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読書録~ Option B by Sheryl Sandberg, Adam Grant 人生の困難との向き合い方

配偶者を亡くしたSandberg氏がその経験をもとに友人の心理学者のAdam Grant氏と共著で出版したOption Bをオーディオブックで聴きました。

本書では、著者自身の経験とともに、多くの人の、様々な形の人生の困難と向き合った話が掲載されています。(配偶者や子供との死別、レイプ、事故や病気、紛争等)それとともに、多数の心理学の知見や実験が紹介され、困難に遭遇した人本人や周囲の人間がどのようにその困難と向かい合うことが助けになるのかが語られます。

本書に沢山登場する3つのP~Personalization(困難に直面した際自分を責めてしまうこと), Pervasiveness(困難が人生の全ての側面に及ぶと考えてしまうこと)、Permanence(絶望がずっと続くと考えてしまうこと)は、立ち直りを妨げてしまう要因だそうです。

日常の辛い出来事に面した際にも、この3つのPに意識的にいることは非常に有効であるように思います。

そして、なにか困難に直面した時、金銭面、人間関係面で全くセーフティネットがないとしたら、3つのPから自分を解放するのは非常に難しいだろうと思いました。

自分にとっては特に2つ目のPが大事で、自分が属す場が複数ある(家庭や職場、趣味の集いなど)と、1つの場で困難があった際に、救いになる気がします。

育ち盛りの子供を抱えて配偶者を亡くすという非常に辛い経験をされたSandberg氏ですが、本書の様々な場面で自分は恵まれていると書かれています。手を差し伸べてくれる親族や友人が沢山おり、経済的な面でもシングルインカムになっても困る状況ではなく、理解やサポートを示してくれる職場で働くことについて。

そして、社会一般で人生の困難に直面した際、セーフティネットがない人がどれだけいるかも折に触れて語っています。

それから、悲しみとの向き合い方、立ち直り方は人それそれだということも。配偶者を亡くしてすぐに職場復帰した人の例が印象的でした。その人にとっては、職場で働くことが辛い気持ちを紛らわす手段であるのに、周囲の人は早期の職場復帰を、その人の配偶者を悼む気持ちの欠如と捉えたという話。

Talking to strangersという本で紹介されていた、Amanda Nkox氏の話を思い出しました。ルームメイトが殺された際、悲しんでいるようにみえなかったことから犯人と疑いをかけられたという彼女の話。

https://note.com/sstudyab_2019/n/n3930411f04a4

一人一人、悲しみや辛さの表現の仕方やプロセスの仕方は異なることを常に念頭に置いておきたいと思います。

最後に、私は本書をオーディオブックで聴いてとてもよかったです。Shandberg氏の文章の語り口と、読み手の方の語り口がとてもあっていて、何度か聞いていて感極まってしまいました。

Option Bというウェブサイトもあって、色々な研究や記事等、助けになるリソースが掲載されています。今後自身や周囲が困難に直面した時の参考にしたいと思います。


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