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デジタルは何を社会にもたらすか

グレーター東大塾「デジタル社会:デジタルは何を社会にもたらすか」プレイベントの講演のまとめ
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/society/continuing-edu/gtj.html

デジタル社会とは ーデジタル化の検討は、社会をどう変えるかの検討

デジタル庁 審議官 赤石さん

デジタル庁の意義: デジタル基盤整備 + 社会を変える

日本政府の目標=society 5.0
その中で、
・サイバー空間をリアル空間をベースに作る
・サイバー空間に特有の必要な社会構造をリアル空間に輸入するのもあり
・デジタル世界では、外国とつながる

デジタル庁によるデジタル社会の目指すビジョン
(重点目標より)

国家をサイバー空間に構築 (参照:包括的データ戦略)

そのために、
三次元空間とそこに住む人々を捉えることが必要 (地図、戸籍、魚鱗図冊)
その上で、
・インフラ
・市場 (データの市場、情報銀行)
・トラスト基盤 (誰が何をどう発信したかなどの多次元のトラスト)
を整備すべき

デジタル社会の実現に向けた施策

マイナンバーは国家の構築の基礎
(c.f.インドの生体認証のマイナンバー, EUID)

公共フロントサービスを進めたい
・子育て、介護などの手続きを楽に
・医療における情報の扱い (カルテ、健診、介護の情報を結び付けられる)
(c.f. Alibaba;
あらゆる画像情報を収集して、コロナ肺を高精度で診断する技術開発)

全てをマイナンバーに結びつければ、可能

・教育
システムの根本変化ーギガスクール構想
(c.f. 中国の教育システム; 小学生でも大学の内容を勉強できる)

・防災
方向性:デジタル空間(=地理空間+戸籍)を再現
避難状態の把握やシミュレーションを使用した建築物の安全性診断

・子ども
課題:子どもの虐待
子どもの虐待の有無を知るためには、子どものデータが必要
→サイバー空間上で再現したい

・金融
現状:契約書、領収書などは紙。情報が分散→手で転記。
方向性:プラットフォーム(Peppol)により情報を集約 

リアル空間の変更

リアルの構造的課題に対処するためのデジタル臨時行政調査会
(例:医療・教育面、国民と政府の関係などの構造的課題)

そのために
・デジタル改革
・規制改革 →日本の構造改革へ
・行政改革 =行政の仕事の仕方・人材の改革が必要

デジタル原則
(c.f. デンマーク; デジタル原則に則っていないならば法律は制定されない)

日本のデジタル原則
7つの層ーそれぞれに原則を設定。
既存の法令をデジタル原則を踏まえたものに変える
→構造改革へ
→効率化+新産業の誕生へ
(例:安全点検を機械が代替することでビジネス誕生)

更に、将来できたものを改革する戦略も構想(例:legal tech)
アジャイルに制度を見直す

デジタル田園都市構想ー人口減少の21世紀にふさわしい国土へ

・暮らしなどすべてをデジタルで支える
・産業からの変革
サテライトオフィスの設置
→デジタル産業(スマート農業など)
→ベンチャーや新事業を創生
・コロナによる地方への人口移動→それを受け入れる基盤を準備すべき

デジタル産業基盤発展に関する将来像
日本のインフラは脆弱→強固に
信頼性のある自由なデータ流通=DFFT


デジタルテクノロジー最前線

中尾彰宏先生 東大 5G, beyond5G, 宇宙の通信に関与

DA=デジタルアクセラレーション の潮流
PCの出荷台数は過去10年で最高の伸び率

データの流通網である情報通信は国家の屋台骨

情報通信の進化ーBeyond5Gを見据える
次世代サイバーインフラは将来を予測してデザインが必要
(c.f. 研究開発の最先端はフィンランド)

Beyond5G R&D戦略

政府による7つの方向性
(例:5Gの特徴を高度化、低消費電力。量子暗号でデータをセキュアに)

社会の構造変化の結果、重要になってくる性質
自動性
未開拓領域
迅速展開性 =インフラを迅速に展開できる

競争力のモデル by松尾・中尾
競争力
= 並列度 * 初期競争力 *(1+バージョン当たりの競争力増分)^開発サイクル数
(記号で書くと…C = m * a * ( 1 + r  ) ^ T 実は利率の式と同型)

並列度=開発を複数用意する冗長性
Tのサイクルを増やせば、rを増やすのと同じくらい競争力が増すのでは?
(例: iphoneのリリースサイクルは数十日くらい)
よって、迅速展開性は競争力を増やす

通信

低軌道衛星と、より高度が低いHAPS
→通信の加速
日本の通信の国土カバー率は70%→100%へ

大学内でのテストベッド
→キャンパス内で実験し社会の重要性を生むかどうかを検証

Beyond5G研究は500億円の予算あり。文系の部局(情報倫理や法)も関与。
参照:次世代サイバーインフライニシアティブ東京大学 プロジェクト

ミッションクリティカルなユースケースへの対応が新付加価値を生む
ミッションクリティカル=業務遂行に必要不可欠であること
障害や誤作動が許されないこと(例:生命維持など)

まとめ

インフラのデジタル化
一般消費ユーザーのニーズに向き合う
課題認識・研究開発・社会展開のサイクルのスピードアップ
Time to market の短縮が競争力である
デジタル化=迅速展開性の実装である

Government as a startup
プランは選択と集中つまり点、
ではなく面で構想する


座談会

アジャイルガバナンス


データはリアルタイムで収集→EBPMへ
制度を1つを変化させるとすべてを連動させて変化。これを自動化したい。

選択において技術の便利さ優先か国民の意見優先か?
ー透明性とaccountabilityがあれば、国民は判断ができるだろう

安全保障におけるインフラの重要性
天災時、戦争時のインフラ
ネットワークトポロジーを考えたい
その点で5Gは必要
beyond5Gがこの点にどう影響するか
冗長性をもたせる→局所がやられても、通信の担保

(c.f. エストニア; 国が滅びても、サーバー空間上で生きられる)
(c. f. ウクライナ危機と通信
戦争中でもマップで渋滞情報が分かってしまう)

デジタル敗戦

赤石さんの考える要因:日本に国際性がない
(例:日本はサーバーがない。
世界ではサーバーはコモディティ化して、その上層で勝負する。)

なぜ国際性がないか…英語ができないから
世界を見ることで、根本的に変わる

中尾先生の考える要因:
10年前、日本でインフラ開発の仕事がキツいという印象が増えた
→人材がきにくくなった

プラットフォーム

日本でプラットフォームは敗戦
プラットフォームの必要性を日本であまり理解されていない
プラットフォームよりも先に、アプリケーション→サービスが必要?
→しかし、ITでその通りに動くことはあまりない。
プラットフォームは回収が遅いので、資金が必要という障壁も
(c.f. ウクライナ危機におけるswift、ロシア軍の動きからプラットフォームの重要性を垣間見ることができる)

デジタル人材

データ:
大学生    年間60万人 (米200万)
情報系大学生 年間1万弱人 (米10万)
デジタル就職 年間2万人

なぜデジタル人材が少ないか?
進路の合理的選択による。
医者の生涯所得の方が多い。
5年かけて博士号をとっても学士卒と所得の差が少ない。
解決策:そのためにはデジタル人材が優遇されるよう
合理性を変える必要がある
理系の給与が、アメリカと日本とで違う→頭脳流出

必要なデジタル人材とは?
システム構築にはプログラミングなど局所的な理解だけでなく、
アーキテクトへの理解が必要ではないか


今後の方針:
deeptechを必要とする潮流がある
そのもとで、
優秀人材はスタートアップ立ち上げ
&それを政府が支援→失敗は財産に
古い産業は人が来ず潰れていく、という方向に。

5Gの基地局

欧州の二社と中国の一社がシェア
日本も補助金の金額は負けていない。
シェアを奪回することが目標とは限らないのでは?

ゲームチェンジはあるか?
日本の勝ち目 国土の小ささと人口の多さはアメリカに比して特徴的。
→通信について異なるモデルを使えうる。

地方

全国総合開発計画
→地域間でシームレスにサービス提供できるように

次世代サテライトをたてる
例:道の駅→オフィス→住宅を回りに立てる
 →複数の企業が人を送り込む
(c.f. 国連効果→国連が行くと町が栄える)
 

次の20年に向けたビジョン

全世界はサイバー空間になっていく
その時の支配者は全体最適化ができるプラットフォーマーであろう
メタバースは入り口に過ぎない。
Beyondメタバースにキャッチアップするには?を問うべき。














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