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心が揺れる、揺らす瞬間を探す

虎本です。
現在2チームに分かれて行っているMATCHの稽古はそれぞれ8〜9合目まで到達した…といった所でしょうか。

この日の稽古は大坂チーム。そのラストシーン。
白井君演じる主人公•平井兵十郎が、小野さん演じるもう一人の主人公•さつきの為に懸命に生きようとするシーン。

台本上にはもちろん台詞があります。
それは作家•虎本剛が「言って欲しい」台詞にほかなりません。
しかしそれが必ずしも俳優が「言いたい台詞」演出家にとって「言うべき台詞」になっているワケではありません。

稽古場写真_200714_0722

脚本家として僕がイメージしたものと、稽古場で生身の人間を介して創出されるもの。その2つのズレを修正していくのが僕の演出家として役割です。脚本にはない、ちょっとした動き、必要な間、視線の方向、出せなかった言葉などを俳優と共有し、より豊かなシーンに変えていきます。

もっと分かり易く言うと、その台詞を言う為の
「心が揺れる瞬間」を一緒に探します。

これぞ稽古の醍醐味。一人で本とにらめっこしてても絶対に分からない、協同創作の場でしか生み出せない芸術だと僕は思うのです。
演出とは派手な効果を考えたり、物語を具体的な美術などに見立てる事…と思われがちですが、僕はそう思いません。
俳優に常に感じる為の課題を設定し、クリアさせ揺らし続ける事だと思っています。

MATCHの大枠は出来つつあります。あとはその枠のガイドラインに沿いつつ…どこまで俳優の心を揺らす事が出来るか。
心が揺れればその枠も広がります。さらに物語を深く優しくアツく、広げていきたいと思います。

虎本剛

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