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読書感想文

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読書感想文のまとめ
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#推薦図書

真理には何の意味もない

今日、篠原資明さんの「差異の王国」という本を読みました。 本書はまず、篠原さんが若いころ…

峰庭梟
13日前
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北村透谷の話その2 吾人は生命を信ずる者なり。

前回 に続いて今回も話題のメインとなるのは透谷とザ・俗物こと山路愛山の論争、いわゆる「人…

峰庭梟
3か月前
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動物化したポストモダンの行方

先日、東浩紀氏の「動物化するポストモダン」と「ゲーム的リアリズムの誕生」を読みました。 …

峰庭梟
4か月前
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新しい世界へようこそ 〜カルロ・ロヴェッリ著「時間は存在しない」のこと

僕たちは誰もが知っています。かつて人間は大地が平らだと思っていたことを。そして、地球が太…

峰庭梟
1年前
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努力すればなんとかなる。 〜幸田露伴著「努力論」のこと

努力すれば何とかなる努力ですよ、努力。もうタイトルからして汗臭い感じがしますね。まあ本書…

峰庭梟
1年前
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隠れて生きよ 〜エピクロス著「教説と手紙」のこと

エピクロス(エピキュロスと表記されることも多い)は紀元前300年頃、ヘレニズム期のギリシャ…

峰庭梟
1年前
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勝者は歴史をつくり、敗者は文学をつくる 〜アンドレ・モロワ著「デブの国ノッポの国」のこと

好きだった本の一番古い記憶は、どの本ですか? 僕は、絵本を読んでた記憶があまりないんです。でも、童話や神話なんかはすごく好きな子どもでした。 で、思い出せる限りで一番最初に好きだった本のひとつが、この「デブの国ノッポの国」です。 この本は、フランスの文学者アンドレ・モロワによる童話です。アンドレ・モロワといえば、英国史やフランス史、ツルゲーネフ伝といった伝記のほか、「人生をよりよく生きる技術」というエッセイでも有名ですね。高校生の頃、「幸福論」の著者アランに哲学を学んだ

いったいなにを考えているんだ。 ~宮沢章夫著「考えない人」のこと

2002年のことになりますが、新潮社から「考える人」という雑誌が創刊されました。 僕はこの雑…

峰庭梟
1年前
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この手紙をあなたへ 〜星野道夫著「旅する木」のこと

お元気ですか? あなたに手紙を書くのは初めてかもしれません。もしかしたら、そうではないか…

峰庭梟
2年前
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サキの短編は独りこっそり楽しむのがいい 〜サキ著「けだものと超けだもの」のこと

O・ヘンリーと並ぶ短編の名手と言えばサキ。O・ヘンリーが「陽」とするならばサキはまさに「陰…

峰庭梟
2年前
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お笑い芸人とシンギュラリティ 〜又吉直樹著「火花」のこと

あらすじ漫才コンビ「スパークス」として芸人をしている主人公徳永は、あるイベントで違う事務…

峰庭梟
2年前
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イデオロギー抜きで歴史を語ろう〜ウィリアム・H・マクニール著「マクニール世界史講…

中公文庫の「世界史」でも有名なウィリアム・H・マクニール。本書は彼が1979年、1982年、1986…

峰庭梟
2年前
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後世の幻視者たちに愛された元祖ファンタジー 〜ウィリアム・モリス著「世界のかなた…

ウィリアム・モリスとは19世紀の建築家・デザイナーであり、社会主義の運動家でもあったウィリ…

峰庭梟
2年前
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白と黒のその間に無限の色が広がってる 〜ジュール・ヴェルヌ著「二十世紀のパリ」のこと

ジュール・ヴェルヌの研究者たちの間で神話となっていたという本書。というのは、ヴェルヌが死去した時、その息子ミシェル・ヴェルヌが作成した作品リストの中にこの作品のタイトルが記載されていたものの、その原稿が見つからず「幻の作品」とされていたからだそうです。   ところがミシェルが死去した時、鍵すら失われた金庫の中から発見されたのがこの作品「二十世紀のパリ」だったのでした。   ヴェルヌと言えば十九世紀の作家であり、もちろんSFの創始者のひとりとしても有名ですが、この作品はその