列7位のタイトル戦と位置づけられている。

例年1~3月にタイトル保持者と挑戦者による7番勝負が行われ、先に4勝したほうが優勝となり、それから1年間は王将を名乗ることができる。

まずは、トーナメントによる1次予選、2次予選が行われる。

その後、2次予選を勝ち抜いた棋士と、前期からの残留者を含めた7名で挑戦者決定リーグを行い、挑戦者決定リーグで1位になった棋士が挑戦者となる流れだ。

ヒューリック杯棋王戦(主催:産経新聞社)

対戦方式は、5番勝負で、持ち時間は4時間(1日制)で行われる。

予選方式は、1次予選、2次予選、決勝トーナメントで開催される。

棋聖戦は、将棋界の8大タイトルの中で序列8位のタイトル戦と位置づけられている。

例年6~8月にタイトル保持者と挑戦者による5番勝負が行われ、先に3勝したほうが優勝となり、それから1年間は棋聖を名乗ることができる。

棋聖戦は、1次予選、2次予選、決勝トーナメントを経て挑戦者が決まり、全て一発勝負のトーナメント戦となっている。

まとめ

長々と書いてきたが、1年間を通して8大タイトルを目指した棋士たちの戦いが少しは理解できたと思う。

こういった知識がある上で将棋を見ると見方も変わってきて面白いだろう。


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