最終稽古を終えて
脚本演出の虎本です。
最終稽古を終えて帰路に着く中、ふと思い出した話を。
「この道の先」
最初に提出された企画書にあった、withoutSUNと名付けられる前のタイトルが確かそれでした(違ってたらごめん)。
アンドロイドが出てくる未来の話っぽくない
見えない未来…というのが何かネガティブでぼんやりしている。
もっといいタイトルを!
と僕は原作の生徒に再考を告げました。
そして再提出された時に付けられていたのが withoutSUN でした。
見えない未来の話の次は
太陽なし…
笑って泣ける、優しく心温まる作品にしようとしているのに、どうしてそんなタイトルをつけるのだろうと僕は不思議に思いました。
そこで生徒たちのこの2年間のシナリオ(僕、一応シナリオを教える教師です)を読み返してみようと調べていた時にふと気づいたのです。
あ。この子たちの学校生活(2年間)は入学してから卒業までずっとマスクを着けたままなんや、と。
きっと客席にいる多くのお客様もそうなのでしょう。
その時に、僕のやるべき事は決まったように思います。
何だかモヤモヤと過ごした時間に、
これからも広がる漠然とした不安に、
そこに意味があると、価値があると言ってあげられる作品を作ろう。
自分が若くてギラギラしてた時に(今も大概ですが)さんざん美味しい思いをしておいて、これからの若い奴らに我慢して色んなもん背負って生きてくれなんて死んでも言いたくないわ!
…とこう書いてしまうと凄く格好いいのですが。現実は苦難の連続で、TRY &ERRORを繰り返しながら、時に厳しい言葉も飛び交いながら、何とか最後の稽古を迎えることができました。
何度も何度もヤバいな、と思いました。
でも、何とかなった。何とかしてくれた。 ように思います。
最終通しを見ていて、僕はとても悲しくなりました。
僕自身がもう主人公たちと同じ所を走れない年齢になっていることに気づいて。そして「そんなに人生うまくいかねえよ」と安直な悲観に暮れてしまえることに気づいて。でも、最後には登場人物たちを応援している自分がいました。ぜひ、皆様に観ていただきたい作品です。
まあ、人生っていうか、アンドロイドなんですけど。
小さくて儚く、眩しすぎるほど瑞々しい作品が生まれつつあります。
後は劇場で最後の仕上げに取り掛かるだけ。
さあ、見せよう。格好ええ大人の背中を。
皆が恥ずかしがって言わなくなった、希望とか夢とかに溢れた、明るく優しく輝いた世界を創り出してやろうじゃないの。
虎本剛
SHASEN×ステージタイガー
「without SUN」
近鉄アート館にて
1月29日(土) 19:00
1月30日(日) 13:00(完売) / 17:00
【特設サイト】
https://eizou2021.wixsite.com/withoutsun
ご来場おまちしております!
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