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第5回 『DX』と基幹システム刷新

最近、STADに各社のDX担当、情報システム部門の方から
「基幹システム刷新でベンダーに依頼したがDXになっているのか不明。」
「基幹システム刷新で構築したベンダーが引き受けてくれない。」
「ベンダーが現行システムを作り直す、パッケージ製品入れると
 言ってくるが本当にそれが正しいのか不明。」
等々の声をいただき、相談にのっています。

相談の際に私達が最初にきくことは
「なぜ、基幹システム刷新をしたいのですか?」です。
そして、その答えの多くは
「サーバ保守が切れるから」「IEが使えなくなるから」
「上の方がDXと言っているから」と後ろ向きな理由となっています。

『DXレポート』で「DX」=基幹システムの刷新と誤解をしてしまった方も多数いるため、保守切れ等のタイミングで基幹システム刷新(DX)を同時にしてしまおうという考えも見えます。
(補足:この部分は『DXレポート2』で詳しく書かれています。)

では、どう考えれば良いのかですが、まずはデジタルビジョン、DXビジョンを考えましょう。
なぜDXなのか、企業としてどのように成長したいのか。ここを定義して
DX部門や情報システム部門が定義を理解した上で基幹システム刷新が必要なら刷新を行う。この手順が必要です。
例えば、企業が顧客の満足度向上であるなら企業活動と顧客満足度が結びつきデータ分析して、どういうものが顧客満足につながるかわかる仕組が必要ですし、従業員の満足度であるなら業務効率化の定量的な部分と従業員同士の人間関係(相互作用、シナジー)のような定性的な部分もデジタル化が必要となります。

というように、将来的なデータ活用、AI活用を見越すなら基幹システム刷新時点でビジョンとビジョン達成に適したシステム設計が必要となってきます。しかしながら、ここまで考えて基幹システム刷新するDX担当、情報システム部門の方は少なく、支援するコンサルタントやITベンダーはビジョンだけ作って具体的に実現する仕組、システムは構築できない。ITベンダーは
既存システムの刷新しかできない。という残念な状況です。
そのため志が高いDX担当の方がいても既存ベンダーでは対応できないため
断るという事態も起こっています。

また、別問題として『DX』に取り組もうとしても現場が急がし過ぎて
システム刷新どころではない、デジタルについて浅い知識しかなくデジタルビジョンが浸透しないという問題もあります。本当に「DX」は一足飛びに進めることが難しいです。急務で「DX」は必要ですがその基礎ができるまで
3年ほどは必要なのではないかと考えています。逆に3年あれば「DX」に近づけるが、間違ったアプローチでいくと一生「DX」にたどりつけない事態になります。そこでSTADでのおすすめのすすめ方として3STEPを提案しています。

STAD流DXまでの3STEP

具体的な事例として
長年、紙運用をしている製造業が「ものづくり補助金」を活用してDXに取り組みたいとの相談を受けました。
システム化のねらいとして企業成長と従業員の働きやすさ(属人化の解消、採用力向上)をめざし上記の3STEPで進めています。
1.デジタイゼーション:紙運用からデジタル運用にし業務の効率を図っていく。
2.デジタライゼーション:業務効率の結果、社員に余裕ができたため業務の見直し、変革に向けて学習。
3.デジタルトランスフォーメーション:集めたデータや業務変革の内容をもとにAI導入。業務の自動化、在庫最適化、最適生産数予測。通常業務が自動化。結果として既存従業員は新製品の開発、新しい受注確保に注力。
のステップをたどっています。

基幹システム刷新で予算を確保できるのではあれば、
経営者がビジョンを提示、従業員の負荷軽減、デジタル技術向上。
と、自分達が望む企業を目指してデジタル活用した結果。「DX」企業
になったという形をめざしましょう。

最初から「DX」をめざさない。


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