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読書感想文

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読書感想文のまとめ
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#推薦図書

北村透谷の話その2 吾人は生命を信ずる者なり。

前回 に続いて今回も話題のメインとなるのは透谷とザ・俗物こと山路愛山の論争、いわゆる「人…

峰庭梟
2週間前
2

動物化したポストモダンの行方

先日、東浩紀氏の「動物化するポストモダン」と「ゲーム的リアリズムの誕生」を読みました。 …

峰庭梟
1か月前
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新しい世界へようこそ 〜カルロ・ロヴェッリ著「時間は存在しない」のこと

僕たちは誰もが知っています。かつて人間は大地が平らだと思っていたことを。そして、地球が太…

峰庭梟
1年前
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努力すればなんとかなる。 〜幸田露伴著「努力論」のこと

努力すれば何とかなる努力ですよ、努力。もうタイトルからして汗臭い感じがしますね。まあ本書…

峰庭梟
1年前
1

隠れて生きよ 〜エピクロス著「教説と手紙」のこと

エピクロス(エピキュロスと表記されることも多い)は紀元前300年頃、ヘレニズム期のギリシャ…

峰庭梟
1年前
4

勝者は歴史をつくり、敗者は文学をつくる 〜アンドレ・モロワ著「デブの国ノッポの国…

好きだった本の一番古い記憶は、どの本ですか? 僕は、絵本を読んでた記憶があまりないんです…

峰庭梟
1年前

いったいなにを考えているんだ。 ~宮沢章夫著「考えない人」のこと

2002年のことになりますが、新潮社から「考える人」という雑誌が創刊されました。 僕はこの雑誌を本屋で見かけるや、「あ、これは好きな雑誌に違いない!」と思ってすぐさま購入して家に帰ったのです。 一番の目当ては後に「ぐるりのこと」として出版された梨木香歩さんのエッセイだったのですが、この雑誌を読みながら、あるページで僕の目は釘付けになってしまったのです。 それが宮沢章夫さんの「考えない」というエッセイだったのでした。 「考えない、だと! まさか!! この雑誌、『考える人

この手紙をあなたへ 〜星野道夫著「旅する木」のこと

お元気ですか? あなたに手紙を書くのは初めてかもしれません。もしかしたら、そうではないか…

峰庭梟
1年前
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サキの短編は独りこっそり楽しむのがいい 〜サキ著「けだものと超けだもの」のこと

O・ヘンリーと並ぶ短編の名手と言えばサキ。O・ヘンリーが「陽」とするならばサキはまさに「陰…

峰庭梟
1年前
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お笑い芸人とシンギュラリティ 〜又吉直樹著「火花」のこと

あらすじ漫才コンビ「スパークス」として芸人をしている主人公徳永は、あるイベントで違う事務…

峰庭梟
1年前
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イデオロギー抜きで歴史を語ろう〜ウィリアム・H・マクニール著「マクニール世界史講…

中公文庫の「世界史」でも有名なウィリアム・H・マクニール。本書は彼が1979年、1982年、1986…

峰庭梟
1年前
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後世の幻視者たちに愛された元祖ファンタジー 〜ウィリアム・モリス著「世界のかなた…

ウィリアム・モリスとは19世紀の建築家・デザイナーであり、社会主義の運動家でもあったウィリ…

峰庭梟
1年前
2

白と黒のその間に無限の色が広がってる 〜ジュール・ヴェルヌ著「二十世紀のパリ」の…

ジュール・ヴェルヌの研究者たちの間で神話となっていたという本書。というのは、ヴェルヌが死…

峰庭梟
1年前
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人類最高の哲学者はクマのプーである 〜ジョン・T・ウィリアムズ著「クマのプーさんの哲学」のこと

A.A.ミルンによる児童文学「クマのプーさん」を知らない人はいないでしょう。そう、あの愛すべきプー。おバカなプー。まったくもう、プーのやつったら! ところが、本書の著者ジョン・T・ウィリアムズは言うのです。 「人類最高の哲学者は、クマのプーである」と。 ……おいおい、ちょっと待てと言いたくなった人も多いでしょう。 そこで今回はそんなぶっ飛んだ主張から始まる本書「クマのプーさんの哲学」をご紹介します。 著者ジョン・T・ウィリアムズについてまず、本書の著者であるジョン・