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Q. 先生、大きな夢がないと起業はできませんか?

大学で起業の授業をしたり、経営支援をしている毎日を送っています。

ある日、学生のゆうき君(仮称)が僕のところにやってきて、話をはじめました。

ゆうき君
先生、起業したいのだけれども、大きな夢というものを持っていません。やっぱりないと無理ですか?

>起業をしたいと思っている人から、聞かれることの半分くらいは、こんな「夢」についての相談だ。

中島
なんで、そんなことを思うの?

ゆうき君
だって、大人たちはイロイロと言ってくるんです。
将来の夢は何だとか、大きな夢を持てとか…
大人はみんな持っているものなんですか…?

>私は大人として、少し恥ずかしくなった。
「少年よ、大志を抱け」という言葉をいつも使う人の顔が浮かんだ。

ゆうき君
夢を聞かれると、プレッシャーかかるんですよね。
それなりに大きくないといけないだろうし、
言ってバカにされるかもしれないし
そもそも、お先真っ暗な感じなのに、お前どうすると言われても…

>私は更に恥ずかしくなった。
確かに夢が大切だという大人は昔から変わらず。
そんな僕も、夢を聞かれるのが嫌だった子ども時代を思い出した。

中島:
夢なんて、言えなくてもいいと思うんだよね。僕も小さいころからたくさん聞かれて、本当に困ったし、今でも困る(笑)
それっぽいこと言わないと、期待を裏切ってしまい残念がられちゃうし、同じようにプレッシャーかかるんだよね。(汗

>彼はほっとしたような顔をして、少しうつむき、ふたたび僕に聞いてきた。

ゆうき君
でも起業家って、何か大きな夢を語っているじゃないですか。
世界を変えるとか、世の中を救うとか。
そういう夢を持っている人が起業家になるんじゃないですか?

>たしかにそう思っても仕方がない。
たぶん、YouTubeの動画でピッチなどを聞いているのだろう。

中島:
そうだね。そういう人も居るとは思う。
でもほとんどの人は、起業する段階で、そんな夢が固まっているわけじゃない。
自分の想いをいろいろと整理していった結果、プレゼンやピッチで形になったものを見ているだけ。
多くの場合、何年かあとにはもう少し違う夢を語っていることだってよくあるしね。

>彼はビックリしたような顔をして僕を見た。

ゆうき君
夢って、変わってもいいんですか?
夢が固まってなかったとか、夢が変わっていくとか。
なんだかフワフワしている人みたいに見られちゃうことないんですか?

中島
まあ、人によってはそう捉える人もいるけれど、ほおっておけばいいんじゃないかな。
君だって、人が話していることに一貫性がないって思うこともだろうし、自分だって、そう受けとめられることもあるだろうし。
起業家だって人間だから。君と同じように、新しい興味やテーマに移っていくこともよくあること。
まあ、僕はきっと、そんな移り気で何をやっているかわからない人に見られていると思うけれどね。ハハハ…

>ゆうき君は笑っていいのかいけないのか微妙な顔をして、僕の言葉を聞いていた。

ゆうき君
じゃあ… 夢じゃなくて、何が必要なんですか?

中島
夢ってのは、「こうしたい!」と思うようなもののことだよね。
それが見つかるためにすることはただひとつ。
「自分が大切にしたいものに気づいたり、その大切にしたい理由を探していくこと。」
それに尽きると思うよ。
それさえやり続ければ、必ず何かが見つかる。

>ゆうき君はちょっと困ったような顔をした。

ゆうき君
大切にしたいもの…ですか?

中島
そう、大切にしたいもの、想い、気持ち・・・何でもいいよ。
ゆうき君は、何かとっても大切にしたいと想うことって何かある?

>ゆうき君は、眉間にしわが寄って、さらに困った顔つきになり、考え込んでしまった。
しばらく時間が過ぎた。
ゆうき君はふと、何か探し当てたような表情になり、顔を上げた。

↓つづく


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