タイ企業、アフガン女性に奨学金
ロシアがウクライナに侵攻してから、ミャンマー軍政も、民主派勢力による「市民防衛隊(PDF)」や少数民族への攻撃を強化しています。
その中心は、爆撃。これなら地上軍が損害を受けることなく、確実に反軍政派にダメージを与えることができるからです。
「ロシア軍の苦戦が、PDFや少数民族軍を勢いづけてしまうのではないか」。ミャンマー国軍も、大きな焦りがあるのでしょう。
気が滅入るニュースが続く中、未来に希望が抱ける報道が、タイのメディアに流れました。それはタイ企業がスポンサーとなって、アフガニスタンから4人の女性が、バンコクにある国際機関「アジア工科大学院」に留学できることになった、というニュースです。
アジア工科大学院。「AIT」の通称で知られています。
1959年、国際機関である「東南アジア条約機構」の研究機関として発足しました。その後1966年、同機構から独立・組織改編して現在の大学院大学となっています。東南アジア諸国を中心としながらも、世界から優秀な学生が集う、ハイレベルの教育機関。学内では、タイ語ではなく英語が「公用語」となっています。講義ももちろん、英語です。
昨年8月にガニー政権が文字通り崩壊し、タリバーンが復権したアフガニスタンでは、優秀な女性であっても学業を継続することが困難になっています。AITはこれまでも、アフガニスタンから男女問わず優秀な学生を受け入れてきましたが、同国の情勢変化によって、AITに入学を希望している女性たちの多くが、学業のための資金確保の見込みが立たなくなったことから、同校への入学を断念せざるを得ない状況が続いていたそうです。
AIT学長、エデン・ウーン博士はこれをたいへん残念に思い、いくつかのタイ企業にスポンサーの打診をしたところ。
The Thai Pipe Industry と Osotspa Public Co の2社が、スポンサーを引き受けてくれることとなりました。また、Christiani & Nielsen Energy社も、社長個人が資金提供に応じています。奨学金の確保を確実にしたAITは、留学を断念したアフガン女性たちに、奨学金プログラムへの願書提出を呼び掛けています。
タリバーンが支配する体制はしばらく続くかも知れませんが、アフガニスタンの女性たちがタイにある国際的な大学院大学で学業を続けられる…。これは、小さいことかも知れませんが、未来に向けた大事な敷石になると思います。
今回は奨学金が支給されるのは4人までですが…。来年は、この人数枠がさらに広がることを期待しています。タイにある日系企業も、ぜひがんばって!※私も、ウチの社長に訴えようかなぁ…。直属上司であるバンコク所長は、問題なく賛成してくれそうですけど…。
下の写真は、アフガニスタンの学校で学ぶ女子学生。タリバーンも、一定条件のもとに、女性が学ぶことを認めています。