Book Review - Talking to Strangers by Malcolm Gladwell

OutlierやTipping Point等の著作で有名なMalcolm Gladwellの新作が出ましや。私はAudioBookで聴きました。Audiobookで聴くのに凄くピッタリな本です。実際のインタビューの肉声や、ニュースの音声がそのままで入っていて、各章をPodcastのように楽しめます。

さて、Talking to Strangerについては、Audiobookを聴く以前にMalcomとAdam Grantの本作に関する対談を聞く機会があり、読みたいとずっと思っていました。対談についてはYouTubeで見ることができます。


印象に残った章をいくつか。

第5章、Penn State(ペンシルバニア州立大学)とミシガン大学のコーチの事件。両方とも、Wikipediaに事件のページがありました。とても悲しい気持ちになる衝撃的な事件。

”Default to Trust” - いずれの事件も、裁判が始まるずっと以前から兆候があったのに、起訴されないままでした。きっと自分の思い違いと考えてしまう、そして確率的にそう考えるのは理にかなっている。

よく知らない人、Strangerを信頼するということが人間社会が発展してくる上で必須だったということは、Sapiensでも書かれていたことを思い出しました。


第8章のキャンパスレイプと大学のDrinking Cultureの話も凄く考えさせられました。50年前に飲みすぎ危険とみなされるラインは、今の大学生にとっては序の口程度になっていて、ブラックアウトを経験する人も凄く多くなっているとのことです。ブラックアウトとは、お酒を飲んで記憶をなくすような状態にあること。ただ、ブラックアウト=意識がない、というわけでもなく、信号を渡ったり、会話をしたり、下手をすると傍目には酩酊状態にあるとわからないケースもあるとか。

統計的に男性の方が体が大きいので、同じ量のアルコールを飲むと女性の方が体に対するアルコール濃度が高くなることも指摘されています(お酒の強さは個人差が大きいですが)

キャンパスに限らず、男女の間で起こるこうした悲しい事件に関して、お酒が人の判断力を奪うということは、もっと意識されるべきなんだろうと思いました。

そして、順番は前後しますが第7章Amanda Knoxの事件。

日本でずっと育ってきて現在日本の外で暮らす身の私にとって、とても身につまされる話でした。こんな事件があったなんて知らなかった。。。

自分が無意識の内に他者に投影しているフィルターに自覚的でいないと、と改めて意識する本でした。

毎作鮮明な事例とアカデミックからの知見を上手く結びつけ、とても読みやすく惹きつける文章・構成を展開する作者。こんな風に文章が書けるようになりたいものです。

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