論文"Consumer Optimization and a First-Order PDE with a Non-Smooth System"について

はい、載りました。

https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs43069-021-00104-w

これほどいままで載るのに苦戦した論文が他にあっただろうか……

J. Math. Econだったら普通に出せば載ると思う。だけどこれけっこう数学者にも有用じゃないかな、と思って数学者のジャーナルに載せようとがんばったらものすごい苦戦した。みんな真面目に見てすらくれないって感じ。

最終的にここが高く評価してくれたので助かったが、ここで載らなかったらもうこの論文は諦めようと思ってた。はー、疲れた……

あ、ちなみに内容は、以下の偏微分方程式についての話です。

DE(p)=f(p,E(p))

この偏微分方程式、経済学だとシェパードの補題として知られているものだけど、これを使って需要関数から効用関数を逆算できるよ! ってのはまあ、僕が散々書いてきた話。ところが今回はこれでは終わらず、これを使って次の方程式

Du(x)=λ(x)g(x)

にまで手を伸ばそうってわけで、これがけっこうむずい。こちらは見ての通り、gが価格を表すベクトル場であるときに、ラグランジュの一階条件を満たすuの存在を証明するためにはなにが必要なのかというお話です。fもgも、微分可能なら理論はすでにある。だけど今回は局所リプシッツしか仮定してないからめちゃくちゃ難しいのだ……! 震えるほど難しいよ!

なおまとめたらたいしたことがなかった……という風になると思ってたんだけど、fの方はともかくgの方は未だにやべぇと思っているので、かなり非自明な結果だと思います。

というわけで、消費者理論への微分方程式の応用に興味がある方はぜひ読んでください。なくても読んで。お願い。以上。

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