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小児分野で働く言語聴覚士のこれから

これから小児分野の言語聴覚士を目指す方へ。
私が今から描く働き方は、現在の言語聴覚士の中では少数派な働き方だ。でも、ほぼ確実にこれが多数派になる時代が来ると思っている。というかすでに波がきているという側面も否めないが、マイペースな私の年末特典ということで許してもらいつつ、ぜひゆっくりのぞいて頂きたい(笑)

いま言語聴覚士業界もフリーランスで自費診療やオンラインでの療法など様々なサービスの形が出てきているが、これから書くことは、小児分野に興味があるけどフリーランスになるには自信がない〜という方でもチャレンジできる方法。

もし良ければご一緒に。はじまり、はじまり。

これからの小児言語聴覚士分野のキーワード

★脱!病院での個別言語療法
★福祉分野(保育・療育施設)との協働

これが、これからの小児分野での言語聴覚士のキーワードになると思う(わたしは)。

『これから』と強調しているのだから、現状は病院での言語療法が主流で、福祉分野にはほとんど流通していないということになる。

ではなぜ、この結論に至ったか。現状を分析しながらひも解いていく。

小児分野の言語聴覚士の現状

今、小児領域言語聴覚士に対する「需要と供給バランスの崩壊」が起こっている。その背景には2つの要因がある。

①言語聴覚士のうち小児分野で勤める人の割合が低すぎる
言語聴覚士学生は大学を卒業後、ざっくり言うと成人・小児の2つの分野のどちらかを選択して就職することになる。注目すべきはその割合だ。
なんと、成人:小児=9:1と圧倒的に小児分野が劣勢。言語聴覚士全体の有資格者数が3万1千人なので、小児分野が3000人程度という計算になる(9:1の割合で単純計算したので実際の数とは異なる。かつ女性が多い資格ゆえ結婚出産などで有資格者が全員働いているとは限らない)

②発達障害児の急増
小児分野の言語聴覚士が何をしているか?それは「言葉の発達に課題がある子の支援」である。そしてこの対象には、高い割合でいわゆる「発達障害」と呼ばれるお子さんが含まれる。発達障害はその言葉自体の認知向上も相まって、年々増加の一途を辿っている。

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このデータをみると、水色の自閉症・情緒障害の子どもの数がここ十年で急増しているのがみてとれる。知的障害(オレンジ)の割合も同様にわかりやすい増加率。データによると特別支援学級の在籍者数は17万人とのことだ。つまり、小児分野の言語聴覚士が対象とする人の数は急増しているということになる。

この2つの点からお分かりであろう。
冒頭に述べた「小児領域言語聴覚士に対する需要と供給バランスの崩壊」とはこのことぞ。

(もちろん全ての子が言語療法を必要としているわけでもなければ、また発達に課題のある子全てが診断されているとも限らないのだが)需要と供給のバランスは確実に崩れていっている。

実際に、わたし自身が体験した、需要と供給バランス崩壊事例を2つご紹介する。

事例1)病院半年待ち事件簿
小児の言語療法は一般的に病院や発達支援センターなどで実施されていることが多い。そこで発達検査を受けたり、個別言語訓練が受けられる。特に療育に力をいれた大病院は人気人気の順番待ちで、半年待ちはザラ。中には人数が殺到しすぎて個別訓練には手が回らないので、手帳の申請のための評価だけを行うという病院もあるほどだ。

事例2)私の療育のお仕事が大人気事件簿
先に断っておくが、私が人気なわけではない。言語聴覚士という職業に対し多くの方が集まってきて下さるのだ。私は半年前からある企業さんとタイアップし、短期集中言語訓練を企画している。応募開始と同時に、ありがたいことに殺到につぐ殺到。残念ながらお断りしなければならない方が出るくらいだ。

この2つの事例からわかる通り、世の中の多くの親御さんは、言葉の発達に対して非常に関心が高く、そして専門家の見解を求めておられるのだ。

需要と供給のバランスを整えるために

さてさて、ここが本題である。
この課題を解決するためには、どうしたら良いのだろうか?

小児分野に進む言語聴覚士の数が急増すれば万事解決、と言いたい所だが、今のところそれは叶いそうにはない(理由は他で記事にしたいと思う)

そこで、ここからが私が提案したいアイディアだ。
実際にこの方法は私が半年間実践してみて、すごく実利的で子ども、親、療育施設、言語聴覚士各々にメリットがある4方良し◎と感じているものだ。

働き方を変える。患者が集まる所に言語聴覚士が出向く

言語聴覚士が病院で働き患者さんに来てもらうのではなく、児童発達支援事業所や保育施設など子どもが既に集まっている場所に言語聴覚士が出向く

在宅医療の考え方に近いが、あくまで「福祉の集団の中に入る」がポイント。

私は現在6つの児童発達支援事業所を掛け持ちし順繰り、順繰りまわっている。

その中での役割は3つ

・スタッフの研修と教育
・療育内容へのアドバイス
・個別言語療育(評価)

病院では、子ども1人頭、評価や訓練や親御さんとのお話までに約1時間程度の時間を要す。つまり1日8時間勤務だとすると、言語聴覚士1人で1日最大8人しかみることができない。しかし、私は子ども1人頭20−30分で評価を実施している。そうすると、同じ時間で1日16人の子どもをみることができる。1ヶ月20日稼働で換算すると病院では160人、私は320人みることができるので、大きな差になるのとがわかる。

わたし1人だけをみても、倍の子どもをみることができ、複数の言語聴覚士がこれを実践すれば、サービスが届く範囲は格段に広がる。

最前線のスタッフがコミュニケーション上手になることがよい療育への近道

当然なのだが、わたしはある程度学びを経ている分一般の方に比べれば発達障害に関しての知識も経験もある。そのため、私が上手にコミュニケーションをとったり、その子にとって最適なコミュニケーション方法を提供できる場面は多いのではないかと思う。

でも私と子どもたちの時間は短い。たったの20ー30分と、子どもたちが児童発達支援事業所内で過ごす時間のほんの一部だ。

それならば、私と過ごす以外の時間が豊かになる方が、ずっと子どもの成長を促せるのではないだろうか。

だから、個別療育の時間内で短く評価し、それをどう普段の集団療育に生かすか、その子をどのように見立てていくのかについて、じっくり話す時間を取ることが大切だ。

背景にある児童発達支援事業所の課題

児童発達支援事業所では、スタッフの資格の有無を問われない場合が多い。
資格が全てではないが、いろんな事業所に出入りしてきて、発達障害に関する知識の程度にかなり個人差がある現状を目の当たりにした。

その点からも、子どもと最も関わる時間が長い人たちが迷いなく、発達障害の子どもの特性を理解し関わるため私ができることがあるかもしれないと思う。

そして、大切なのは「協働」だ。一方的に情報を伝えるのではなく、双方向に情報共有し、一緒にかんがえる。たとえば、

私からは発達障害の見立て方法やコミュニケーション方法をお伝えする。スタッフの方からは、集団の中でしかみれない子どもの様子や、普段長く過ごす中の信頼関係あってこその評価を聞かせてもらう。

この両方を統合することが、より良い療育を目指すポイントだ。

女性の社会進出、子どもの多忙化の時代にあわせる

そしてこの言語聴覚士×福祉現場の協働は、案外時代の流れに順行していると感じる。

前述したとおり、現在の小児言語聴覚士の大半は病院の外来部門勤務だ。
ご存知の通り、外来というものは大抵平日の朝〜夕方までしか空いていない。

はて、働いている親御さんは、どうやって子どもを外来に連れていくのだろう?
はて、習い事に保育園に大忙しな今時児童たちは、どうやって外来に連れて行かれるのだろう?と疑問にならないだろうか。

そう。皆さんきっと色んな予定を工面し外来に通っているのだ。

このシステム自体が、そもそも時代にあっていないように私は感じていた。

だったら、子供を預けている場所、子どもの滞在時間が長い場所に言語聴覚士が出向くというシステムは案外アイディアとしては悪くない、と自負している。働いている親御さんにも多忙な子どもにも対応できる。今ある時間内で言語療法を提供するのだ。実際に親御さんからの喜びの声を聞いて、道は間違っていないと確信している。

私と一緒に働きませんか?

多くの事業所さんから、私の働き方をしてくれる人を増やして欲しい!とリクエストをいただく。ありがたいお話なのだが、もう私一人だとキャパオーバーなのだ。そこで私が既に使っているシステムで、一緒に働きませんか?というご提案。私はフリーランスで活動できている基盤があるので、最初から一人で始めるよりも安心かと思います。

★言語聴覚士資格がある方
★小児分野で働いた経験がある方
★子どもの未来の可能性を心から信じられる方
★短時間勤務したい方(午前だけ、午後だけ意外とニーズあります)もOK

ぜひ、お声かけください。

Twitter → @chomochomoko mail →cotobatoco.life.design@gmai.com

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