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ロックダウンでなく、夜間外出禁止(タイ)

昨日(7月9日)、ついにタイ政府はバンコク都など10都県を対象に、より厳しい商業活動規制を行うと発表しました。これは、7月12日(月)から最低14日間実施されます(つまり、延長もあり得るということ)。

まず対象となる都県から。

バンコク都、パトムタニ県、ノンタブリー県、サムットプラカーン県、サムットサコーン県、ナコンパトム県。以上6都県はバンコクとその周辺県です。

一方南部でも、ヤラー県、パッタニー県、ナラティワット県、ソンクラー県の4県が対象となりました。こちらはマレーシアとの往来が多く、感染拡大が広がっていたので、上述の6都県と共に「最高度感染管理区域(ダーク・レッドゾーン)」に指定されていた県です。

当初、タイのマスコミは「ロックダウン」という表現を使っていましたが、Covid-19対策本部(CCSA)が発表した具体的な規制内容を鑑み、「夜間外出禁止(เคอร์ฟิว=Curfew)」という表現が目立ってきました。

では、その具体的な行動規制を見てみましょう。まずは Covid-19対策本部が外国人向けに公表した、英語の図表を添付します。

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1. 商業施設の閉鎖。但し、施設内にあるスーパーマーケット、持ち帰りのみのレストラン、銀行・金融関係機関の支店、薬局、携帯電話販売・修理店、小売店、ワクチン接種センターは、20時まで営業可。

2. レストラン(持ち帰りのみ)、市場、コンビニは、20時から翌4時まで閉鎖。※つまり、朝4時から20時まで営業可ということです。

3. 公共交通機関は、21時から翌4時まで運行禁止。

4. スパ、美容センター、マッサージ店は終日閉鎖。

5. 公園は20時で閉鎖。

6. できるだけ在宅勤務に努めること(但し、出勤したところで罰則なし。官公庁は窓口を中心に、平常業務を続けるようです)。

また、この表には掲載されていないのですが、一般市民に対しても、原則21時から翌4時まで、夜間外出禁止となります。

さらに、上記最高度感染管理区域から県外に出るに際し、不要不急の用事か否かをチェックする検問所を設置するそうです。これだけは12日(月)からではなく、本日7月10日から即日実施。しかし、どうやら罰則規定がないようなので、一定のプレッシャーにはなっても絶対禁止、という厳密なものにはならないよう…。タイらしさである「ユルユル」「漏れ漏れ」が再び発揮されそうです。そうなると、地方への感染拡大が心配されます。

なお、南部4県の「最高度感染管理区域」に対しても、同様の規制が実施されるそうです。

全体的に、夜間には厳しい規制が課されますが、昼間にはさほど影響がなさそう。そうなると、感染対策としての有効性が懸念されるところです。かといって、より厳しい規制をかけて失業者が増えても、政府には十分な補償を行う財源がないようですが。

プラユット首相は、今回の規制強化に合わせ、自身の3ヵ月分の給与を返上し、ワクチン購入費に充てると発表しました。タイ王国の総理大臣給料は、諸手当込みで月額125,590バーツ(約427,000円)だそうで。その3ヶ月分、つまり130万円ほどを、ワクチン購入のために寄付をされるということです。これ、タイのネット民からはあまり評価されていませんけれど(というのも、官舎に住んでいるし、給料以外の収入・インセンティブがあるだろう、というわけです)、私自身は、日本の政治家も少しは見習ってもいいように思います。

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タイは昨日の発表で、新規陽性者が9,276人で過去最高。一方、死者が72人で、こちらも高い水準での推移が続いています。

ここまでウイルスが広がったら、行動規制だけで抑え込むのは難しいのかも知れません。やはり、ワクチン接種の推進、ないしコロナ有効薬の開発を待つしかないのかと。

とはいえ、期待空しく、タイにおいてはワクチンも治療薬も楽観できない状況です。ワクチン接種が、年内でどれだけ進むのか…。治療薬も、いつ公式に認可されるのか…。そうこうしている間に、バンコク都やその周辺県では、公立病院を中心に医療崩壊が確実に進んでいます。一気に瓦解する前に、新規陽性者数を何とか減少傾向にしなくては。

心配は心配ですが、でもまぁ、マスクの着用、飛沫の注意、手洗いの徹底(特にトイレ)、頻繁なアルコール消毒。できることを、倦まず休まず続けて行くしかないですね。ここまで感染せずに済んだのですから、このまま気を抜かず、自身の非感染記録を更新し続けたいと思います。自分自身と、家族ために。


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