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読書感想文

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#読書感想文

真理には何の意味もない

今日、篠原資明さんの「差異の王国」という本を読みました。 本書はまず、篠原さんが若いころ…

峰庭梟
13日前
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動物化したポストモダンの行方

先日、東浩紀氏の「動物化するポストモダン」と「ゲーム的リアリズムの誕生」を読みました。 …

峰庭梟
4か月前
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面白い話はどうすればできるのか

今日は、すごく好きな本の話をします。米原万里さんの「必笑小咄のテクニック」という本です。…

峰庭梟
1年前
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「人と熊は違うものなんですね」~川上弘美著「神様」のこと

この物語は、ある日隣にくまさんが引っ越してくるとことから始まります。そしてくまさんは言う…

峰庭梟
1年前
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世界はきみを入れる容器ではない。 ~池澤夏樹著「スティル・ライフ」のこと

理系と文系、なんて分けるのは時代遅れなのでしょうか。でも、僕のような完全な文系人間からす…

峰庭梟
1年前
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遠いことと近いこと、一人であることと一人じゃないこと~森絵都著「宇宙のみなしご」…

この物語を一言で言うなら、これは中学二年生の姉の陽子と弟のリン、そして陽子のクラスメイト…

峰庭梟
1年前
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まるでおとぎ話のような歌集 〜蝦名泰洋、野樹かずみ著「クアドラプル プレイ」のこと

とても素敵な歌集と出会いました。書肆侃侃房から2021年に出版された「クアドラプル プレイ」です。 本書の著者は蝦名泰洋さんと野樹かずみさんの二人。 蝦名さんは青森県で暮らし、野樹さんは最初は東京で、その後は広島で暮らしながら、俳句の連句のように短歌を詠み合う両吟を、二人は1990年からずっと、30年も続けてこられたのだとか。本書には、そんな二人の歌が、一頁にそれぞれ一首ずつ収められています。 それはまるで、会話のようです。たとえば、泰洋さんの歌。 その隣には、かずみ

これこそが本当に正しい生き方なのかもしれない 〜レイモンド・クーヴァー著「ユニバ…

WBC大盛り上がりですね。御多分に洩れず、僕も4試合観てしまいました。優勝するかなあ。 それ…

峰庭梟
1年前
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遠き東の彼方、遥か時空の彼方に、探し求める答えがある 〜ネルヴァル著「暁の女王と…

ネルヴァルとロマン主義19世紀のフランスの作家ジェラール・ド・ネルヴァル。彼はフランスでは…

峰庭梟
1年前
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新しい世界へようこそ 〜カルロ・ロヴェッリ著「時間は存在しない」のこと

僕たちは誰もが知っています。かつて人間は大地が平らだと思っていたことを。そして、地球が太…

峰庭梟
1年前
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努力すればなんとかなる。 〜幸田露伴著「努力論」のこと

努力すれば何とかなる努力ですよ、努力。もうタイトルからして汗臭い感じがしますね。まあ本書…

峰庭梟
1年前
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隠れて生きよ 〜エピクロス著「教説と手紙」のこと

エピクロス(エピキュロスと表記されることも多い)は紀元前300年頃、ヘレニズム期のギリシャ…

峰庭梟
1年前
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勝者は歴史をつくり、敗者は文学をつくる 〜アンドレ・モロワ著「デブの国ノッポの国…

好きだった本の一番古い記憶は、どの本ですか? 僕は、絵本を読んでた記憶があまりないんです…

峰庭梟
1年前

いったいなにを考えているんだ。 ~宮沢章夫著「考えない人」のこと

2002年のことになりますが、新潮社から「考える人」という雑誌が創刊されました。 僕はこの雑誌を本屋で見かけるや、「あ、これは好きな雑誌に違いない!」と思ってすぐさま購入して家に帰ったのです。 一番の目当ては後に「ぐるりのこと」として出版された梨木香歩さんのエッセイだったのですが、この雑誌を読みながら、あるページで僕の目は釘付けになってしまったのです。 それが宮沢章夫さんの「考えない」というエッセイだったのでした。 「考えない、だと! まさか!! この雑誌、『考える人